屋内レジャー施設などでは子どもの泣き声や笑い声、さらに騒々しい音といった雰囲気がつきものですが、HSCにとってはその騒々しい音を不快なものとして敏感に感じとる気質があります。きょうだいもいる中での親の上手な関わり方をお伝えします。
1.音に敏感な子どもに違和感を感じていませんか?
屋内レジャー施設など、人がたくさんいるような場所で騒々しい場面に遭遇すると、なぜか急に不機嫌になる子ども。
「放っておけば、そのうちよくなるだろう」と思っているママはいませんか?
その問題はもしかしたら子どもの「繊細な気質」から来ているものかもしれません。
子どもが人の多さや騒々しさに敏感に反応している場合、またはそのような場所に来ると子どもが不機嫌になっていると感じる場合はこの記事を読んでみてください。
このような気質を持つ子どもを親が理解することで、子どもの安心に繋がります。
ママは子どものサポーターです!
子どもの困りごとに寄り添える一番の理解者になりましょう。
2.あまりの騒々しさに「ここ嫌だ」と言った子ども
ゴールデンウィークに家族で屋内施設に出かけた時のこと。
お昼ご飯を食べようとレストランに入ると、そこは小さい子向けの施設だったので、泣き声やわめき声がワンワン飛び交っているような騒々しさがありました。
当時7歳の長男が、
「なんかここ、うるさくて嫌だ…」
長男がその騒々しさに困っていることを口にしたのです。
確かに私も通常以上に騒々しいなと感じましたが、私はその場では
「大丈夫、大丈夫」
「あまり気にしない方がいいよ」
と言って取り繕うことをしませんでした。
結局そこではお昼ご飯をあまり食べられず、その場所には妹のためについてきてくれたようなところもあったので、その後も思いっきり楽しんでいる様子は見られませんでした。
初めてそんなことを口にしたので、なんとなく気がかりではありましたが、その後はそこまで騒々しい場所に行く機会もなかったので、そのまま時は過ぎました。
そして季節は夏になり、花火大会の日。
その日は屋外で鑑賞しました。
大きな打ち上げ花火の音に、「なんかうるさい」と伝えてくれました。
そこで初めて、この子は音に敏感なんだと気づきました。
それでもしばらくは打ち上がるきれいな花火を楽しんでいましたが、気づくと家の中に入ってしまいました。
3.音に敏感なHSC=ひといちばい敏感な子ども
世の中には5人に一人という割合でHSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれる子が存在します。
HSCとは「思慮深く、人の気持ちや刺激に敏感な気質の人たち」のこと。
これは、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。
HSCは男女問わず人口の15〜20%ほど存在すると言われており、後天的なものではなく、生まれ持った気質であることがわかっています。
HSCの特性として、ほかの子どもにはなんでもない刺激であっても、その刺激が積み重なることで不安になったり、疲弊したりします。
同じ刺激でも「強すぎる」と感じる子がいるのです。
HSCはまた、状況を把握し、周りに合わせることが得意でもあるため、「社会性」が強いことも挙げられます。
そのため、長男は音に対する刺激を強く感じ、不快を感じながらも、きょうだいが楽しんでいる場を乱さないように、言葉で私に教えてくれたのでした。
4.音に敏感なHSCが騒々しいレジャー施設で安心して過ごすためのテクニック
私がそれに気づいてからは、出かける場所が騒々しい可能性が高いと予想される場合は、まず事前に長男に相談をするようにしました。
その上で行くかどうかを判断してもらいます。
我が家にはきょうだいが3人いるので、長男の意見ばかり取り入れることはできませんが、「あなたの考えを尊重していること」を必ず伝えました。
その上で不安が残る場合には掘り下げ、抱えている不安を吐き出させてあげ、その時間では私は口を挟まず「聴く」ことを心がけました。
例えば、
長男「お昼の時もうるさかったらどうしよう」
私「そうだねぇ。〇〇はどうしたいかな?」
と聴きます。
会話しながら、
私「ほかにはある?」
と不安を全て吐き出させてあげます。
そして代替案や時間などを相談しながら、スケジュールを決めていき、安心材料を作りました。
とはいえ、もちろん子どもは楽しいことが大好き!ですので、「うるさいけど行ってみたい」という時もありました。
私は「約束したじゃない!」という関わりではなく
「到着してみてどう感じたか?」「不快な場合は教えてね!」という態度を徹底しました。
5.おおらかに構えることが子どもの安心につながります
その対応をするようになり、実際に足を運んでみると「意外と平気だった!」という場面が何回もありました。
この経験から、親が心配しすぎず、気負わず、
「もしダメでも全然気にしないでね!」
というおおらかなスタンスで居ることが、子どもは最も安心するのかなと感じてます。
繊細気質の子は周りに気を遣うことができてしまうので、親が思っていることは自ずと伝わってしまいます。
それを感じさせてしまうのは、子どもにとっても親にとっても本意ではありません。
このようなスタンスで対応することで、「騒々しさ」へのハードルも少しづつ下がってきました。
「思ったよりも平気だった!」
を体感していくことで自信にもつながっていったようです。
これからも親子の信頼関係を育んでいきながら、繊細気質の子どもに寄り添っていきたいと思います。
執筆者:いいだ まや
発達科学コミュニケーション トレーナー