4歳といえば、一般的には簡単な会話ができるようになる時期ですが、中には「理解しているのに言葉が出ない」というお子さんもいらっしゃいます。本記事では、実際に「理解はしているのに喋らない」娘を育てるなかで感じた気づきをもとに、発達障害との関連性や親子でできるコミュニケーションの工夫についてお伝えします。
1.4歳なのに言葉が出ないのはなぜ?
「もう4歳なのに、うちの子、まだちゃんと話さない…」
「こちらの言っていることは理解しているみたいなのに、自分の言葉ではうまく話せない…」
そんな不安を抱えているママはいませんか?
4歳といえば、一般的には簡単な会話ができるようになり、他人とのやりとりもスムーズになってくる年齢です。
しかし中には、「理解しているのに言葉が出ない」「話すのが極端に少ない」といったお子さんもいます。
これは単なる個性なのでしょうか?それとも発達の問題があるのでしょうか?
本記事では、実際に「理解はしているのに喋らない」娘を育てるなかで感じた戸惑いや気づきをもとに、言葉の発達の背景や、親子でできるコミュニケーションの工夫についてお伝えします。

2.話は理解しているのに、なかなか上手に喋ることができない娘の様子
わが家の娘は、保育園の年少クラスの頃から「言葉の少なさ」が気になっていました。
こちらが話すことにはちゃんと反応し、簡単な指示も理解できているようでした。
例えば、「おもちゃ片づけてね」「手を洗ってからごはんだよ」と言えば、それに従って行動します。
でも、娘自身が言葉で意思表示をすることはほとんどなく、話しかけても「あー」「んー」とジェスチャーや表情で反応することが多かったのです。
保育園の先生からも、「理解はしているけれど、お友だちとの会話は少ないですね」と指摘されたりもしました。
心配になり、地域の発達相談窓口や小児科に相談したところ、「様子を見る必要があるが、発達性言語障害や自閉スペクトラム症(ASD)などの可能性も含めて検討が必要」と言われました。
娘の姿を見て「ただの恥ずかしがりや」「性格の問題」と片づけたくなる気持ちもありましたが、私たち夫婦は「娘の今の姿にちゃんと向き合おう」と決め、できることから取り組み始めました。

3.4歳なのに言葉が出ない要因と発達障害との関連性
子どもが「理解しているのに話さない」とき、考えられる原因はいくつかあります。
必ずしも発達障害とは限りませんが、言葉の遅れには専門的な支援が有効なケースも多いため、早めの理解と対応が大切です。
① 発達性言語障害(言語発達遅滞)
脳の発達の違いにより、「言葉を理解する力」と「話す力」がアンバランスな状態になる子どもがいます。
聞いて理解する力は年齢相応でも、話すことが極端に苦手という場合もあり、言語療法が効果的なことがあります。
② 自閉スペクトラム症(ASD)
ASDの傾向がある子は、言葉の発達に偏りが見られることがあり、「言葉を発すること」自体に関心が薄かったり、「どう伝えていいか分からない」と感じていたりすることがあります。
ただし、すべてのASDの子が話せないわけではありません。
③ 選択性緘黙(かんもく)
家庭では話すけれど、保育園や特定の場所ではまったく話せない、というケースでは選択性緘黙の可能性があります。
不安や緊張が原因で言葉が出ないことがあり、心理的な支援が求められます。
④ 環境要因・性格的要素
兄弟姉妹におしゃべりな子がいる、親が先回りして言葉を代弁してしまう、などの環境要因や、もともとマイペースで内向的な性格なども、言葉の発達に影響を与えることがあります。

4.子どもの言葉を引き出す親子コミュニケーションのコツ
娘の言葉を引き出すために、私たち親がまず取り組んだのは「言葉を引き出す環境づくり」でした。
発達科学コミュニケーションを学び、日常の中でできることを少しずつ取り入れたことで、徐々に変化が現れました。
ここでは、実際に効果を感じたコミュニケーションのコツをご紹介します。
① 子どもが「話したくなる」タイミングを大切にする
無理に話させようとするのではなく、子どもが興味を持っていることや、笑顔で楽しんでいるときに声をかけると、言葉が出やすくなります。
特に子どもが『好き』だと感じていることをしている時は、比較的多く言葉が出ていることに気づきました。
たとえば娘の場合、「ぬいぐるみ遊び」や「絵本の読み聞かせ」が好きだったので、それを一緒に楽しみながら、「このくまさん、何食べたいかな?」と問いかけるようにしました。
② 選択肢を提示して「選ぶ練習」をする
「どっちがいい?りんご?バナナ?」など、選択肢のある質問をすると、子どもは簡単な言葉からでも返事をしやすくなります。
娘の場合、「うん」「これ」と指さしで答えていたのが、だんだん「りんご」「あかいの」などと言葉が出るようになりました。
③ 言葉のモデルを繰り返し見せる
子どもは親の言葉や表現を真似して言葉を覚えていきます。
家族の会話の中で、自然と言葉でコミュニケーションをとっているモデルを見せるだけでも効果があります。
言葉を引き出したいと強く親が思えば思うほど、つい「お茶がほしいの?“おちゃ、ちょうだい”って言ってごらん」と促してしまいがちですが…。
そうではなく、生活の中で家族がお手本となって、言葉でコミュニケーションをとっていきましょう。
④ 反応を大きく、うれしそうに返す
少しでも言葉が出たときは、「伝えてくれて嬉しい!」の気持ちをしっかりリアクションで伝えていきましょう。
大好きなママやパパが喜んでくれることで、子どもにとって「話すこと=楽しいこと」と感じられるようになります。

5.親子のコミュニケーションを見直して、会話ができるようになりました!
少しずつ家庭での関わり方を工夫しながら、私たち家族は「言葉が出ない不安」とも向き合ってきました。
1年ほどかけて、娘の語彙は増え、今では保育園でも簡単な会話ができるようになり、お友だちとの関わりも楽しめるようになっています。
もちろん、年齢相応より少し遅れている部分もありますが、「自分の気持ちを言葉で伝えたい」という意欲が育ったことが、何よりの成長だと感じています。
子どもの言葉の発達は、一人ひとりのペースがあります。
発達障害などの専門的な支援が必要な場合もあれば、関わり方の工夫だけで言葉が伸びてくる場合もあります。
「まだ話せない」ことに焦るのではなく、まずは「今、理解している」という力を信じて、安心できる環境の中でゆっくりと見守っていくことが大切です。
そして何より、子どもが「言葉で伝えるって楽しい!」と思えるようなやりとりを、日常の中でたくさん積み重ねていきましょう。
