学校に行けるけど教室入れない繊細な子どもが安心できる親と学校の対処法

教室に入れない,HSC,理由,対処法
学校には行けるけれど、教室に入れない…、教室に入るのが怖い…こんなお子さんはいませんか?繊細な気質を持つ子どもが教室に入れない理由と、安心して過ごせるように親と学校でできる対応策について紹介します。
 
 

1.学校には行けるけど「教室に入れない…」HSCの息子の体験談

 
 
わが家の小3の息子は、HSC(ひといちばい敏感な子)不安が強く、学校が苦手です。
 
 
小2の春に登校しぶりがはじまり、1人では学校へ行けなくなったことから、登校から下校まで終日母子登校を続けています。
 
 
息子の登校しぶりが本格化した頃、なんとか学校までは行けるものの、下駄箱から動けず廊下まで登校するのが精一杯。
 
 
教室に入れない日が続きました。
 
 
息子は机と椅子を廊下に出してもらい、廊下で授業を受けるスタイルで過ごしていました。
 
 
先生やクラスメイトのお友達にサポートしてもらいながら、テストも廊下で受け、給食も廊下で食べていました。
 
 
そんな息子がよく言っていたセリフが
 
 
「教室に入るのが怖い…」
 
 
発達科学コミュニケーションで息子への関わり方を変え、自分の気持ちを話してくれるようになってからは、なぜ教室には入れないのか、その理由を少しずつ話してくれるようになりました。
 
 
それは、多くの人にとっては些細なことで思いもつかないようなこと。
 
 
たとえば、
教室の匂いが嫌だ」
「音楽室はみんなで好き勝手に演奏しているときの音の大きさが耐えられない」
「全校集会は人が多すぎるから無理」
大きい声を出す先生の授業がつらい」など。
 
 
HSCの気質を持つ息子にとっては、それらの環境は1日を過ごすにはとてもハードルが高く、過ごしづらい環境であることがわかりました。
 
 
この経験がHSCの子どもが教室に入れない理由や、親としてできる対処法を考えるきっかけになりました。
 
 
 
 

▼「どうしたら母子登校を卒業できる?」の答えがここに!▼

みほさん小冊子

 
 

2.HSCの子どもが教室を怖がる理由とは?

 
 
HSCとは、Highiy Sensitive Childの略称で、「ひといちばい敏感な子」という意味です。
 
 
HSCは病気ではなく、その子が持っている気質です。
 
 
そのため、親御さんの育て方や関わり方が悪かったといったような、子育ての仕方に起因するものではなく、HSCの気質自体ネガティブなものでもありません。
 
 
HSCの気質は人口の20%程度、つまり5人に1人が持ち合わせていると言われています。
 
 
そのため、決して珍しいものではなく、学校のクラスに数人程度いる割合と考えられています。
 
 
HSCの子どもは、一般的な子どもよりも感受性が強く、環境の変化や人の言葉・態度に敏感に反応します
 
 
そのため、教室という空間がストレスになることも少なくありません。
 
 
その理由はお子さんによって様々です。
 
 
息子のように自分で何が苦手なのかを話してくれれば対処法も見つけやすいですが、とくに低学年のお子さんの場合は、自分でも何が理由なのかをわかっていない場合もあります。
 
 
ましてや説明することは難しくてできないことも。
 
 
一般的にHSCの子どもが教室に入れない具体的な事例として、次のようなことが挙げられます。
 
 
✓音や視覚の刺激が強すぎる
たくさんの子どもがいる教室は、話し声や物音が絶えず、先生の大きな声の指示も飛び交います。
HSCの子にとっては、そのすべてが刺激になり、教室にいるだけで疲れてしまうのです。
 
 
✓集団行動へのプレッシャー
「早く席につかないといけない」「みんなと同じようにしないと怒られる」というプレッシャーを強く感じる子もいます。
完璧にやろうとする気持ちが強いため、少しでも不安があると動けなくなってしまうことがあります。
 
 
✓先生や友だちとの関係への不安
「先生に注意されるかもしれない」「友だちにどう思われるか不安」といった気持ちが先行し、教室に入ること自体を怖がるケースもあります。
 
 
 
 

『育てにくさ』を感じているママ必見!
 新学期がうまくいく親の関わり方とは⁈
 ダウンロードはこちらから↓↓

新・ASDのトリセツ

 
 

3.逆効果!HSCの子どもへのNG対応

 
 
HSCの子どもが教室に入れないとき、ついやってしまいがちな対応の中には、逆効果になってしまうものもあります。
 
 

◎避けたほうがよい対応◎

 
 
✓「みんなできてるよ!」と比べる
他の子どもと比べることで、さらにプレッシャーを感じてしまいます。
「どうして入れないの?」という言葉も、責められているように感じるため逆効果です。
 
 
✓無理やり教室に入れようとする
「それくらい、たいしたことないよ!大丈夫!」と言って手を引いて無理やり連れて行こうとすると、恐怖心が強まり、ますます教室に入れなくなってしまいます。
 
 
✓「頑張って!」と励ましすぎる
良かれと思って言った「頑張れ」がプレッシャーになり、さらに不安を強めることがあります。
 
 
HSCの子どもは、教室もしくは学校の『何か』が気になって「教室が怖い…」と言っています。
 
 
まずは何がそんなに怖いのか、しっかりとお子さんを観察したり、ゆったりと話を聞いてあげることが大切です。
 
 
そして、親御さんとして、できる限りそれらの不安要素を取り除いてあげましょう。
 
 
 
 
▼今日からできる実践テクニックつき▼
外ではいい子、家では癇癪の子に
必要な対応がわかります!

家でははげしい癇癪 記事中バナー

 
 

4.HSCの子どもが安心して教室に入れるための対処法

 
 
HSCの子どもが少しずつ教室に入れるようになるためには、不安を減らし、安心できる環境を整えることがポイントです。
 
 

◆不安要素を取り除く工夫

 
 
・「安心できるルーティン」を作る
毎朝決まった手順で登校する、教室の前で一緒に深呼吸をするなど、習慣化することで気持ちを落ち着かせることができます。
 
 
・「安心グッズ」を持っていく
お守りのようなもの(好きなキャラクターのハンカチ、小さなぬいぐるみなど)を持たせると、不安が和らぐことがあります。
 
 
・教室以外の場所から少しずつ慣れる
まずは廊下、次に教室の入り口、次に席の近く…と、段階的に慣らしていくと、子どもにとって負担が少なくなります。
 
 

◆先生との連携のポイント

 
 
HSCの子どもが教室に入ることに不安を感じている場合、先生としっかり連携を取ることも大切です。
 
 
・子どもの特性を理解してもらう
HSCの特性を説明し、お子さんがどんなことに不安を感じているのか理解してもらうことが大切です。
 
不安の一例:
一斉授業のペースに合わせるのが難しい
周りの席の子が元気いっぱいだったり、ちょっかいを出してくるのが、とてもストレスになっている
 
「無理に入らせるのではなく、安心できる方法を一緒に考えてほしい」と伝え、可能な限りのサポートをお願いしましょう
 
 
・事前にスモールステップを共有する
「まずはドアの前まで行く」「次に教室の入り口に立つ」「1ミリだけ教室に入ってみる」など、小さなステップを先生と共有し、段階的に進めるとスムーズです。
 
 
・先生と子どもが安心して話せる時間を作る
授業時間ではなく、落ち着いた環境で先生と話す機会を作ると、子どもも安心しやすくなります。
 
 
教室に入れない日が続くと、お子さんが不登校になってしまうのでは?と考え不安になりますよね。
 
 
しかし必ずしも教室に入れるようになることが問題解決のゴールではありません。
 
 
どうしても教室に入るのが難しい場合は、教室に入らなくても済む代替え案をお子さんや先生と一緒に考えておきましょう。
 
 
HSCの子どもが教室に入れないのには、それぞれに理由があります。
 
 
無理に克服させようとするのではなく、不安を取り除きながら、少しずつ前に進める方法を見つけていけるといいですね。 
 
 
 
 
 
 
 
 
執筆者:永瀬 未歩
発達科学コミュニケーション トレーナー
 
タイトルとURLをコピーしました