不安が強い中学生の娘は、家の中でハグを求めて甘えてきます。夫には『甘やかしすぎ』と言われることも…。それでも私が娘のハグに応える理由があります。不安が強い子どもを育てるママにぜひ読んでほしい、安心感を与えるスキンシップの効果を解説します!
1.中学生の娘も環境の変化に弱い、不安が強い子ども
私には中学生の娘がいます。
身長も150cmほどあり、見た目は普通の女の子です。
しかし、彼女は不安が強い特性を持っています。
学年が変わること、学校が変わること、知らない友達の中に入っていくことなど、環境の変化がとても苦手です。
「ママぎゅーして」と甘えてくるのは家の中だけですが、
夫は『こんなに大きな子が何甘えてるの?』と冷たく言うことがあります。
その態度が、言葉でなく表情に出ていることもあります。
夫の主張には次のようなものがあります。
✔︎甘えたままだと自立できないのではないか。
✔︎大きな子が抱きつくのは恥ずかしい。
✔︎ママが甘やかしすぎなんだ。
一方で、私はこう考えています。
✔︎家の中だけだから、ハグしたっていいじゃない!
✔︎中学生で体が大きくなったって関係ない。
✔︎子どもが求めてくれるうちは応えてあげたい。
それでも、夫の意見を聞いていると、わからなくもない…。
「もしかして甘やかしすぎなのかな」と不安になることもあります。

2.不安が強い子がハグを求める理由
東邦大学の研究に『両親のハグによって赤ちゃんがどのような反応を示すのか…』という心拍間隔の変化を調べた研究があります。
それによると、両親のハグが赤ちゃんの心拍間隔に変化を与え、副交感神経を活性化させることでリラックス効果をもたらすことが明らかになっています。
これは、赤ちゃんだけでなく、成長した子どもにも同じ効果が期待できるのです。
例えば、不安や悲しみで泣いている子どもをぎゅーっと抱きしめると、泣き止んで落ち着いた経験はありませんか?
ハグによって脳内に「オキシトシン」と呼ばれる愛情ホルモンが分泌され、不安やストレスが和らぎ、心身ともにリラックスできるのです。
不安が強い子どもがハグを求めるのは、この安心感を本能的に感じ取っているからなのです。

3.不安が強い子にハグが与えるいい効果
「中学生にもなってハグしても大丈夫?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、ハグをしないなんてもったいない!
子どもを抱きしめる効果は科学的にも裏付けられています。
先ほど述べたようにハグをすると、愛情ホルモンのオキシトシンが分泌されます。
つまり、親子でハグをすると、子どもにも自分にもオキシトシンが作られます。
これはお互いの心が安らぎ、幸福感や愛情も深まり、絆も強める物質なのです。
普段からスキンシップをとることで、愛情ホルモンに満たされ、子どもは不安やストレスに強くなっていくことが期待されます。

4.中学生でも不安が強い子には、ぜひハグを!
私の夫も混同していた『甘やかす』と『甘えさせる』の違いについてお話しします。
甘やかす:物理的・金銭的な要求(おもちゃやお菓子をすぐ買い与えるなど)に応えること。
甘えさせる:心の面での要求(スキンシップや話を聞くなど)に応えること。
「ぎゅーして」と言われたときにハグをして応えることは、「甘えさせる」に該当します。
不安な時に受け入れられることで、「自分は親から愛されている」という安心感を得るのです。
それを繰り返すことで、徐々に自分に自信を持てるようになり、自立心が高まっていきます。
これは、「甘えさせる」ことで気持ちが満たされたからこそ現れる結果といえます。
そして、不安を解消するためには次の3つのステップが効果的です。
①不安を人に話す、文字に書き出す
→(娘の場合)「ママに話す」という形で表現。
②不安の原因を明確にする
→(娘の場合)中学校や勉強が不安なことを理解。
③不安を和らげる方法を考える
→(娘の場合)「ママにぎゅーしてもらう」という対処法を自ら見つけた。
不安が強い娘にとって、ハグは「今、ママが必要」と感じた時に安心感を得る大切な手段です。
そして、『ぎゅーっとしてもらわなくても大丈夫』な心の強さを育むための大事なステップなのです。

子どもが甘えるのは、ママとの信頼関係が築かれている証拠です。
ママの子育てに自信を持ってくださいね。
「もう中学生だから…」と年齢で制限せず、情緒的な欲求(抱っこ、ハグ、私を見て等)にはしっかり応えてあげましょう。
私の娘は発達障害グレーゾーンで、不安が強く気持ちを言葉で表現するのが苦手です。
しかし、「ぎゅー」することで気持ちが落ち着くと理解しています。
この行動は、彼女なりにストレスを解消する方法を見つけた結果です。
だからこそ、夫に何を言われても、娘が求める限りハグに応えたいと思います。
「甘えさせる」のは親が止めるべきことではなく、子ども自身が自然と離れていくものです。
自立のペースは、子どもそれぞれで大きく異なります。
いつか娘が私から離れていく日が来るまで、その成長を見守りながら、しっかりと寄り添っていきたいと思います。
執筆者:田中 さくら
発達科学コミュニケーション リサーチャー