子どもに友達ができない…「うちの子だけ大丈夫かな?」と悩んでいませんか? 本記事では、ASDの子どもが、友達とうまく関われないのはなぜか、その理由とママができるサポートについてご紹介します。
1.子どもに友達ができない…「うちの子だけ大丈夫かな?」と悩んでいませんか?
・自分から友達の輪に入ろうとしない
・一人で遊ぶのが好き
・誘われたら一緒に遊ぶけれど、なんだかあまり楽しそうに見えない
こんな様子が見られるときは、感情をコントロールしたり、人と関わったりする力が、まだ発達の途中なのかもしれません。
この記事では、子どもが友達とうまく関われないのはなぜか、その理由とママができるサポートについてご紹介します。

2.他の子のように楽しそうに遊べないASDグレーゾーンの息子の様子を見て心配でした
今、小学5年生の息子は、自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーンと言われています。
小さいころから、公園で同じくらいの年の子が遊んでいても、あまり興味をもたず…
私が友達と関わるきっかけを作っても、いつも一人でマイペースに遊んでいました。
他の子たちは楽しそうに遊んでいるのに、どうしてうちの子はそうならないんだろう…と私はとても心配していました。
幼稚園のときも、鬼ごっこのような集団遊びにはあまり入らず、たまに友達と砂場で遊ぶことはあっても、一人でいることの方が多かったです。
小学生になってからも、休み時間に友達と鬼ごっこをしたとは言っていましたが、「あまり楽しくなかった」という様子でした。
どうして友達とうまく遊べないんだろう…と私はずっと気になっていました。

3.ASDの子どもが友だちとうまく関わるのがむずかしくなるのはどうして?
♦気持ちを感じたりコントロールしたりする脳の部分が、ゆっくり育っている
私たちの脳の中には、感情をつかさどる場所があります。
この部分は、「自分の気持ちを感じる」「他人の気持ちを感じる」「自分の気持ちを作り出す」などの働きをしています。
・「自分の気持ちを感じる」とは
たとえば、ママが怒っているときに、顔がこわかったり、声が大きかったりして、「なんかこわいな」「まずいな」って、自分がそう感じること。
・「自分の気持ちを作り出す」とは
ママが怒っているのを見て、「いやだな」「こわいな」「ムカッとする」など、自分の中に出てきた気持ちを表現することや、ドキドキする・鳥肌が立つなどの体にあらわれる反応のこと。
・「他人の気持ちを感じる」とは
ママの顔や話し方を見て、「あ、今ママは怒ってるんだな」って、相手の気持ちを感じ取ること。
このような、「自分の気持ちを感じる」「他人の気持ちを感じる」「自分の気持ちを作り出す」ことがASDの子どもは、ちょっとむずかしく感じることがあります。
これは、気持ちを感じたりコントロールしたりする脳のはたらきが、ゆっくり育っているためです。
♦気持ちをうまく言葉にできない
ASDの子どもは、「気もちを感じたりする力」とつながって「言葉で伝える力」も、ゆっくり育っていくことがあります。
そのため、
「話しかけられたら答えられるけど、自分から何を話せばいいか分からない」
「人といっしょにいるのがちょっと苦手」
そんなふうに見えることがあります。
たとえば、「あの子と遊びたいな」と思っても
・うまく言葉で伝えられない
・自分の気もちや、相手の気もちがわかりにくくて、友達とうまく遊べない
そうなると、遊びたい気もちが出てこないこともあるかもしれません。
息子にもまさにこうした傾向が見られ、友だちとの関わりがうまくいかないことが多かったように思います。
次は、子どもが友だちと関わる力を育むために、ママができることをお伝えします!

4.ASDの子どもが友達と関わる力を育むため、ママのできること
①ママと親友になる!
子どもの発達は、まず一人の人との関係から始まります。
たとえば、ママと気持ちをわかり合って、「この人は大丈夫」と思えることが大切です。
そうやって安心できる関係ができると、だんだん友だちとも仲よくできるようになっていきます。
お勧めの関わり方は、毎日30分話したり、並んで行動することです!
一緒に並んで散歩や買い物へ行ったり、料理をしたり、並んでご飯を食べたり。
並んで一緒に行動することで共感力が高まりやすくなります。
また、だれかと話すときに、となりに並んでいると安心しやすいことがあります。
とくに、不安な気もちのときや、元気がないときは、正面から向き合うとドキドキしたり、「話したくないな」と思ってしまうことがあるからです。
息子も並んで歩いてる時に、学校での不安なことを話してくれることがあります。
他にもおすすめなのは、子どもが好きなことをいっぱい話せる時間をつくること!
ASDの子どもは、ふだんは落ち着いていて、気もちをあまり表に出さないこともあります。
自分の好きなことを楽しそうに話しているときは、心がすごくワクワクしているサインです。
そんなときは、話したいだけ話させてあげてください。
気もちを高めるよい練習になりますよ。
②ママが友達との間に入って一緒に遊ぶ
ママができるサポートで、友達と関わる機会をママが作ってあげることもお勧めです。
・ママが少人数の友達を家によんであげる
・友達に誘われることがあったら、ママも一緒に遊ぶ
など、子どもが嫌がる様子がなければ、友達と関わるきっかけを作ってあげるのも良いかもしれません。
少人数だったり、趣味の合う友達であれば楽しく遊べることがあります。
ただし、無理に友達の輪に入れようとするのは逆効果。
まだ人と関わる力が育っていない時期に失敗体験が重なると、自信をなくすこともあります。
たくさんの友達より、信頼できる相手と少しずつ関係を深めることが大切。
人と関わる力は、大人になってからも発達するので、焦らず育てていけば大丈夫です。

5.「友だちと遊びたい!」そんな気もちが少しずつ育ってきた我が子と私の成長と変化
息子の小学校の友達が、「カードゲームしようよー!」と誘ってくれることがありました。
私が見守る中で、一対一で遊べる好きなカードゲームができることもあり、友達ととても楽しそうに会話しながら遊ぶ姿が見られました。
友達と遊ぶ=楽しい!という成功体験ができ、 「〇〇くんとまた遊びたい!」と学校で自分から誘うようにもなりました。
その友達とは、私や兄弟を交えて、公園でサッカーや鬼ごっこをして楽しむようにもなっています。
学校でも、先生やクラスの友達と鬼ごっこを少しずつ楽しめるようになってきました。
また、私が発達科学コミュニケーションで学び、考え方が変わりました。
息子を無理に友達の輪に入れようとすることはやめ、息子と過ごす時間を楽しもうと思うようになりました。
他の子のように友達と関われない息子を見て、心配がなくなったわけじゃないですが、「人と関わる力」は大人になっても発達する。
特定の人との信頼関係を深めることのほうが大切と知り、漠然とした不安が安心に変わりました。
子どもの様子を見ながら、時には友達と関わるためサポートし、ゆっくり「人と関わる力」を育てていけたら良いですね。

執筆者:木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー