少し注意されるとすぐ泣いてしまうお子さんへの対応に悩んでいませんか?周りの心無い言葉に落ち込むことも…。でもすぐ泣くのは甘えではなく、繊細さや脳の特性が原因かも。すぐ泣く子の心理と、自己肯定感を育てる親の具体的な対応法を紹介します。
1. 「育て方が悪いの?」少し言われただけで泣く子の悩みを持つママへ
少し言われただけで泣く。ちょっと怒られただけで泣く。ちょっと注意されただけで泣く。
そんな子どもの姿に、「泣き虫だなぁ」「メンタル弱すぎだなぁ」と心配になり、どう接したらいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
また、「甘やかしすぎなんじゃない?」「怒られ慣れてないんじゃない?」など、周りから心ない言葉を投げかけられて、もっと怒らないといけないのかな?と自信を無くしていませんか?
私もまさにそうで、「もっと厳しくしなきゃ」と自分を責めたり、周りの目を気にしてしまうことが何度もありました。
でも、すぐ泣くのは性格や育て方よりも『繊細さの理由』が原因だと知ってから、子どもの見方がガラリと変わったのです。

2.少し言われただけで泣く息子
私の息子は、自分はすぐ怒るのに、少し注意されただけで涙が出るタイプ。
ある日、パパから「ハムスターのお世話を自分でするから、飼ったんだよね?お掃除してあげて」と言われただけで、涙がポロポロ…。
落ち着いてから息子に聞いてみると、「今やろうと思ってた」「怒らなくてもいいのに」そんな気持ちを伝えたかったと打ち明けてくれました。
でも、そのときは言葉より先に涙が出てしまい、思いを伝えられなかったのです。
パパも「そんなことで泣かなくていい」「泣くくらいなら、早くやりなさい」とさらに叱る…。
結果、ハムスターのお世話よりも「泣いたこと」自体が問題視されるという、悲しいすれ違いが生まれていました。
実はその時は分かりませんでしたが、後に息子は繊細なタイプであるということが分かりました。
本人の性格でも、ママの育て方が原因でもありません。
繊細な息子には、少し言われただけで涙があふれてしまう理由があったのです。

3.なぜ「注意されると泣く」のか?
どうしてすぐ泣いてしまうのか?
それは脳の特性が関係しています。
脳には、身の危険を察知する「警報センサー」のような働きをする部分があります。
繊細な子どもの脳の特性として、この警報センサーが過剰に働くことが分かっています。
その正体は「扁桃体」という脳の部位です。
このセンサーが過敏に働くため、繊細な子どもは受け取る力がとても強くなるのです。
例えば、親が「5」の叱り方をしただけでも、子どもは「10」叱られたように感じ、自分を責める傾向にあります。
また、言葉だけでなく、叱った人の表情、声色、ジェスチャーなど、相手の「怒りモード」をフルでキャッチしてしまうのです。
このように外部からの刺激を受け取る力が強いため、日ごろからいろんなことを我慢して頑張っている傾向があります。
本人も気付かないところでストレスが溜まっていくと、心の中の“我慢タンク”がいっぱいに。
そして、ちょっと注意された瞬間、(子ども本人なりの理由があるのですが)それを言葉にして伝えようとすればするほど、身を守るセンサーが働き、感情が一気にあふれて言葉より先に涙がこぼれ、すぐに泣いてしまうのです。
この反応は本人の意思で止められるものではなく、「泣かないようにしなさい」と叱っても改善しません。
このようなことが続くと、怒られたと感じることが多くなり、さらに「泣く=悪いこと」と刷り込まれ、自己肯定感も下がってしまいます。
特に、幼少期は自己肯定感が育つ大切な時期。
この時期に、怒られ体験が増えると、癇癪や暴言、暴力など二次障害と言われる困りごとが増え、年齢が上がるにつれて、うつ症状が表れる可能性があるとも言われています。

4.【今日からできる】気持ちを代弁する声かけで自己肯定感を育む
すぐに泣いてしまうのは、自分を守ろうと脳が働いているから。
自分ではうまく言葉にできない気持ちがあふれている証拠なのです。
ほとんどの場合、繊細な子どもが、怒られることに慣れることはありません。
ただ怒られないように、顔色を伺って行動するようになるだけです。
では、どうすればいいのでしょうか?
まず大切なのは、「泣くことを責めない」こと。
そして、子どもの気持ちを代弁する声かけがとても有効です。
私は息子が涙を流したとき、
「泣きたいくらい悔しかったんだよね」
「そんなこと思ってないのに注意されたから涙が出ちゃったんだよね」
と、気持ちを代弁するような言葉で声をかけました。
すると、息子はこぼれそうになる涙をぐっとこらえ、少しずつ感情をコントロールできるようになってきたのです。
自分の感情を言葉にして出す練習を繰り返すと、脳のセンサーが過敏に働くことも少しずつ減っていきます。
その結果、泣くことも少しずつ少なくなっていくのです。
まずは、ゆっくりとしたトーンで、優しい笑顔で、繊細な子どもの気持ちを受け止めてあげてください。
そして、普段から、人一倍頑張っている子どもの気持ちを吐き出させてあげましょう。
我慢タンクを″空っぽ″にする時間を意識して作ってあげるのです。
たとえば、スキンシップ、安心できる会話、自由に遊べる時間など。
「叱られる前に気持ちを出す習慣」が、涙より先に言葉を選べる力につながります。

まとめ:すぐ泣く子は『甘え』じゃない。原因とママの接し方で変わる未来
● すぐ泣く子の原因は、育て方ではなく脳の特性にある
● 子どもの気持ちを理解し、泣くことを責めないことが何よりも大切
●「気持ちを代弁する」声かけを繰り返すことで、感情のコントロールが身につく
すぐ泣くことは、決して「甘え」ではありません。
すぐ泣くことは弱さではなく、人の感情に気づける力でもあります。
そしてその繊細さは、これからの人間関係や思いやりの土台になるすてきな力です。
親が安心できる関わり方を続けていけば、少しずつ、そして確実に、涙は減っていきます。
涙より先に言葉で伝えられるようになっていきますよ。

【よくある質問】
Q.HSCとは?繊細な子どもの特徴とチェック方法
Q.『小学生なのにママべったり…』はどうして?分離不安へのNG・OK対応を解説!
Q.こんなに繊細で将来が心配…というママへ。元分離不安っ子の体験談!