発達凸凹っ子の中には、「他の教科は良くできるのに計算が苦手!」という子がいます。そんな子は、日常生活でできる簡単な取り組みから、計算する力を伸ばしていってあげましょう。お小遣いを活用した計算力のトレーニングの方法をご紹介します。
1.「勉強が苦手な子」で済ませないで
少し前のデータですが、文部科学省が2012年、『日本の小学生の4.5%が学習面で著しい困難を示している』という調査結果を発表しました。
この結果から、学習に関して特別な支援を必要としている子どもは、各クラスに1〜2人の割合で居るということが分かります。
また、この調査の中では、学習支援が必要と考えられる子どものうち、実際に支援を受けているのは約半数程度であると示されています。
発達凸凹っ子の中でも、家庭や教室での問題行動が比較的少なく、学習のつまずき意外に困りごとが目立たない場合、それは単に「勉強の苦手な子」と捉えられがちでした。
しかし、子ども自身は、自分の努力だけでは克服できない学習面の遅れに対して、「どうして自分だけできないんだろう」という悩みや劣等感を感じている場合があります。
それが進行すると、ますます自信をなくし、学習意欲の低下や登校しぶりにつながってしまうことも考えられます。
凸凹っ子の学習のつまずきに対して、周囲の大人がその困りごとを正しく理解し、適切な支援をしていくことがとても大切です。
2.「計算力」は必要な力です
発達凸凹っ子が抱える学習のつまずきには、様々なものが考えられます。
特に大きな困りごととして現れやすいのが、
・「読み」の苦手さ
・「書き」の苦手さ
・「計算」の苦手さ
です。
今回は、この中でも「計算の苦手さ」に注目したいと思います。
「計算なんて電卓を使えばできる」と思う方もいるでしょう。
実際その通りなのですが、私たちは普段生活する中で、無意識に幾度となく計算を繰り返しています。
スーパーやコンビニでのちょっとした買い物の合計金額や、月々の支払い額の概算。
料理をするときの分量や、冷蔵庫のストックの個数。
時計を見ながら行動するときも、頭の中で時間を逆算して動きますよね。
このように、私たちは日常生活の中で、無意識のうちに何度も暗算をしているのです。
「計算が著しく苦手」なまま成長していくことは、発達凸凹っ子が将来自分の力で生きていく際に、大きな困りごととなってきます。
苦手さを完全に取り除くことは難しいかもしれませんが、子どもが小さなうちから、その困りごとに合った支援、トレーニングをすることはとても大切です。
家庭でできる簡単な取り組みから、子どもの「計算力」を鍛えてみませんか。
3.計算力を鍛えるお小遣いの活用法
そこで、今回は我が家で取り入れている『お小遣いチャレンジ』についてご紹介したいと思います。
『お小遣いチャレンジ』とは、子どもが家の仕事をお手伝いした際にもらえるお小遣いのことです。
お手伝いをすると、その内容によってお小遣いをゲットできるのですが、そのままお金をもらえるわけではありません。
うちで実践している「計算力を鍛えるお小遣いの渡し方」をご説明します。
まず、巾着袋に1円〜100円までの小銭を数枚ずつ入れます。
子どもはその巾着の中に手を入れて、触りながら小銭の額を予想し、好きな小銭を選ぶという方法です。
お手伝いの内容によって、選べる小銭の枚数が変わります。
我が家では、
・米とぎ 1枚
・布団敷き 2枚
・布団たたみ 2枚
・食器洗い 3枚
・お風呂掃除 4枚
というように、難易度が高いお手伝いほど多くの小銭を選べるように設定しています。
ここでポイントになるのが、
・小銭の枚数が正しいか
・小銭の種類を正しく認識できたか
・暗算が正しくできたか
という点です。
子どもは巾着内で必要な枚数の小銭を選んだら、その場で一旦、自分でその枚数の合計金額を計算してみます。
そして「せーの!」で巾着から小銭を出し、計算が正しかったのか確かめます。
暗算も必要ですし、手の感覚だけで小銭の種類を認識させるので指先の感覚のトレーニングにもなります。
利き手でやる方が簡単なので、慣れてきたら反対側の手を使うなど、いろいろ工夫してみてください。
お小遣いに直結するのですから、子どもは喜んで真剣に取り組みますよね!
また、お手伝いも進んでやってくれるようになるので、一石二鳥です。
息子はこのチャレンジを利用して、楽しくお手伝いに取り組んでいます。
そして自分で貯めたお小遣いで、欲しいおもちゃをゲットしたりお菓子を買ったり、買い物も楽しんでいます。
お金の使い方の勉強にもなりますし、いいことづくしです!
今回は、我が家で実践している「計算力のトレーニング」のやり方をお伝えしましたが、日常の中で計算を使う機会はたくさんあります。
親子の会話の中で、コミュニケーションの中で、簡単な計算を取り入れていくことで、発達凸凹っ子の「数字への苦手意識」を改善していくことが可能です。
日常のちょっとした工夫から、子どもの“計算力”を伸ばしていってあげましょう。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ