付き添い登校のわが子は人と話せない。 どう関わればいいのか悩んでいました。 原因は性格ではなく、勇気と言葉の準備不足と学び日々の関わり方を変えると、子どもは自分から話ができるようになりました。 子どもは安心したら、自分の力で伸びていった対応の仕方を紹介します。
1.人と話せないわが子に、どう関わればいいのか悩んでいた私
人と会っても挨拶できない、話すことが苦手な子どもを見て、どう関わったらいいのかわからない。
見守るべきなのか、厳しく言った方がいいのか迷ったことはありませんか?
他の子は普通に出来ているのに、うちの子はできていない気がしてしまってつい比べてしまうこともあるかもしれません。
「このままで大丈夫かな。」
そんなふうに悩んでいるママにこのお話を届けします。

2.付き添い登校で「なんでしゃべらないの?」その一言に傷ついていた
実は、私もまったく同じことで悩んでいました。
うちの子は、人前で話すことがとても苦手でした。
新学期が始まりあいさつ運動週間。
学校ではあたり前のことをあたり前にできるようにと指導されています。
学校の門で「おはよう!」と先生にあいさつをされても無反応で通り過ぎる。
出席をとるために名前を呼ばれても返事もしない、手をあげる事さえもできませんでした。
教室でみんなの前に出ることも抵抗がありました。
あいさつ運動、日直の仕事、号令、出席確認、発表どれもわが子には苦手なことでした。
そして、母子分離不安もあり私は娘と一緒に教室に入り授業を受けていました。
授業の付き添いをしていた私は、先生やお友達とのやりとりを代わりに伝える役割です。
クラスの子からは
「なんでしゃべらないの?」
「しゃべれないの?」
と聞かれることもありました。
クラスメイトからの悪気のない言葉だとわかっていても、その一つひとつが胸に刺さって私は傷ついていました。
子どもを守れない自分を責めてしまうこともありました。
学校でもうまく会話ができず、子どもは話しかけられると私の顔を見て代わりに返事をしてと訴えているようでした。
「この子は本当は何を考えているんだろう。」
「どうして家では話せるのに、外では話せないんだろう。」
そんなふうに娘の気持ちがわからなくて、もどかしさや不安を感じる毎日でした。
無理に話させるのも違う気がして、でも、このままでいいのかもわからない。
いつまでこの状況が続くのかもわからない。
そして、周りの子は当たり前にできているのに、どうしてうちの子はできないのだろうと、周りと比べては悲しくなってしまうこともありました。
私自身が娘の状況を受け入れることがなかなかできなかったのです。

3.話せないのではなく、まだ話す準備が整っていなかっただけ
今振り返ると、娘が話せなかったのには理由がありました。
当時の私はそれに気づくことができず、
「どうして話せないの。」
「ちゃんとしてほしい。」
「みんなと同じようにやってほしい。」
と思ってしまっていたのです。
けれど本当は違いました。
- 人前に立つと緊張が一気に高まり、頭が真っ白になってしまう
- ワーキングメモリのキャパがいっぱいになり、言葉が出なくなってしまう
- 話すための準備や経験が少なかった
さらに自分の考えや気持ちを頭の中で整理して、言葉にする力が十分に育っていなかったことです。
言いたい気持ちはあるのに、どう表現すればいいのか分からないそんな状態だったのだと思います。
つまり、「話せない子」なのではなく、「話すための準備がまだ整っていなかった」だけだったのです。
そう気づいたとき、私はやっと娘の見方を変えることができました。
そして私は関わり方を変えていきました。

4.「できた」が自信に変わった日
私はこの3つを意識しました。
特別なことではなく、日常の中でできることを少しずつ積み重ねました。
- ① 「今日のよかったことベスト3」で言葉を育てる
- ② カラオケで声を出す自信を育てる
- ③ 子どもの言葉をびっくりするくらい待つ
一つ目は話す経験とコミュニケーションをとるために寝る前に「今日のよかったことベスト3」を親子で報告し合います。
行動したことをイメージし言葉にしてアウトプットすることで脳が成長します。
報告タイムではすぐに言葉が出てこなくても、急かさずにできる力を「待つ」ことでお互いの今考えていることや興味のあること、思っていることがわかるようになりました。
二つ目はカラオケで思いきり大きな声を出して声を出すことへの抵抗を減らすことも効果的でした。
そして、話しているときは会話をさえぎらずに最後までしっかり聞き共感すること。
子どもはカラオケでは私の想像以上に歌うことを楽しんでいました。
三つ目は今までは会話が途切れてしまい、つい先回りして言ってしまったり、さえぎったり、せかしてしまっていました。
言葉が出てこない時間も、次の言葉を考えていたのです。
ぐっとこらえてこの子の言葉が出てくるのを信じて「待つ」ことを大切にしました。
すると、少しずつ変化が見えてきたのです。
最初は何を聞いても
「わからない。」
「わすれた。」
や一言、二言だった言葉が、 だんだんと自分の気持ちを話せるようになっていき、家の中だけでなく外でも少しずつ声が出るようになっていきました。
号令や日直の当番のときは、事前に打ち合わせをして先生や友達にフォローしてもらいながら
最初は不安そうでも、一度やってみると「できた」という成功経験になっていき、それが少しずつ積み重なって自信につながっていきました。
そして、いつの間にか
「やってみたらできた。」
その行動が記憶に残り
「この間できたからこれならできるかも。」
そんなふうに思えるようになっていったのです。

5.信じて待つことが大切だった
日直が近づいてきたときに「小さい声でも言えたらいいよね?」と言ってきたのです。
今までは声が出せなかったのに、次に進もうとしている、精一杯頑張ろうとしていた子どもの姿でした。
成功体験を積み重ねていく中で、自分で話すことがわかっている時は紙に文章を書いて家で予行練習をしていました。
日直の当日は少し不安そうでしたが、嬉しそうに「きょう一人で日直できた」と言えたのです。
その「できた」と自分から言えた時に「この子はちゃんと自分の力で前に進めているんだ」と胸がいっぱいになり嬉しくなりました。
もう自分で壁にぶち当たったときに自分で何とかする力がついている。
自分で考えて行動していく力がついていると実感できた瞬間でした。
あの頃、「どうしたらいいんだろう」と悩んでいた私に、今ならこう伝えたいです。
子どもが話せないのはママが悪いのでも、子どもの性格のせいではありません。
ただ、話すための力がまだ育っていないだけなのです。
そしてその力は、特別なことをしなくても、日々の関わりの中で少しずつ育てていくことができます。
今、同じように悩んでいるママがいたら、まずは「話させること」ではなく、「安心して話せる環境をつくること」から始めてみてください。
そして、どんな小さな言葉でもいいので、お子さんの声を最後まで受け止めてみてください。
その積み重ねが自信につながりいつか人前でも話せる力へとつながっていきます。
子どもは、自分のタイミングでのびていきます。
だからこそ、焦らずに、その子の力を信じて、見守ってあげてください。

執筆者: おやいづ さおり
発達科学コミュニケーション アンバサダー





