たった3分起きるのが遅くなっただけで、「もう今日学校に行かないから!」と泣く息子。「なんでうちの子だけこんなに大変なの?」と悩んでいた私が、感じる負荷の違いを知り、子どもへの見方が変わっていった体験をお伝えします。
1.たった3分の遅れで「学校に行かない!」と泣く息子
不安が強い子をお持ちのお父さん、お母さん。
毎朝の子どものルーティンが決まっているというご家庭も多いのではないでしょうか。
朝起きる時間、朝食の時間、着替えの時間、家を出る時間。
いつもと少し違うだけで、泣いて怒ってしまうことがあります。
我が家の息子も、毎朝、起きる時間から学校に行くまでのルーティンが数分単位で決まっています。
毎朝6時に私が起こすのですが、この日は、6時3分になってしまいました。
息子はまず時計を確認します。
そして、6時を過ぎていることに気づくと、 「なんで起こしてくれないの!もう過ぎてるじゃん!」と大泣き。
その後に続いた言葉は、「もう今日、学校行かないから!!」
たった3分のズレで学校を休むという息子に、私も正直、穏やかな気持ちではいられませんでした。
このまま支度を始めても、登校時間には十分間に合います。
こんなことで大荒れすると、本当に疲れる。
いつもと違うことが嫌なのは分かってる。
でも、心はモヤモヤする。
この記事では、「同じ出来事でも感じる負荷は違う」という考え方に出会ったことで、息子への見方や、周りと比べてモヤモヤしていた私自身の気持ちがどう変わっていったのかをお伝えします。

2.理解していても、「なんでうちの子だけ…」と比べてしまう
散々わめき散らし、少し落ち着いたところで、私は息子に「遅刻していく?」と提案しました。
これまでも、ちょっとしたことで「今日は行かない」と宣言することが何度かありました。
「そんなことで休まないよ」と声をかけたこともあれば、逆に休ませたこともあります。
行かせるか、休ませるか
これが正解、という対応はないと思っています。
そのときの子どもの状態も、親の状態も違うからです。
大切なのは、そのときの子どもの様子を見て、どう関わるかを考えることなのだと思います。
この頃の息子は、ひどい行き渋りもなく、毎日登校していました。
朝の様子を見て、今は気持ちを立て直す時間が必要なのだと感じた私は、一日休むのではなく、遅刻して行くことを提案しました。
その提案に、息子は少しにやり。
しかし、私の心の中では「こんなことで遅刻していいのかな」という気持ちがありました。
無理をさせない方がいい。
子どもの状態に合わせて対応することは、甘やかしとは違う。
頭では分かっているつもりでした。
それでも、どこかで他の子と比べてしまうのです。
他の子はできるのに、なんでうちの子だけ?
たった数分のことで、こんなに荒れちゃうの?
こんなことで遅刻したり休んだりしていたら、この先どうなるんだろう。
SNSで「不登校は甘やかし」という言葉を目にすれば、気になってしまうこともあります。
息子の状態を理解しようとしているのに、自分の判断に自信が持てない。
周りと比べてはモヤモヤし、動けない息子にイライラしてしまう。
そんな自分がいました。

3.同じ出来事でも、感じる負荷は違う
以前、この出来事を知人に話したとき、「え?それだけのことで?大変だね」と言われたことがあります。
きっと、そう思う人は少なくないのだと思います。
いつもより3分起きるのが遅くなっただけ。
学校に間に合わないわけでもない。
大人の私からすれば、時間を確認して、いつもどおり支度をすればいいと思う出来事です。
ところが、息子にとっては違いました。
いつもの時間に起きられなかったことは、「一大事」だったのです。
不安が強い子は、いつもと違う状況に強い不安を感じたり、気持ちを切り替えることが難しかったりします。
脳の働きも関係していて、恐怖や不安に関わる扁桃体などの働きが、状況によって強く反応することがあります。
もちろん、すべての子に同じことが起きるわけではありません。
けれど、他の人にとっては「ちょっとしたこと」でも、その子にとっては「一大事」になっていることがあるのです。
同じ出来事でも、感じる負荷は違う。
私は、この考え方を聞いたとき、妙に腑に落ちました。
例えば、同じように学校へ行っている子どもたちでも、あまり負担を感じずに行ける子もいれば、不安や緊張を抱えながら、たくさんのエネルギーを使って行っている子もいます。
外から見える行動は同じでも、その子の中で起きていることは同じではないのです。
世間では、「頑張ることが大事」「苦手なことも乗り越えることが大事」と言われます。
だから、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、休ませるのは甘やかしなのではないか、という意見もあります。
もちろん、頑張ることで乗り越えられることもあると思います。
けれど、すでに大きな負荷がかかっている子に、さらに頑張ることを求めたらどうでしょうか。
頑張るどころか、心がいっぱいいっぱいになってしまうこともあるのではないでしょうか。
そんな子には、まず安心できる時間をつくり、安心をためていくことが必要なのだと思います。
この考え方が、私にはしっくりきました。
息子が、たった3分の遅れで大荒れした朝。
「いつもと違うことが嫌なんだから、仕方ないよね」と思う自分がいる一方で、「こんなことで遅刻させたり、休ませたりしていいのかな」「なんでうちの子だけ?」と思う自分もいました。
でも、同じ出来事でも感じる負荷が違うのなら、他の子と同じようにできるかどうかを基準にしても、意味がないのかもしれません。
他の子にとっては何でもないことでも、息子には大きな負荷がかかっている。
他の子と同じようにできるかではなく、今の息子にはどれくらいの負荷がかかっているのか。
そこに目を向けることが、私にとって大きな気づきになったのです。

4.「なんでうちの子だけ」から「まあしょうがないか」へ
息子にかかる負荷を想像できるようになると、私にも変化が訪れました。
それは2つの「まあしょうがないか」です。
①息子への「まあしょうがないか」
あの日、少し落ち着いた息子は、家で静かに動画を見ながら過ごしていました。
そして、「2時間目から行く」と自分で決め、時計を確認しながら準備をして、学校へ向かいました。
私は、息子が自分で気持ちを立て直し、学校へ行くことを決められた姿に成長を感じました。
同じ出来事でも感じる負荷は違う。
そう考えると、他の子と比べるよりも、子ども自身の過去と比べて、今できていることやできるようになったことに目を向けられるようになってきました。
他の子と同じようにできなくても、息子は息子の速度で成長している。
学校を休んだり遅刻したりしても「(こんなに頑張っているんだから)まあ、しょうがないか」と、目の前の息子を肯定できることが増えていきました。
- いつもの時間に起きないと嫌。
- 勝たなきゃダメ。
- 習い事に行きたがらない。
以前は「なんでうちの子だけ?」と思っていたことも、今では息子なりの感じ方があるのだと受け止められるようになってきました。
②私自身への「まあしょうがないか」
そして、もう一つ、私自身にも変化がありました。
息子が学校に行けているときは気にならなくても、行き渋りが始まると、「なんで他の子は普通に行けるのに」と比べてしまう。
そんな自分に、まだまだだなと感じることもありました。
そんなとき、発達科学コミュニケーションを学ぶ仲間との集まりで、私は自分が他の子と比べてしまうことを話しました。
すると、仲間がこう言ってくれたのです。
「そう感じたら、こっちに戻っておいで」
その言葉を聞いて、私はほっとしました。
比べてしまう自分にも「まあしょうがないか」。
いつも理解のある母親でいられなくても「まあしょうがないか」。
迷ったときには、またここに戻ってくればいいんだ。
そう思えたからです。
息子にとって、安心できることが大切なように、私自身にも安心できる場所が必要だったのだと思います。
子どもの状態を理解しようとしても、親だって迷うし、周りと比べてしまうこともあります。
それでも、また目の前の子どもに目を向け、自分なりに考えていけばいい。
今の私は、そんなふうに思いながら、息子と一緒に少しずつ進んでいます。

「今まで行けていたのになんで…」
「このまま不登校になったらどうしよう…」
子どもが自信を取り戻し、
自分から一歩を踏み出すために。
ママができる関わり方を 「4つのステップ」をまとめました。
執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー




