就学前にひらがなを書けるようになってほしい。その思いが強くて、嫌がる子どもに毎日ドリルや練習帳で何度も何度も練習させているママはいませんか?もし本気でひらがなを書けるようになってほしいと思っているのであれば、ママが焦って無理やり練習させるのは逆効果です。ひらがなの練習を効果的に進めていくために、子どもの脳をひらがな習得モードに切り替えるコツを伝授します!
1.小学校入学前にひらがなが書けるようになってほしいママの気持ち
年長児のお子さんをお持ちのママ。
お子さんはひらがなを読めますか?書けますか?
来年度の小学校入学を控え、ひらがなの読み書きに不安を感じているママも多いのではないでしょうか?
特に同じ年齢のお友達がひらがなを上手に読み書きができているようであれば、「うちの子、ひらがな読み書きできないけど、大丈夫?!」と焦ってしまいますよね。
仲のいい友達からもらったお手紙には、とても上手にひらがなが書いてあり、焦る…。
クラスのお友達は絵本をすらすら読めていて、焦る…。
更には、夏休み前の個人面談で担任の先生から「〇〇君はひらがなが書けないので、夏休みに練習しておいてくださいね!」なんて言われて、めちゃくちゃ焦っているママもいるのではないでしょうか?
子どもがひらがなを読み書きできない状況に焦って、夏休み直前にひらがなドリルや練習帳を買い揃え、嫌がる子どもに必死にひらがなを教え始めているママがいたら…
今すぐ、焦ってひらがなの練習をさせるのは、やめてください‼︎
子どもがひらがなを習得していくためには、子どもの脳がひらがな習得モードになっているかを確認する必要があります。
今現在、お子さんの脳がひらがなを習得できる状態になっているかをチェックして、段階を経て、効率よくひらがなを習得していきましょう。
2.文字の習得は記念すべき成長だと自覚すべし!
子どもが字を習得することを、私たち大人は、当たり前のこと、簡単なことと考えてしまいがちです。
あなたは幼少期にひらがなを習得した時のことを覚えていますか?
または足し算ができるようになった時のことを覚えているでしょうか?
このように当たり前にできるようになったことは、記憶に印象的には残っておらず、いつの間にか忘れてしまっていることが多いようです。
逆に自分の人生において、「できた!」「頑張った!」という思いが強く記憶に残っていることはどんなことでしょうか?
ずっと練習してきた成果が実り、大会で優勝したような栄光はずっと記憶に残っていることでしょう。
私は子どもが幼少期に字を習得できたということは、記憶に残る栄光となんら変わることのない、子どもの人生にとって記念すべき成長だと考えています。
なぜなら、字の習得は、生まれてから数年に及び長い年月をかけて、脳のあらゆる機能が少しずつ発達し続け、得ることができた賜物であるからです。
ですので、まずはママやご家族、幼稚園の先生などお子さんや身近な存在である大人が、ひらがなを書けるようになることを当たり前だと捉えて欲しくないのです。
字を習得するための脳機能が発達していないことには、ひらがなの習得は叶いません。
つまり、ひらがなを読み書きできる脳の土壌が育っていないと、読み書きの習得という花は咲かないのです。
3.人間の脳が字を習得するためのプロセス
人間の脳が字を習得する際には、いくつかの脳の機能やプロセスが関与しています。
◆視覚処理
字を習得する最初のステップは、文字を見て視覚情報を脳に送ることです。
視覚野と呼ばれる脳の領域が、文字の形状や輪郭、線の向きなどの視覚的な特徴を解析します。
◆ワーキングメモリ
ワーキングメモリは、一時的に情報を保持し、それを処理するための脳の機能です。
字を習得する際には、文字の形状やスペルを一時的にワーキングメモリに保持し、それを理解したり記憶したりするのに役立ちます。
◆言語処理
字の習得には、言語処理能力も重要です。
脳の言語領域は、文字の音と意味を関連付けるために働きます。これにより、文字の音読や単語の理解、文章の解釈などが可能になります。
◆長期記憶
字を習得するためには、長期記憶も必要です。
脳の海馬や大脳皮質などの領域が、字や単語の形や意味を長期的に記憶します。繰り返し学習や関連する情報との結びつきが、長期記憶の形成に重要です。
◆運動制御
字を習得する際には、鉛筆を握って、動かすという運動制御も関与します。
運動野と呼ばれる脳の領域が、手や指の動きを制御し、正確な運筆ができるようになります。また、運動の習熟により文字の書き方がスムーズになっていきます。
このように、脳の機能とプロセスが組み合わさって、人間の脳は字を習得していきます。
4.ひらがな習得モードに切り替わったタイミングを見逃さないで!
実は子どもは「私の脳、字を習得する準備ができたよー!」と合図を送ってくれるのをご存知でしょうか?
もし、お子さんにいつからひらがなを教えていくべきか迷っているママがいたら、その合図を見逃さないようにしてください!
その合図が出たら、ひらがな習得モードがONになった証拠。ひらがなを教える旬が来たと思ってOKです。
どんな合図かというと…
✔️道路の交通標識に興味を持っている
✔️絵本の絵ではなく、字を目で追っている
✔️お友達とのお手紙のやりとりが始まった
✔️字にはなっていない字を書き始めた etc…
子どもが「字」というものを認識し、興味を持ち始めたタイミングこそがひらがなを教え始めるベストタイミングです!
5.ひらがなが書けるようになるための大切な準備とは?
「字」に興味を持ち始めたら、字を習得するための脳のプロセスに沿って、ひらがなを教えていきましょう。
まだお子さんの脳がひらがな習得モードがONに切り替わっていないお子さんは、①と②を日常生活の中で積極的に取り入れるようにしましょう。
①②を意識的に行って行けば、脳のひらがな習得モードがONになりやすい環境を作ることができます。
◆①親子で楽しく字に触れる体験を
文字を見て視覚情報を脳に送る練習をしていきましょう。
身の回りにはたくさんの「字」が存在することを遊びの中で教えていきます。
おすすめの遊びは「文字探しゲーム」です。
ママが1文字、選んで紙に大きく書きます。
家の中で、公園で、スーパーで…。場面はどこでもいいので、その文字を親子で探すゲームです。
親子できょうだいで見つけた数を競っても面白いですよ。
応用で「文字探しビンゴ」を家族でしてみても盛り上がりそうですね。
◆②読み聞かせで絵本に触れる
文字の音と意味を関連付ける言語処理能力を育てるのに1番効果的なのは、絵本の読み聞かせです。
特に大好きなママから読んでもらえることで、子どもは絶対的安心感の中で、脳をスムーズに働かせることができます。
特に大好きな本があれば、繰り返しでも構いません。
全く字に興味を持っていない子には、特に絵本の読み聞かせは効果的です。
大きめな字が書いてある本を選んで、字を指さすようにして本を一緒に読み進めることで、子どもの脳は次第に「字」の認識をし始めます。
◆③大好きなものや人の名前のひらがなを読む
「字」を認識し、興味を持ち始めたら、いよいよ読む段階に入ります。
文字は一文字、一文字教えていくのではなく、意味のある単語を教えていくようにしましょう。
ここで特におすすめしたいのが、子どもが興味を持っているものや好きなものから導入すること。
例えば、自分の名前や好きなキャラクター、憧れの人などの名前から教え、読ませるとよいでしょう。
母子分離不安っ子の1番大好きな人と言ったら…「まま」ですよね?
ママの名前や、大好きな保育園の先生、推しのアイドルなど、普段よく目にして発する言葉を導入で使っていきましょう。
◆④読むができたら書く
さぁ、好きな言葉を読むことができるようになったら、字を書く!
…の前に、目次3で述べたように字を書くためには、鉛筆を持つ、鉛筆を動かすといった運動ができないと、うまく字を形成できません。
そこで、字の練習をする前にぜひやっていてほしいのが、線遊びです。
今は100均でも線遊びのドリルが売ってありますし、子どもの興味をそそるようなキャラクターのドリルも多く市販で出回っています。
お子さんが「これがほしい!」と思うもので結構です。
楽しい線遊びを親子で楽しむようにしましょう。
どの段階においても、ママが「早く字を書けるようになってほしい!」と焦る気持ちは一旦置いといて、子どもが「字を書くのって楽しい!」と思える体験をたくさん積むことが大事です。
「楽しい」と脳はぐんぐん伸びます。
焦っても効果はありません。
お子さんの脳がひらがな習得モードがONになる前も「楽しく!」
お子さんの脳がひらがな習得モードがONになった後も「楽しく!」
とにかく字の習得は「楽しく!」やるのが基本であることを絶対に忘れないでくださいね。