節分の豆まきに欠かせないものといえば、鬼‼︎日常でもひといちばい敏感で不安が大きいHSCのお子さんとっては、節分は1年で最大の恐怖の行事だと感じる子も多いのではないでしょうか。中には極度に鬼を怖がり、トラウマになって登園拒否になってしまうこともあるようです。節分を恐怖の一日にしない!トラウマの記憶にしない!の特性に合った、節分の過ごし方をご紹介します。
1.節分の鬼…。極度に怖がるHSCには注意が必要!!
お子さんが就学前であれば、多くの保育園や幼稚園などでは、2月3日の節分の日には豆まきの行事が行われますよね。
私の子どもたちはみんな「ひといちばい敏感な子」=HSCです。
そのため、ひといちばい怖がりなところがあり、園で行われる豆まきは毎年トラウマになるくらいの恐怖体験となっていました。
保育園の豆まきは、先生たちが鬼に変装し、鬼に向かって豆を投げるというものでしたが
我が子たちは園庭に出ることも、豆をまくこともできず、ひたすら恐怖に怯えて、クラスの端っこで先生にしがみついていたようです。
保育園に通っていた時期は、決まって、お正月を過ぎた頃から「保育園に行きたくない」と登園をしぶるようになり、極度に鬼を怖がっていました。
現在、子どもたちは小学生になり、当時のことを笑いながら話すことができるのですが…
テレビなどで「なまはげ」などの日本古来からの風習などが放映されると、まだ顔が強張りますし、遊園地のお化け屋敷は、絶対入りたがりません。
当時、私はHSCという言葉や不安が強いという子どもたちの特性について全くの理解を持っていませんでした。
そのため、親として豆まきで子どもの怖がる様子を可愛いとすら思っていて…。子どもがトラウマになるくらい極度の恐怖を感じていることに気づけなかった…。
過去を振りかえると、登園拒否になるまで「豆まきに参加させるべきだったのか?」と子どもたちに申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
そこで…
本記事では、HSCの節分を恐怖の一日にしない!トラウマにしない!
HSC、不安が強い、極度に怖がりなお子さんにとって、どのように節分を過ごしたらよいのかを、実体験を踏まえてアドバイスさせていただきます。
2.不安が強いHSCの恐怖体験は深く記憶に残る。
鬼が来るという非日常的な出来事は、脳が発展途上の子どもにとっては、情動が動かされる衝撃的な体験となり、記憶に深く残ってしまいます。
鬼が来たという事実をあまり深く理解できないまま記憶が固まってしまうと、それがトラウマとなってしまうのです。
ある程度の年齢の子どもであれば、鬼が先生や親であることを理解できたり、豆まきの由来を理解することができます。
また、親やまわりの大人が「怖かったね」「大丈夫だよ」などと共感し、適切に対応をすることで、鬼という恐怖体験は子どもの記憶に深く影響は残すことを防ぐことができます。
しかし、HSCのような、極度の怖がりや不安が強い気質の子どもの場合、ネガティブな記憶を残しやすいという特性を持っているので、事後の大人のフォローだけでは恐怖体験の記憶を消し去ることは難しいのです。
3.子どもにトラウマを残さない節分の過ごし方とは…。
私がHSCや極端に怖がりな子どもにお勧めしたいのは、鬼が登場しない豆まきです。
普段からネガティブな感情を溜めやすいHSCのお子さんだからこそ、自分のネガティブな感情と向き合うことを身につけさせてあげたいものです。
まさしく、節分はそのチャンスです‼︎
節分のトラウマを克服するため、我が家が考案したHSCのための節分の過ごし方。
ぜひ参考にしてくださいね。
◆①自分の中の鬼とは?親子で考えてみよう。
ある程度、ママのお話を理解できる年頃のお子さんには
節分の豆まきでは、自分の中の悪い気持ちや嫌な気持ちを鬼に例えること』をしっかり伝えた上で、親子で自分の中にある悪い気持ちや嫌な気持ちについて話し合ってみましょう。
「悪い気持ちや嫌な気持ちは、ずっと心の中に入れておくと、どんどん大きくなってってしまう。だから、『あっちにいけー!』って今日やっつけちゃおうね!
子どもの不安を煽らず、ママが前向きになれるような話し方を心がけましょう。
◆②ママが自分の中の鬼をカミングアウト!
HSCの多くは、親や家族など、心を許した相手には、心の中のモヤモヤを伝えてくれます。
節分の日は、お子さんと2人だけの時間を作り、心のモヤモヤに焦点を当てて、会話をしましょう。
自分から心のモヤモヤを話し出すことは難しいと思うので、ママが先にカミングアウトしてしまうのがお勧めです。
「今日は節分だから、特別に〇〇ちゃんにだけママの悪い気持ちや嫌な気持ちを教えるね!」
などと伝えて、紙にわかりやすく「心の鬼」と書き、自分の悪い気持ちや嫌な気持ちをカミングアウトしてします。
そうすると、子どもも話しやすくなるはずです。
字や絵がかけるようであれば、子ども自身で「心の鬼」を書かせてみましょう。
字や絵がかけるようであれば、子ども自身で「心の鬼」を書かせてみましょう。
絵でも字でも殴り書きでも、自由に表現させていいでしょう。
◆③心の鬼をポイっと捨てる!
自分の中にあるモヤモヤした気持ちを、人に聞いてもらったり、日記に書いたりアウトプットすることですっきりした経験はありませんか?
心療内科などでは、不安を強く持つ傾向にある患者さんに、不安になるたび紙に書いて破るという行為を繰り返してもらう治療も行われているそうです。
親子で「心の鬼」をカミングアウトし、それを紙に書いたものを「鬼は外〜!福は内〜!」と言って、破って、ポイって捨ててしまいましょう!
HSCなどの不安が強い傾向のあるお子さんにとって自分の中のネガティブな感情に向き合うことは、これからずっと付き合っていかなければいけないこと。
今はママがすぐそばにいて、気持ちを代弁してあげたり、受け止めてあげることができますが、これからずっとママと一緒というわけにもいきません。
そのためにも、子どもの頃から自分の心と向き合う経験をするということは、ライフスキルとしてとても大切なことなのです。
ぜひ、節分という行事を前に、ママだけでなく、家族や園の先生など、周りの大人が不安が強いお子さんの特性をしっかりと理解したうえで、トラウマが残らないような行事の参加について改めて考えてほしいと思います。
お子さん自身が「自分の心と向き合う」という本来の節分の目的を達成することができたらいいですね!
執筆者
発達科学コミュニケーション リサーチャー
発達科学コミュニケーション リサーチャー
月野 志保