雷が怖い子どもへの対応に悩んでいませんか?この記事では、発達障害グレーゾーンやASDの特性「感覚過敏」に注目し、恐怖を和らげる具体的な対策をご紹介。親ができる声かけや対策をASDの専門家が詳しくお伝えします。
1.雷が鳴るとパニックになる子どもにどう対応したらいい?
お子さんが雷や雨を怖がる姿を見て、どう対応すればいいか悩んでいませんか?
特に、自閉スペクトラム症(ASD)や発達障害グレーゾーンのお子さんの場合、その背景には感覚過敏や特定の記憶が関係していることが多くあります。
この記事では、雷を怖がる子どもの気持ちに寄り添い、恐怖を和らげるための具体的な方法をご紹介します。

2.雷を怖がるのはなぜ?ASDの子どもが抱える2つの理由
ASDの子どもが雷や雨を怖がるのは、単なる「怖がり」ではありません。
特性からくる、2つの理由についてご説明させていただきます。
◆感覚過敏:雷の音や光、気圧の変化が「不快」な刺激になる
感覚過敏とは、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)から入る刺激を、脳が過剰に受け取ってしまう特性のことです。
雷や雨の日には、次のような刺激が子どもにとって大きなストレスとなります。
雷の音: 突然の大きな音が、まるで耳元で爆発したかのように聞こえ、強い恐怖を感じる。
激しい光: 雷の稲妻が目に焼きつき、不安感を増幅させる。
気圧の変化: 雨や雷の気圧の変化により、頭痛や体のだるさを感じ、体調不良につながる。
濡れる感覚: 雨具が体に触れたり、服が濡れたりする感覚が、我慢できないほど不快に感じる。
感覚過敏は、子ども自身の意思ではコントロールできません。
無理に「大丈夫だよ」「我慢しなさい」と言っても、恐怖心は和らぎません。
まずは、子どもの感じている不快さを理解してあげることが大切です。
◆ネガティブな記憶:過去の経験が「怖い」という感情と結びつく
ASDの特性として、特定の出来事を鮮明に記憶することに長けている場合があります。
特に、嫌だった経験や強い不安を伴う出来事は、ネガティブな感情とともに強く記憶に刻まれやすいのです。
・雨の日に転んで靴を泥だらけにした。
・雷の停電で暗闇が怖かった。
・突然の雨で傘がなく、びしょ濡れになった。
これらの経験が「雨=嫌なこと」「雷=怖いこと」という強固な記憶となり、雨や雷の日が来るたびに恐怖心が蘇ってしまうのです。

3.雷を極度に嫌って、学校に行けなくなっていた息子の話
我が家のASD傾向の息子も、雷を極度に嫌っていました。
雨が降るだけでも家中のカーテンを閉めたり、遠くで小さな音が鳴るだけでも泣いてしまうほどでした。
幼稚園までは送り迎えがあったため、雨の日もなんとか乗り越えられましたが、小学生になるとそうはいきません。
雨の日や雷が鳴る日は登校しぶりがひどくなり、そのたびに「どうしてこの子はこんなに怖がりなんだろう」と悩んでいました。
当時の私は「感覚過敏」という言葉の理解がなく、小学生になっても雷を怖がる息子の原因が、まさか感覚過敏にあるとは思いもしませんでした。
無理やり「行かなきゃダメだよ」と背中を押して学校に行かせていましたが、この頃の私は息子の苦しさを全く理解してあげられていなかったのです。

4.雷への恐怖を和らげる!家庭でできる具体的な対策
私は発達科学コミュニケーションで「子どもの行動には必ず理由がある」ということを学びました。
そして、その理由を理解することからすべてが始まるのだと気づかされました。
ここからは我が家で実践して効果のあった『雷を怖がる子どもへのサポート方法』を3つご紹介します。
【声かけ編】子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与える
恐怖を感じている子どもの気持ちを否定せず、共感を示すことが第一歩です。
「雷の音、すごく大きいね。びっくりするよね。」
「雨の音、怖かったね。お母さんがそばにいるから大丈夫だよ。」
このように言葉で不安な気持ちを受け止めることで、子どもは「自分の気持ちをわかってもらえた」と感じ、安心できます。
一方、「大したことない」「我慢しなさい」といった言葉は、かえって子どもの孤立感を深めてしまうため避けましょう。
【行動編】感覚過敏に配慮した工夫で恐怖を軽減
雷や雨の「不快な刺激」を減らすことで、恐怖心を和らげることができます。
聴覚過敏の子どもにはイヤーマフや耳栓は、雷の音を物理的に遮断するのでオススメです。
好きな色やキャラクターのものを選んで、子ども自身が「お守り」のように身につけられると良いでしょう。
また、ヘッドホンで好きな音楽を聴き、音楽で雷の音を聞こえなくする工夫もいいですね。
視覚過敏の子には、雷や雨の日はカーテンを閉めて、 窓から見える雨や雷の光を遮断することをオススメします。
また、テレビや絵本に集中して、 意識を雷からそらす工夫もできますよ。
【ポジティブ変換編】「雨の日=特別な日」に変える工夫
恐怖の対象を「楽しいこと」と結びつけることで、ネガティブな記憶を上書きする練習をしてみましょう。
・普段は食べない特別なお菓子や、おもちゃを用意したりして、雨の日限定のお楽しみを用意する
・雷が鳴っている間だけ、普段は制限しているテレビゲームを許可するなど、ルールを決めて楽しめるようにする。
親御さんの工夫一つで、ずっと嫌だった雨の日を特別な楽しみのある日に変えることができます!
雷への恐怖心は、子どもの成長とともに少しずつ和らいでいくことが多いです。
焦らずに子どものペースでサポートしていきましょう。


 
  
  
  
  





