「制服が着られない」「食べ物の好き嫌いが多い」全部子どものわがままだと思いがちですが、感覚過敏のせいかもしれません。この記事では、感覚過敏を和らげる方法についてお伝えします。
1.わがままに見えるのは感覚過敏かもしれません
これ嫌い!これ着たくない!うるさい!外に行きたくない!
そう言って、なかなか行動しない子どもに応戦していませんか?
それ、わがままでなく感覚過敏かもしれません。
感覚過敏とは、同じ刺激を普通の人より、過敏に受け取ってしまうこと。
感じ方は人それぞれで、また、1人の人でも感覚の種類によって感じ方は異なってきます。
食べ物の味が苦手な味覚過敏や、舌触りや歯ざわりが嫌、特定の洋服やタグを嫌がったり、泥遊びを嫌がったりするという触覚過敏。
他にも、光がまぶしい視覚過敏や、掃除機など大きい音を嫌がる聴覚過敏など、1人1人感じる度合いも感じるものも違い、本当に様々です。
2.凸凹キッズに多く見られる感覚統合の未熟さ
過敏さの原因は、凸凹キッズの脳の特性から感覚統合がゆっくりであることです。
感覚統合とは、脳に伝わる様々な情報を交通整理する働きのことです。
この感覚統合には、大切な3つの感覚「触覚」「固有覚」「前提覚」があります。
この中でも触覚は、主な働きとして『情緒の安定や防衛する』というものがあるので、触覚過敏が和らぐと不安も軽減されていきます。
また、逆も然り。
感覚過敏が強く出ているときは、不安も強い時であるという1つのバロメーターにもなっています。
それなら今すぐ感覚統合をすすめたい!と思われるでしょうが、これは、一朝一夕に良くなるというものではなく、積み木を積み上げるように発達していくので、まずは、子どものわがままだと叱るのはやめて過敏さに共感してあげることが大切です。
3.私の息子は制服嫌、どろんこ遊び嫌
私の息子は1歳から幼稚園に通っていたため、砂遊びや水遊びなど、感覚遊びを色々と体験させてもらっていました。
でも、幼稚園の先生からは「今日も嫌だと言ってできませんでした。」と言われることが多く、私は『子どもってみんな好きなんじゃないの?』と不思議に思っていました。
そして息子は年少になり、制服を嫌がるようになりました。
「痒い。気持ち悪い」
初めは、サイズが少し大きいからかなとくらいにしか思っていませんでしたが、あまりにも嫌がって着られない日もありました。
そんな息子に私は「そんなわがまま言わないで。みんな着てるでしょ」と無理やり制服を着せようとしていました。
その頃から、朝食時に「まぶしい」と言ったり、集合写真で目を開けていられない、食べ物も「味は良いけど気持ち悪い」と言ったりする息子の様子に、私自信、違和感を感じるようになりました。
いろいろな「ちょっと違う」ということが出てきて、気になりはじめました。
4.幼少期こそ感覚統合を促すことが大事
先にもお伝えしましたが、感覚統合が進めば、感覚過敏は和らいでいきます。
感覚統合は、就学前の子どもの育ちを支える土台です。
これが育っていかないと、「わがまま」「自分勝手」とみられる困った行動が目立ち、禁止されたり、怒られたりして、自信を失い、不登校や二次障害に繋がりやすいと言われています。
感覚のネットワークは、幼少期にさまざまな感覚を入れることでどんどん作られ、それらがうまく繋がることで、困った行動が少なくなっていきます。
5.感覚過敏を理解した声掛け
感覚過敏、聴覚過敏などと言われても、なかなか理解できないですよね?
よく言われるのが、「黒板をギーッと爪で引っ搔く音を嫌だと感じる」と例えられます。
気持ち悪くないですか?不快じゃないですか?
それなのに「そんなの我慢すれば慣れる」なんて言われても、嫌だと感じるものを感じない方法はありませんよね。
でも、感覚を入れてあげることで感覚統合は進んでいきます。
そこで私は、荒療治はやめて、「制服着たくない」と言ったら「そうなんだ。いいよ」と着せない選択を続けながら、毎朝「制服着よう」とも促していました。
ある日息子が、制服に袖を通し、「ここが気持ち悪いんだよね」と袖口のゴムを引っ張ったので、私は「そうだったんだ。こうしたらどう?」と袖を曲げたところ、「まぁ、少しいい」と、着ることができました。
そしてその日から毎日、袖を曲げていましたが、気付けば曲げないで、普通に着て行けるようになりました。
息子は普段着も素材のこだわりがあり、タグも全部切っているのですが、先日は、大好きなマイクラTシャツのタグは、「かっこいいから切らないで」と気持ち悪さより、好きが勝りました!
楽しいことで脳は発達していくので、このように子どもの好きなもので慣れていく方法もおすすめです。
着られないや食べられないことで劣等感を持たせず、共感しながら少しずつチャレンジして慣らしていったり、同時に好きなものを取り入れることで、感覚統合が進み、感覚過敏は和らいでいきますよ。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
増満咲奈