4歳の子どもが急に言葉使いが荒くなったり、乱暴な言葉を使い始めるのは、成長過程の一部です。このような場合、親が感情的に叱ることは絶対にやめましょう!子どもの気持ちを受容しつつ、正しい言葉への言い換えや言葉の意味を教える対応を続けることで、徐々に落ち着いた言葉遣いが身についていきます。
1.言葉使いが荒いお子さんを心配している親御さんはいませんか?
4歳頃になると、急に乱暴な言葉を口にするようになる子どもがいます。
優しかったわが子が、ある日突然「うるせー!」「死ねばいいのに!」などといった過激な言葉を発するようになると、親としてはショックを受けますし、将来が不安になりますよね。
「このまま乱暴な言葉を使い続けたらどうしよう」 「育て方を間違えたのでは…」 と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、こうした言葉の乱れには、ちゃんと理由があります。
今回は、言葉使いが荒くなった4歳児の実例とともに、その背景や適切な対応法についてお伝えします。

2.急に乱暴な言葉を使うようになった4歳の娘の話
あるお母さんの体験談をご紹介します。
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うちの娘が4歳になった頃、それまでは使わなかったような乱暴な言葉を急に言うようになりました。
ある日、兄と遊んでいるときに突然『バカ!どっか行け!』と怒鳴り出して驚きました。
それまでは人に優しくできる子だったので、本当にびっくりしました。
保育園の先生に相談してみても『この年齢にはよくあることです』とだけ言われ、正直モヤモヤが残りました。
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このように、4歳という年齢は語彙が増える一方で、まだ言葉の使い方を正しくコントロールできないことが多い時期です。
「乱暴な言葉」はその現れの一つともいえるでしょう。

3.子どもの言葉が荒くなってしまう理由
では、なぜ子どもは乱暴な言葉を使うようになってしまうのでしょうか?
主な理由を4つご紹介します。
① 動画や周りの大人の模倣をしている
4歳頃になると、YouTubeやテレビなどの映像コンテンツを通して、多種多様な言葉に触れる機会が増えます。
そこに出てくるキャラクターが、面白おかしく乱暴な言葉を使っていると、子どもはそれを「面白い言い方」として真似してしまいます。
また、大人の会話や兄弟姉妹の影響も大きいです。
家庭内で感情的な口調が飛び交っていたり、きょうだいが友達とのやりとりで荒っぽい言葉を使っていたりすると、それを「普通の会話」だと誤って理解してしまうことがあります。
② 刺激優勢の感覚刺激によって暴言を吐いている
感覚が過敏または鈍感な子どもは、感覚刺激への過剰な反応として暴言を発することがあります。
音や匂い、触覚などに強く反応してパニックになり、「うるさい!」「触るな!」と大声で言ってしまうのです。
これは乱暴というより、「自分を守るための反応」である場合が多いです。
③ 言葉の選択を間違ってしまっている
「どいてほしい」=「あっち行け!」、「やめてほしい」=「うるさい」など、本来の意図とは違った表現をしてしまうのもこの年齢にはよくあります。
語彙がまだ十分でないため、言いたいことをうまく言い換えられずに、耳にしたままの強い言葉を使ってしまうのです。
④ 語彙力が未熟である
自分の気持ちを言葉で表す能力は、4歳児にとってまだまだ発展途上です。
特にイライラしたり悔しかったりしたときには、言葉の選択肢が少ないため、感情のままに強い言葉を使ってしまうことがあります。
これは成長の過程として自然なことでもあります。

4.乱暴な言葉が出た時にやってほしい親の対応
子どもが乱暴な言葉を使ったとき、どう対応すればいいのでしょうか?
大切なのは、感情的に叱るのではなく、子どもの気持ちを受容して、さりげなく「正しい言葉に置き換えてあげる」ことです。
① 乱暴な言葉は「かっこ悪い」と教え、正しい表現方法に導く
「そんなこと言っちゃダメ!」と頭ごなしに叱ると、子どもは反発したり混乱したりするだけです。
まずは、乱暴な言葉が「かっこ悪い」「相手を傷つける」ことを、具体的に教えてあげましょう。
たとえば
「バカ!って言いたいくらいイライラしているんだね。だけど、ママ“バカ”って言われたら、悲しいな。」
と子どもに正直な気持ちを伝えましょう。
そして「優しい言葉を使った方が、みんな嬉しい気持ちになるよ」と前向きに伝えることで、子どもは「言葉を選ぶことの大切さ」に気づいていきます。
② 乱暴な言葉を正しい言葉に置き換える練習をする
実際の会話の中で、乱暴な言葉が出てしまったときは、気持ちを受容して、さりげなく言葉の置き換えをしてあげましょう。
例:
子ども:「どけ!」
親:「邪魔だったんだね!“ちょっとどいて”って言ってくれた方が嬉しいな」
繰り返しこのようなやりとりをしていくうちに、子どもは「どう言えば気持ちが伝わるか」を学び、語彙力やコミュニケーション力が育っていきます。

5.対応を続けると、徐々に乱暴な言葉がなくなっていきました!
冒頭で紹介した4歳の娘さんも、親御さんの丁寧な対応を続けたことで、少しずつ乱暴な言葉を使わなくなっていきました。
具体的には、娘さんが暴言を口にした際に、否定をすることは一切せずに「本当はどう言いたかったのか?」本人の想いにまず寄り添う声かけをしたそうです。
すると、徐々に「いやだって言いたかっただけなの」「こっちに来てほしかったの」と、自分の気持ちを丁寧に言葉で表現する力が育ち、いつの間にか暴言が減っていったそうです。
もちろん、完全に乱暴な言葉がなくなるわけではありません。
しかし、親が正しい関わり方を続けることで、子どもは少しずつ社会的な言葉の使い方を身につけていくことができます。
4歳の子どもが乱暴な言葉を使い始めるのは、よくある発達過程の一つです。
しかし、放置してしまうと「乱暴な言葉=普通の会話」と認識されてしまい、将来的なコミュニケーションに影響を与えることもあります。
模倣や語彙の未熟さ、感覚の問題など、背景には様々な理由がありますが、大切なのは「否定」よりも「導く」対応です。
正しい言葉の使い方を根気強く伝えていくことで、子どもは安心して成長し、言葉を通じた人間関係を築けるようになっていくでしょう。
「荒い言葉を使った=悪い子」ではなく、「今、学びの途中なんだ」と受け止めて、愛情と根気を持って関わっていきましょう。
