褒める子育てを意識しているママも多いですよね。でも、「褒めてるけど、うちの子変わらないし…」とモヤモヤしていませんか?この記事では、褒めても子どもが変わらない理由と、たった1つのことを意識するだけで、ASDグレーゾーンの子どもの困りごとが解決する褒め方について、私の体験を交えてお伝えします。
1.たくさん褒めてるのに、変わらない子ども!?
「褒める子育て」が主流になってきましたよね?
皆さんも褒めることを意識して子育てしている方も多いと思いますが、「褒めてるのに、うちの子何も変わらないし、良くならない!」と、褒める子育てに限界を感じていませんか?
この記事では、そんなママ達に向けて、私が発達科学コミュニケーションを学び始めてから最初に変化があった息子の体験を交えてお伝えします。
2.たくさん褒めて、たくさん怒っていた私の過去
私には小学2年生の自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の息子がいます。
昔から、なんとなく周りと違って育てにくいなと感じていた息子でした。
日常生活のことでも、周りの子は自分でやるのに、うちの子はやらない。
どれだけ怒っても同じことを繰り返す。
一度怖い経験をしてしまうと、同じことはもうできなくなってしまう…
怒ってばかりの生活で疲れていましたが、保育園には楽しく通っていて、ほとんどの困りごとは、大きくなってから変わるだろうと思っていました。
その困りごとの一つに、風邪を引いた時に薬を飲めないということがありました。
小さいうちは、粉薬を水で練って身体を押さえつけて薬を口の中に入れて飲ませていました。
でも、大きくなると知恵がついてきて、口に入れることができたとしてもペッと吐き出してしまうようになりました。
その後も食べ物に隠したりしても、気付いて口にも入れてくれない。
そして年長の頃に、やっと味が大丈夫な薬があって飲んでみようとなった時、咳がひどく薬を飲んだ時にウェッとなり咳上げして戻してしまったことがありました。
それが息子の中ではネガティブな記憶として残り、更に薬が飲めなくなってしまったのです。
それからというもの、風邪を引く度に病院で薬はもらうのですが、全く飲めず…
なんとか飲ませようと1回の薬を飲ますのに2時間付きっきりになったりしていました。
初めのうちは、
「飲もうとしたのすごいね!」
「一口飲めたね」
「自分で飲み方考えてできたね!」
と褒めることを意識して声掛けをしていました。
でも、時間が経つにつれて
「薬飲まないと治らないよ!」
「そんな少しずつ飲んでたら、どれだけ時間があっても足りないよ!」
「薬飲まないと治らない病気になった時どうするの!?」
と、どれだけ付き添っても飲めない息子にイライラして怒っていました。
私は、発達科学コミュニケーションに出会う前に違う子育て講座を受けており、普段子どもと接する時は、
・褒めること
・結果ではなく、過程に注目する
・子どもを観察して、いいところを見つける
この3つのことを意識して、子どもに接していました。
でも、
「もぉ~、なんでゴミ捨てないの!」
「時間ないって言ってるじゃん!」
「まだ着替えてないの!?」
「何度も同じこと言わせないで!」
こんな風に、褒めてはいたけど毎日たくさん怒っていました。
3.ASDグレーゾーンキッズに怒ると脳はどうなる!?
みなさんは、怒ることがなぜいけないのか知っていますか?
●脳は怒られるとダメージを受ける
怒鳴り声や怒りは脳を委縮させてしまい、ストレスを与えてしまいます。
しかも、ストレスを受ける部分は、言語・視覚・聴覚を司る部分です。
つまり、コミュニケーションを取ることに影響してきてしまいます。
自閉傾向のあるお子さんは、もともとコミュニケーションを取ることが苦手でもあります。
それなのに、怒り続けていたらどうなるでしょうか?
ママともコミュニケーションが上手く取れず、ますます困りごとが増えてしまいます。
そして、ママともコミュニケーションを取るのが難しいとなれば、外ではもっと難しいですよね。
それでは、子どもの社会性に影響が出てしまいます。
●ネガティブな記憶を残しやすい
発達障害グレーゾーンの子どもは、ネガティブな記憶を残しやすい脳の特性を持っている子どもが多いです。
また、注意したり、怒ったり、ため息をついたりという否定の注目はママが思っている以上にネガティブに伝わり、記憶として残ってしまいます。
逆に、褒めたり、笑顔を見せたりといった肯定の注目は、思っている以上に目減りして伝わります。
これでは、せっかく褒めていても子どもには届かず、怒られ続けることで自己肯定感は下がり、自信を失ってしまいますよね。
私は、怒ることがいけない理由を知り、褒めを無駄にしてしまっていたことに気付きました。
4.ASDグレーゾーンキッズに響く、効果的な『褒めの方程式』
【注目の方程式】
肯定の注目 > 否定の注目
⇓
“肯定的な注目を増やすと、穏やかな関係の中で良い行動が増え、好ましくない行動が減る”
発達科学コミュニケーションで学んだこのことを意識して子どもに接しました。
ただ、肯定の注目>否定の注目にするといっても、8>2くらいでやらないとなかなか効果は出ません。
それは、3.でお伝えした肯定の注目が目減りして伝わり、否定の注目が思った以上に伝わるという理由があるからです。
そして、思春期や不安が強い時は10>0にして、「こんなにも褒めていいの??」と思うくらい褒めます。
こうして、先に肯定の注目を高める期間を作ります。
実際に私は、10>0までは出来ていなかったと思いますが、とにかく好ましくないことはスルーして、日常のあらゆる場面で
「宿題やり始めたね」
「パジャマ脱げたね」
「ご飯たくさん食べたね」
と肯定の注目を増やしていきました。
5.薬を飲めなかった息子が、自分で飲めるようになりました!
注目の方程式を意識しただけで、普段の着替え等も以前より怒らず出来るようになりました。
さらに、不思議とあんなに飲めなかった薬を飲めるようになったのです!
しかも、初めて飲めた時は私が付いていたのですが、2回目からは「一人でできるよ!」と言って、私が付いていなくても飲めるようになりました。
今まであんなに付き添っても飲めなかったのに、何だったんだと驚きました!
みなさんも過去の私と同じように、せっかく褒める子育てを意識しているのに、怒ってばかりになっていませんか?
褒めているのにうちの子、変わらない…というママに、ぜひこの注目の方程式をさっそく意識してほしいです!
執筆者: いりやま あみ
発達科学コミュニケーション リサーチャー