何かにチャレンジするとき、やる前から「僕には無理だよ…」と諦めてしまう子はいませんか?分離不安っ子がチャレンジできない理由として、自己効力感の低さがあります。自己効力感を育てる声かけをマスターし、子どもに行動できる自信を授けてあげましょう。
1.チャレンジできない分離不安っ子は自己効力感が低いのかも
「僕にはできないもん」
「私がやっても無理だよ」
我が子がこんなふうに自信のない発言をしていたら、親としてどう思いますか?
「そんなのやってみなきゃ分からないじゃん!」
「できないって決めつけないで」
と、チャレンジして欲しい気持ちになりますよね。
分離不安っ子がこのような発言をする裏には、『自己効力感』の低さがあります。
自己効力感とは、“自分は目標を達成するための能力を持っている”と認識することを指します。
「自分ならできる」「きっとうまくいく」というように、“自分の行動には効果がある”という期待感や自信の感情です。
一方、近年よく聞かれる『自己肯定感』は、無条件で“自分には価値がある”と認める感情になるので、この2つ『自己効力感』と『自己肯定感』は似ているようで異なります。
子どもが何か行動する上で、その原動力になるのが自己効力感です。
「勉強したらテストで良い点が取れるんじゃないか」
「練習を頑張ればサッカーチームのレギュラーになれるんじゃないか」
など、“自分の行動や頑張りが未来の良い結果につながる”と信じてチャレンジすることができる力です。
分離不安の子たちは、この自己効力感が十分でないために、不安な気持ちや後ろ向きな発言が出てしまうのです。
2.我が子につけて欲しい力
さて、突然ですが、『子育てのゴール』ってどこだと思いますか?
物理的なことで言えば、子どもが自立して家を出たとき、パートナーを見つけて新しい家庭を築いたとき、などが挙げられますよね。
では、子どもの心の成長に目を向けた場合、どうなればゴールなのでしょうか。
私は、“子どもが自分の力で未来を切り拓き、自分らしく生きていく力”を身につけられることが、親にとっての使命でありゴールなのではないかと思っています。
そのために必要になるのが、前述した自己効力感です。
自己効力感が高いと、人生で何か壁にぶち当たったときも、「自分が何とか工夫して努力すれば解決できる!」と未来を信じて行動に移すことができます。
また、例え自己肯定感が低い場合でも、この自己効力感があれば、自分の能力を過信せずに「努力して達成する」「自信がない分、準備や予習を入念にしてから本番を迎える」など、プロセスに重きを置くことができます。
この力こそが、子どもが成長したときに、自分で未来を切り拓いて生きていく力となるのです。
3.「行動の肯定」が成功体験となる
では、日常の中で分離不安っ子の自己効力感を育てていくにはどうしたら良いのでしょうか。
ポイントは『行動の肯定』にあります。
子どもの行動そのものを肯定してあげるのです。
「早く起きれたね。自分から起きてこれたね」
「食器を運んでくれてありがとう」
「漢字練習、集中してきれいに書けているね」
など、行動を肯定されたり、行動に感謝をされると、子どもは“自分の行動”に自信が持てるようになります。
行動を肯定されると、自分自身をもっと高めたくなります。
この積み重ねが、子どもの『自分の行動に対しての自信』を育て、「自分の行動には効果がある」という自己効力感につながっていくのです。
行動の肯定=小さな成功体験の積み重ねです。
小さな成功体験が増えていくことで、大きな自信に変わっていきます。
子どもの行動そのものを肯定すれば良いので、今日からすぐに始められる声かけです。
ぜひ、ママの声かけで小さな成功体験をたくさん重ねて、我が子に自己効力感を授けてあげてくださいね。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ