発達障害・グレーゾーンのお子さんの中には、感覚過敏があり散髪が苦手なお子さんがいます。散髪をさせてくれないので、髪が伸び放題になって困っているというママもいらっしゃるのではないでしょうか?本記事では、散髪が苦手な発達障害・グレーゾーンの我が子が髪を切ることができた記録をご紹介します。
1.『散髪が苦手』な発達障害・グレーゾーンの子どもたち
✔️本当は美容室に連れていきたいけど…子どもがハサミを怖がるから連れていけない。
✔️連れていくのに激しく抵抗するため、毎回、美容室に連れていくのが大変!
✔️感覚過敏があり、首を触られるのが苦手。親の私にも髪を切らせてくれない。
✔️もう何年も髪を切っていない。
『散髪が苦手』な発達障害・グレーゾーンの子どもたち。
「伸び切った髪をどうやったら切らせてくれるか?」とお困りではありせんか?
本記事では、散髪が大の苦手だった我が子が、髪を切ることができた実際の記録をご紹介します。
参考にしていただけると幸いです。
2.散髪が苦手で、息子が就寝してから散髪をするようにしていました。
私の息子は発達障害・グレーゾーンの子どもです。
自閉スペクトラム症(ASD)傾向があり、
・触覚や聴覚などの感覚過敏がある
・慣れない場所や人が苦手
・見通しの立たないことが苦手で不安が強い
などの発達特性を持っています。
以前、幼い頃に近所の美容室に連れて行ったことがありますが
・首にタオルを巻くことを拒否
・一人で座ることができない
・怖がって震えていた
などの様子が見られ、結局その時はカットができずに帰ってきました。
その後は、家で私がカットするようにしてきましたが、母親である私が散髪することも激しく嫌がり難しい状態でした。
息子は特に、耳周りを触られるのが苦手で、また、ハサミの音を怖がりました。
また、切った後の髪が肌に触れるとチクチクする!とこれもとても嫌がりました。
そのため、散髪をする時はいつも、息子が深く眠っているタイミングで気づかれないようにそっと切るようにしていました。
私が夜中に寝ている状態で散髪するため、長さがバラバラで、終わった後の掃除も大変でした。
息子がどうにか安心して散髪ができるように
・ハサミを変えてみる
・バリカンを使ってみる
・動画を見せながら散髪してみる
・音楽を聞かせながら散髪してみる
色々試しましたが、起きている状況でのカットは一度も成功したことがありませんでした。
「一体いつになったら髪が切れるようになるんだろう?」
「このまま一生散髪ができなかったらどうしよう…」
と先が見えない不安がありました。
3.散髪が苦手な子に多い『感覚過敏』とは?
ここで、散髪が苦手になった原因『感覚過敏』について、基本的なことをお話しますね。
感覚過敏とは、音、光、匂い、触覚などの外部からの感覚刺激に対して、通常よりも過剰に敏感に反応する状態を言います。
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)など、発達障害の特性を持つ子どもの中には、この感覚過敏を経験する人が多くいます。
具体的には、以下のような感覚過敏があります。
◆視覚過敏
・太陽光や蛍光灯が過度に眩しく感じる
・一度に多くのものを見ると混乱する(人混みが苦手)
・人の動きが気になる
◆聴覚過敏
・大きな音が苦手
・友達が騒ぐ声が苦手
・人が気にならないような音に敏感に気づく
・本人しかわからない特定の嫌な音がある
◆触覚過敏
・ある特定の感触が苦手(洋服のタグや縫い目など)
・雨などで濡れることを極端に嫌う。
・汚れることを極端に嫌う。
・特定の場所を人から触られることに抵抗感がある。
◆味覚・嗅覚過敏
・他の人が気にならないような味(辛さ、甘さなど)を極端に嫌う
・食べ物の混ざった味やにおいが苦手、偏食がひどい
・本人しかわからない特定の嫌な匂いがある
◆動きやバランスに関する過敏
・激しく動くことや自分が動かされる状況を嫌がる
・乗り物酔いをしやすい
・滑り台やブランコ、揺らされることが苦手
ストレスや不安は、多くの感覚過敏の状態と関連すると言われています。
そのため、感覚過敏があるお子さんには、無理してその刺激に慣れさせようとすることは絶対に避け、なるべくストレスや不安がないよう、安心した環境を整えてあげることが大切です。
4.肯定の関わりを意識することで感覚過敏が和らいだ!
私は散髪が苦手な息子の感覚過敏への対応として、心が安定するように、日々肯定を意識し、生活をするようにしました。
『褒める』ことだけが肯定の関わりではありません。
・子どもがやっていることを励ます
・子どもの行動に興味や関心を示す
・子どもが今やっていることを実況中継する
・子どもがしてくれたことに感謝する
・子どもと一緒に喜ぶ、驚く
・子どもとのスキンシップ
・子どもの意見に同意する
・子どもを次の活動に誘う
など色んな肯定のテクニックがあります。
毎日、これら肯定のテクニックを意識して生活することで、息子は精神的に安定していき、その結果、びっくりするほど感覚過敏が和らいでいきました。
当時、毎朝起こしていた癇癪、ネガティブ発言もなくなり、困りごとはどんどん解消していきました。
5.子どもが自己決定し、タイミングを待つことが大事
私は、息子が心が安定し、感覚過敏が和らいできたベストなタイミングで散髪についての作戦を立てました。
これまでは散髪は親の都合、親のタイミングでやっていましたが、「あなたが切ってみようかな!って思ったときにママに教えてね!」と息子に散髪するタイミングを委ねたのです。
本人から「切って」と言われるまでは、髪の毛については何も触れずに過ごしました。
何ヶ月も待ち、髪の毛も過去最長に最長に伸びましたが…ある日、息子から「ママ、髪の毛切って!」の言葉が‼︎
子どもの心が安定したところで、子どもに自己決定させる。
子どもの心のタイミングを待つことがとても大事であると再認識しました。
今後も、息子に髪を切ることを自分で決めてもらい、いずれは美容室でカットできることを目標にこれからも肯定を心がけていきます。
感覚過敏を和らげるには、心の安定がとても重要です。
焦らず、ゆっくり子どもの心が安定する関わりを続けていきましょう。
そして、親は子どもの気持ちを尊重し、子どもを見守りましょう。
子どもはきっと初めの一歩を踏み出してくれますよ。
執筆者:たるみ あや
発達科学コミュニケーション トレーナー