「ママ、ぎゅーして」と言う子ども。ハグを求めるのは甘え?それとも不安のサイン?子どもの心理と、年齢が上がっても安心感を育てる関わり方を解説します。
「ママ、ぎゅーして」 子どもにそう言われて、少し戸惑ったことはありませんか?
もう大きいのに甘えすぎ?
それとも、何か不安があるサインなのかな…
と、考えてしまうママも多いと思います。
実は、子どもがハグを求める行動には、気持ちを落ち着かせたい・安心したいという心の動きが隠れています。
年齢が上がるほど、不安や緊張をうまく言葉にできず、「ぎゅーして」という行動で気持ちを伝える子もいます。
私自身も、中学生の娘から家の中で「ママ、ぎゅーして」と求められることがあります。
夫から「甘やかしすぎじゃない?」と言われ、この関わりでいいのか悩んだこともありました。
でも、子どもがハグを求める理由や心の仕組みを知ってから、その行動を”心配”よりも“大切なサイン”として受け止められるようになったのです。
この記事では、
・子どもがハグを求める心理
・「ぎゅーして」と言う背景にある不安や安心感
・年齢が上がってもハグが心に与える影響
について、ママの目線でわかりやすくお伝えします。
「このままで大丈夫かな?」と迷っているママが、少しホッとできるヒントになれば嬉しいです。
1.子どもが「ママ、ぎゅーして」と言うのはなぜ?
子どもがハグを求めるとき、そこには「甘えたい」だけでなく、安心したい・気持ちを落ち着かせたいという心の動きがあります。
不安や緊張を感じたとき、大人は言葉で説明できますが、子どもはまだうまく言葉にできないことも多いものです。
そんなとき、「ママ、ぎゅーして」「ハグしてほしい」という行動で、心の状態を伝えようとします。
年齢が上がるほど、周りの目を気にしたり、「弱いと思われたくない」という気持ちが出てきて、不安を言葉にするのが難しくなる子もいます。
私の中学生の娘も、学校や環境の変化があると、家の中でそっと「ママ、ぎゅーして」と甘えてきます。
安心できる場所でだけ気持ちをゆるめているのかもしれません。
子どもがハグを求めるのは、「困っている」「助けてほしい」という心からのサイン。
それは決して、自立できていないのでも、甘えすぎているのでもありません。
まずは「どうしたの?」と理由を探す前に、「安心したいんだね」と受け止めてあげることが、子どもの心を守る大切な一歩になります。

2.ハグを求める子どもの心理|心の中で起きていること
子どもがハグを求めるとき、心の中では「安心したい」「落ち着きたい」という気持ちが強くなっています。
不安や緊張を感じると、私たちの体は無意識のうちにこわばり、心拍が早くなったり、気持ちがザワザワしたりします。
そんな状態をやわらげるために、人は本能的に安心できる人との触れ合いを求めます。
実際に、心拍や自律神経の変化を調べた研究でも「抱きしめられることで心拍が安定し、リラックスしやすくなる」ことが示されています。
このとき、体の中では「オキシトシン」と呼ばれる愛情や安心感に関わるホルモンが分泌されるといわれています。
オキシトシンは、不安やストレスをやわらげ、「ここは安全」「大丈夫」という感覚を体に伝えてくれる役割を持っています。
この働きは、赤ちゃんだけでなく、成長した子どもや大人にも共通するものです。
特に、不安を感じやすい子どもや、気持ちを言葉で表現するのが苦手な子にとって、ハグはいちばん早く安心できる方法になることがあります。
「ぎゅーして」と言うのは、甘えたいからというよりも、自分の気持ちを整えるための行動。
言い換えれば、子どもなりに自分を落ち着かせる方法を知っているということでもあるのです。
だからこそ、ハグを求める行動を「困ったクセ」や「直すべきこと」と捉える必要はありません。
まずは、「今、不安なんだね」「安心したいんだね」とその気持ちを受け止めてあげることが、子どもの心を落ち着かせる大きな支えになります。

子どもの不安は、
「ぎゅーして」と言う行動以外にも、
日常のいろいろな場面に表れることがあります。
「ぎゅーして」と言う行動以外にも、
日常のいろいろな場面に表れることがあります。
3.子どもとハグする効果|大きくなっても意味がある理由
「でも、ハグって本当に意味があるの?」
「その場しのぎになっていない?」
そう感じるママもいるかもしれません。
確かに、ハグをしたからといって、不安の原因そのものがすぐになくなるわけではありません。
けれど、気持ちが落ち着く“土台”を整えるという点で、ハグはとても大きな役割を持っています。
例えば、不安でいっぱいの状態のままでは、人の話を聞いたり、考えを整理したりすることは難しいですよね。
子どもも同じです。
ハグによって安心感が満たされると、張りつめていた気持ちが少しゆるみ、 「今、何が不安なのか」「どうしたらいいのか」 を考えられる状態に近づいていきます。
実際、ぎゅっと抱きしめたあとに、さっきまで泣いていた子が少し落ち着いて話し始めたり、表情がやわらいだりする場面を経験したことがあるママも多いのではないでしょうか。
これは、ハグによって安心感が高まり、心と体が「大丈夫な状態」に戻ろうとしているサインです。
また、日常的にスキンシップを受け取っている子どもは、
「困ったときは助けを求めていい」
「自分は受け入れてもらえる存在だ」
という感覚を、少しずつ心の中に積み重ねていきます。
この安心感の積み重ねが、 結果として
・不安に振り回されにくくなる
・自分の気持ちを立て直しやすくなる
・一人でできることが増えていく
といった変化につながっていくのです。
つまり、ハグは自立を遠ざけるものではなく、自立へ向かうための“心のエネルギー補給”。
年齢が上がっても、子どもがハグを求めるのは、今の自分に必要な安心感をきちんと感じ取れている証拠だといえるでしょう。

4.ハグは甘やかし?「甘え」と自立の関係
「ハグに応えるのは、甘やかしなのかな」
「このまま自立できなくなったらどうしよう」
子どもが大きくなるほど、そんな不安を感じるママは少なくありません。
ここで一度、「甘やかす」と「甘えさせる」の違いを整理してみましょう。
「甘やかす」:子どもが欲しがるものをすぐに与えたり、本来自分でできることまで親が代わりにしてしまうこと。
一方で、
「甘えさせる」:不安な気持ちに寄り添い、安心できる関わりを通して心を支えること。
「ママ、ぎゅーして」と言われたときにハグで応えるのは、後者の甘えさせる関わりにあたります。
不安なときに受け入れてもらえる経験を重ねることで、子どもは「自分は大切にされている存在だ」という安心感を得るのです。
この安心感があるからこそ、子どもは少しずつ、自分の力で一歩踏み出せるようになります。
私自身も中学生の娘がハグを求めてくることに対して、「この関わりでいいのかな」と悩んだ時期がありましたが、
ハグを通して気持ちを整えられるようになった娘は、少しずつ自分の不安を言葉にしたり、一人で乗り越えようとする姿も見せてくれるようになりました。
甘えさせることは、自立を止めることではありません。
むしろ、安心できる土台があるからこそ、子どもは自分のタイミングで離れていくのです。
■不安を整える3つのステップと、娘なりの対処法
娘と関わる中で、私自身が意識してきたことがあります。
それは、不安を「なくそう」とするのではなく、不安と付き合う力を一緒に育てることです。
娘が不安を感じたとき、私は次のようなステップを大切にしてきました。
①不安な気持ちを外に出す
娘の場合は、ノートに書くよりも「ママに話す」という形が合っていました。
②何が不安なのかを一緒に整理する
「なんとなくイヤ」というモヤモヤした気持ちが、中学校のことや勉強のことなど、少しずつ言葉になっていきました。
③不安を和らげる方法を見つける
娘が自分で選んだ方法が、「ママにぎゅーしてもらう」ことでした。
不安が強い娘にとって、ハグは「今、ママが必要」「ここは安全」と感じられる大切な安心の手段だったのだと思います。
そして大事なのは、このハグが「ずっと必要なもの」ではないということ。
安心できる経験を重ねることで、娘は少しずつ「ぎゅーっとしてもらわなくても大丈夫」と思えることが増えていきました。
ハグは依存ではなく、自分の気持ちを立て直す力を育てるためのひとつのステップだと実感しています。
だから私は、娘が「ママ、ぎゅーして」と求めてくる時間を無理に終わらせようとは思っていません。

年齢で区切る必要はありません。
「もう中学生だから」と我慢させるのではなく、その子が必要としている間は、安心を受け取れる関係でいてあげてください。
子どもが甘えてくれるのは、ママとの信頼関係がしっかり築かれている証。
どうか、今の関わりに自信を持ってくださいね。
「この関わりでいいのかな」と
迷うママにこそ読んでほしい1冊です。
迷うママにこそ読んでほしい1冊です。
執筆者:田中 さくら
発達科学コミュニケーション リサーチャー





