「長袖が着られない」「服を嫌がる」子どもの悩み、もしかしたらそれは感覚過敏かもしれません。この記事では、発達障害グレーゾーンの子どもによく見られる感覚過敏の原因と、無理に克服させず、親子でラクになる服選びの工夫を解説します。
1.「長袖が嫌!」その悩み、もしかして「感覚過敏」が原因かも?
朝、これから寒くなるからと長袖を出しても「絶対に着ない!」と断固拒否。
無理やり着せようとすると、大泣きしたり、パニックになったり……。
「どうして長袖を着てくれないんだろう?」
「服なんて何でもいいじゃないか」
そんなふうに感じて、お子さんへの接し方に悩んでいませんか?
長袖を嫌がるのは、もしかしたら感覚過敏が原因かもしれません。
この記事では、お子さんがなぜ服を嫌がるのかを理解し、心地よい着替えの時間にするための方法を、私の実体験を交えながらお伝えします。

2.服が嫌いなのはわがままじゃない!発達障害と感覚過敏の意外な関係
感覚過敏とは、人には気にならないような特定の刺激を、脳が敏感に感じ取ってしまう特性のことです。
例えば
・ 服のタグが肌にチクチク刺さるように感じる
・縫い目がゴワゴワして気持ち悪い
・特定の素材の肌触りが不快でたまらない
といったように、普通なら意識しないような服の刺激を、まるでヤスリでこすられているかのように感じてしまうことがあります。
これは、その子にしかわからない、とても辛い感覚です。
感覚過敏は、発達障害(自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動性障害(ADHD)など)の特性の一つとしてよく見られます。
「うちの子は発達障害ではないし…」と感じる方もいるかもしれませんが、診断がつかない「発達障害グレーゾーン」のお子さんにも多く見られる特性です。
長袖を嫌がるのは、単なるわがままではなく脳の特性によるものだということを、まず親が理解してあげることが大切です。

3.【実体験】秋の衣替えで大パニック!娘が長袖を着てくれない‼
実は、私の娘も小学1年生の夏休み明けに感覚過敏がひどくなり、秋になってもなかなか衣替えができずに困ったことがありました。
秋風が冷たくなる時期になっても、娘は半袖Tシャツと半ズボンで登校しようとします。
さすがに寒くて風邪をひいてしまうのではないかと、私はとても心配になりました。
「長袖を着ていかないと、風邪をひくよ」
「みんな長袖だよ」
そう言って無理やり着せようとすると、娘は泣き叫び、頑なに抵抗するようになりました。
着替えの時間は、親子にとってとても辛く、毎日が戦いのようでした。

4.無理は逆効果!感覚過敏は「克服」させない方がうまくいく理由
感覚過敏は、無理に「慣れさせよう」「克服させよう」とすると、逆効果になることがあります。
感覚過敏は、本人のわがままや甘えではなく、脳の機能が関係しています。
脳は、危険を察知するために「変化」をとても嫌がる性質があります。
例えば、野生動物はわずかな音の変化、匂いの変化にも敏感に反応します。
人間も同じで、特に感覚が敏感なお子さんは、いつもと違う「長袖」の感触を、危険なものだと認識してしまうことがあるのです。
このため、嫌がる長袖を無理に着せると、脳は「新しい服=嫌なこと・怖いこと」と学習し、さらに嫌がるようになってしまいます。
だけど、安心してください。
感覚過敏は、子どもの成長とともに脳が発達することで、自然と和らいでいくことが多いです。
大切なのは、焦らず、お子さんのペースに合わせてあげることです。

5.脳をだます?感覚過敏な子どもの長袖嫌いを克服した我が家の工夫
「子どもが苦手と感じていることを、どうにか楽しくできないか?」 そう考えた私は、「脳は楽しいことが大好き」という特性を活かすことを思いつきました。
我が家で実践したのは、「ファッションショーごっこ」です。
①お子さんが好きな服をたくさん用意する
Tシャツ、ズボン、スカート、色々な種類の服を机の上に並べました。
長袖も何種類か用意しましたが、子どもが好きなキャラクターものや、肌触りがよさそうなものを選びました。
②「ファッションショーみたいだね!」と声をかける
「これとこれ、どっちが似合うかな?」と、クイズのように楽しみながら服を選んでもらいました。
③ 子ども自身に「着たい服」を選んでもらう
親が選ぶのではなく、子どもが「これを着る!」と自分で決めることを大切にしました。
この方法を試したところ、最初は長袖に抵抗があった娘も、「この服なら着てみたい!」と自分で選んだ長袖Tシャツに袖を通すことができました。
なぜこの方法が成功したのでしょうか?
ポイントは「自分で選んだ」ことです。
自分で選んだ服には、子どもにとって「納得」が生まれます。
「自分が選んだ服だから大丈夫」と脳が判断し、苦手な長袖の感触よりも「着たい」という気持ちが勝ったのです。
我が家では、この方法を繰り返すうちに、娘は自分なりに「着心地がいい服」を選べるようになり、いつの間にか長袖を着ることが当たり前になっていきました。
お子さんが長袖を嫌がるのは、決してわがままではありません。
大切なのは、お子さんの特性を理解し、「どうすれば楽しく着てくれるかな?」という視点で工夫してあげることです。
長袖を着られない悩みを抱えているのは、あなたのお子さんだけではありません。
焦らず、お子さんの気持ちに寄り添いながら、ぜひお子さんにぴったりの着こなしを見つけてあげてくださいね。
