たくさんの服を持っているのに「この服がいいの!」色んなものを食べさせたいのに「これじゃなきゃイヤ!」と言う、自閉スペクトラム症(ASD)の子どものこだわりに疲れ果てているママはいませんか?毎日のこだわりに対応するのは本当に大変ですよね。本記事ではそんなこだわりの原因と、こだわりをやわらげる魔法の言葉をご紹介します。
1.自閉スペクトラム症(ASD)の子どものこだわりに疲れ果てていませんか?
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの毎日はこだわりでいっぱい。
・あの服じゃないとイヤだ!と他の服を着てくれない
・おにぎりとポテトとソーセージしか食べない
・いつもの人形で同じセリフのごっこ遊びしかしない
・いつもの道を通らないとイヤがる
忙しい朝などは特に「あれはイヤ!」「これじゃないとダメ!」と泣き叫ぶ我が子に、
つい「いい加減にして!これでいいでしょ!!!」と大声で言ってしまい、さらに泣かせてしまう。
酷いときは癇癪が長引いて、学校やママの仕事に遅れてしまう、困った・・・
そんな大変な毎日を過ごしているママたちは多いのではないでしょうか?
毎日毎日子どものこだわりに振り回されていると、「またぁ?!」とウンザリしてしまいますよね。
2.朝から晩までこだわりだらけで子どもは癇癪、ママはヘトヘト・・・
我が家の小2の息子は、小さい頃からこだわりが強く、自分のこだわりが崩れると癇癪を起こす、という悪循環をくり返していました。
・「自分でバナナの皮をむきたかったのにー!」
食べやすいように皮をむいて輪切りにしたら食べてくれなくて逆効果でした。
・「あのパジャマじゃないとイヤだ!」
昨日汚れたから洗濯中なんですけど・・・
・「”わかめふりかけ”じゃないとごはん食べない!」
いつもと違うのがいいかな、と良かれと思って”わかめとしらすふりかけ”にしてみたんだけどダメだったかぁ。
・「トマトに味をつけたらイヤ!食べない!!!」
トマトが好きだからトマトのサラダを作ったんだけど、ドレッシングをかけたから嫌なんだ・・・
と、思い出したらキリがないほど数々のこだわりがあり、その度に泣いたり怒ったりと癇癪を起こしていました。
なだめるのも大変だし、行動してもらわないと困る場面では次の対策を考えるのにも一苦労。
そのうち事前に、
これをしたらダメかな?
あれだったら大丈夫かな?
と私も気を遣うようになって疲れ果ててしまいました。
3.こだわりの原因は脳にあった!
なぜ、ASDの子どもはこんなにもこだわりが強いのでしょうか?
それは脳に原因があるのです。
脳は安心した状態になってようやく、次の行動へと促す指令を出すことができます。
そのため、同じ行動をくり返すことによってまずは安心感を得ようとして、以下の3つのこだわりが強くなってしまうのです。
①はじめることができないこだわり・・・初めての人、場所、物、事、が苦手。
②変えることができないこだわり・・・ここではこうする!というマイルールが強い。
③やめることができないこだわり・・・ゲームがなかなか止められない!など。
また、ASDの子どもは感覚過敏の特性を持っていることも多く、
・服のタグがチクチクしてイヤだ!
・いつものピタっとした靴下じゃないとなんだか足が気になる!
・あのブランドのあのサイズのあの服じゃないと着心地が違うから落ち着かない!
となってしまい、服装などへのこだわりが発生してしまうのです。
4.こだわりはスルーするのが効果的
ママたちは全力で子育てをしているからこそ、頑張り過ぎたり、周りの目が気になったりして
・好きなものだけじゃなく、野菜もちゃんと食べさせないと!
・同じ服ばかり着てたらちゃんと着替えもさせていない親と思われるかも・・・
・初めての人にもきちんとご挨拶させないと!
と、こだわりのあるお子さんにもあれこれさせようとしてしまう傾向にあります。
ですが、残念なことにこれでは逆効果。
やめさせようとすればするほど、こだわりは強化されるのです!!!
「せっかく買ったんだからこの服も着てみて!」
などと違う服を着せようとすればするほど、
「イヤ!私は絶対にあの服じゃないとイヤなの!」
と余計にこだわりが強くなってしまうのです。
こだわりを無理矢理止めさせようとはしないであげて下さい。
スルーして放っておけば
「あれ?そういえば最近あのこだわり言わなくなったかも?」
という状態になっていきます。
5.こだわりをやわらげる魔法の言葉「まぁ、いいか!」を親子で言い合おう
お子さんのこだわりに疲れ果てたママたちに、是非とも使って頂きたい言葉があります。
それは「まぁ、いいか!」という言葉。
お子さんが
・同じ服ばかり着たがっても「まぁ、いいか!」(もう1着買っておこうかな。)
・野菜を残しても「まぁ、いいか!」(今元気だし、野菜もいつか食べるだろう)
・挨拶しなくても「まぁ、いいか!」(私だけでも元気に挨拶する姿を見せておこう)
と、お子さんのこだわりはスルーしていくのです。
そうしていると、お子さんの言葉が発達してきた段階で、
お子さんの口から「まぁ、いいか!」という言葉が出てくるようになり、それはこだわりがやわらいだ証拠となります。
ASDの子どもは本当にこだわりが強く、こだわりが満たされないと動けなくなってしまいます。
是非、親子で「まぁ、いいか!」と言い合えるように、まずはママがこの魔法の言葉をたくさん使っていって下さいね。
執筆者: しまたに あすみ
発達科学コミュニケーション リサーチャー