冬休みや年末年始は、予定や生活リズムの変化でいつも以上に子どもに「早くしなさい」と言いたくなる時期。ノロノロする子どもに「早くして!」と言ってしまい、自己嫌悪してしまうママへ。「早くして」と言わずに済む関わり方をお伝えします。
1.「早くして!」と言ってしまうのは、ママがダメだからじゃない
朝の支度やお出かけ前。
「もう時間だよ」「間に合わないよ」と思えば思うほど、子どもがゆっくりしているように見えて、つい「早くしなさい!」「ママ、先行くよ!」と言ってしまう。
そんな経験、ありませんか?
言ったあとで「また言っちゃった…」「本当は言いたくなかったのに」と、モヤっとした気持ちが残るママも多いと思います。
しかし、まずお伝えしたいのは、子どもに「早くしなさい」と言ってしまうのは、ママが短気だからでも、子育てが下手だからでもないということ。
それは、
・時間に間に合わせなきゃという責任感
・予定に遅刻して困らせたくないという思い
・忙しい毎日の中での余裕のなさ
こうしたママなりの必死さから出ている言葉なんです。
特に、子育て中は子どもに「早くして!」と口に出さないと回らない場面がたくさんありますよね。
だから「早くしなさいと言わないほうがいい」と分かっていても、実際にはなかなか難しい。
それは、とても自然なことです。
ここで大切なのは、自分を責めることではなく「なぜそんな状況になってしまうのか」を知ること。
理由が分かれば、「言わないように頑張る」ではなく、「言わずに済む関わり方」が見えてきます。

2.なぜ子どもは「早くしたくても」すぐに動けないの?
「早くしなさい!」 そう言われた子どもは、わざとゆっくりしているわけでも、ママを困らせたいわけでもありません。
実は多くの場合、早くしたい気持ちはあるのに、「次に何をすべきか」「どう動くか」を整理する力が発達の途中なだけなんです。
たとえば「着替えてね」と言われたとき。
大人にとっては一つの行動でも、子どもは頭の中で、
・どの服を着るんだっけ?
・先にズボン?それともシャツ?
・脱いだ服はどこに置こう?
と小さな確認や選択を繰り返しています。
発達の研究でも、子どもは「行動そのものより、行動を始める前にたくさん頭を使っている」と言われています。
つまり、ノロノロして見える時間は、何もしていない時間ではなく「準備が進んでいる時間」なのです。
ここで「早くしなさい」と急かされると、子どもはどうなるでしょうか。
・焦って頭が真っ白になる
・どこから手をつければいいか分からなくなる
・結果的に、さらに動けなくなる
こうした状態が起きやすいと言われています。
すると、「まだ終わってないの⁈」「ママがやるから!」とつい大人が手を出してしまいがち。
でもそれは、子どもが考えて動こうとしていた過程を″遮ってしまっている状態″でもあります。
そう考えると、「早くしなさい」と言いたくなる場面も、少し見え方が変わってきませんか?

3.私も毎日「早くしなさい」と言っていました
かつての私は、この「準備の時間」を知らず、毎日娘にイライラをぶつけていました。
出かける前になっても、なかなか遊びを終わらせない娘。
声をかけても着替えない。
靴もなかなか履かない。
そんな姿を見るたびに、私はいつも焦っていました。
「もう出ないと間に合わない」
「どうして今なの?」
「こっちは時間がないのに…」
そして気づけば、「早くしなさい」「もう先に行くよ」 そんな言葉を当たり前のように口にしていました。
慌てた娘は、「待って〜!」と言い準備を始めますが、その動きの遅さにさらにイライラが募ります。
結局最後には「もうママがやるから!」と私が先回りして片づけ、着替えさせ、靴を履かせる。
正直その方が圧倒的に早かったし、その場はそれで回っていました。
でも、心のどこかで「これでいいのかな?」という違和感もあったんです。
娘は決してやりたくないわけでも、ふざけているわけでもない。
ただ、
・何から手をつけたらいいのか
・どう進めたらいいのか
それを、自分なりに考えている途中だったんですよね。
私は「早くさせること」ばかりを見ていて、娘が『動こうとしている“途中の時間”』を待てていませんでした。
私が待てなかったのは、私自身に心の余裕がなかったから。
そう気づいたとき、「言わないようにしなきゃ」と無理に我慢するのではなく、関わり方を少し変えてみようと思えるようになりました。

4.「待つ」ことで、子どもは動けるようになる理由
「待つ」と聞くと、何もしないことや甘やかすことのように感じるかもしれません。
でもここでいう「待つ」は、ただ黙って見ていることではありません。
子どもが自分で動き出そうとしている時間を、途中で遮らずに見守るという関わり方です。
たとえば、大人でも「今から1分間スピーチをしてください」と、いきなり言われたらどうでしょう。
話し始める前に「何を話そう」「あれも言いたい、これも言いたい」と必死に考えますよね。
一番頭を使っているのは、話し始めた後ではなく、話し始める前の準備時間です。
子どもも同じで、ノロノロしているように見える行動する前の時間に、一生懸命「どうしよう」「何からやろう」とたくさん考えています。
そのタイミングで「早くしなさい」と急かされると、せっかくの思考が途切れてしまいます。
逆に、少し待ってもらえると、子どもは自分の考えをまとめ、納得して動き出すことができます。
この「待ってもらえた経験」の積み重ねが、結果として行動を早めていく土台になります。
だからこそ、「早くしなさい」と言わずに待つことは、遠回りのようでいて子どもが自分で動けるようになるためのいちばんの近道でもあるんですね。

5.今日からできる!「早くしなさい」を言わずに済む3つの工夫
「待つのが大事なのは分かったけど、正直、毎回は難しい…」 そう感じるママも多いと思います。
ここでは、忙しい毎日でも取り入れやすい工夫を3つ紹介しますね。
① 時間を“今”ではなく、少し前から伝える
「もう出る時間!」と急に伝えても、子どもはいきなり行動を切り替えるのは至難の業。
そこでおすすめなのが、少し前から声をかけておくこと。
それも、大人が考えるよりももっと前に、余裕をもって伝えるのがポイントです。
たとえば、
「あと30分で出るよ」
「この時計の針がここまで来たら出発ね」
こうして予告しておくと、子どもは心の中で準備ができます。
「どれくらい前に伝えるのがいいのか?」はお子さんのタイプによって違います。
30分前、1時間前、半日前…など、「うちの子はどれくらい前に伝えると準備できるのかな?」という視点でいろいろ試して、
お子さんに合った『予告タイミング』を探してみてくださいね。
② 「早くしなさい」を動きやすい言葉に言い換える
どうしても声をかけたいときは、急かす言葉ではなく、行動がイメージしやすい言葉に変えてみましょう。
たとえば、
「早くしなさい」
→「靴下どっちにする?」
「まだなの?」
→「ここまでできたね」
「置いていくよ」
→「ママ、ここで待ってるね」
命令ではなく、一緒に進める言葉に変えるだけで子どもの動きは変わりやすくなります。
③ ママの中で「今は育っている時間」と言葉を置き換える
それでもイライラしてしまうときは、心の中でこう唱えてみてください。
「今は、考えている時間なんだ」
「この時間が、脳を育ててるんだな」
そう思えるだけで、表情や声のトーンが少し柔らかくなります。
完璧に待てなくても大丈夫。
「早くしなさい」と言わずに済む回数が、1回増えるだけでも十分です。
特に冬休みや年末年始は、予定が詰まったり生活リズムが崩れたりして、いつも以上に焦りやすい時期。
それでも関わり方を少し変えるだけで、言わずに済む場面は確実に増えていきます。
忙しい毎日の中で、今日できそうなものを、ひとつだけ。
ぜひ試してみてくださいね。






