毎朝の登校しぶりが続くと、ママの心も体も疲れてしまうと思います。登校しぶりをするのは、子どもの脳が「もう無理だよ…」とSOSを出しているサインかもしれません。この記事では、我が子で実践し、登校しぶりが減った対応を紹介します。
1.子どもの登校しぶりに悩んでいる親御さんへ
毎朝、登校しぶりをする子どもを見て 「なんでそんなに嫌がるの?」 「どうしたら良いの?」 と悩んではいませんか?
子どもに理由を聞いても、うまく言葉にできない。
先生に学校での様子を聞いても、「特に問題はありませんよ」と言われる。
スクールカウンセラーさんに相談して、少し気持ちが楽になったり、改善したこともあるけれど、まだ様子を見ているところ…。
ママは、どうしたらいいのか分からなくなってしまいますよね。
毎朝の登校しぶりが続くと、ママの心も体も疲れてしまうと思います。
登校しぶりの他にも、
・どこにいても「ママー!」と探してくる
・トイレに一人でいけない
・お腹や頭が痛い吐き気など体調不良を訴える
・夜寝たくないまたは眠れない
・癇癪が増える
これらは、以前の息子にすべて見られた症状です。
このような様子がある場合、 「登校がつらいよ」「助けて欲しいよ」という気持ちをうまく言葉にできない子どもからのSOSのサインかもしれません。

2.毎日、子どもの登校しぶりに悩まされていました…
自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある息子は、入学当初から登校しぶりをしていました。
泣きながら嫌がる息子を、無理に手を引いて学校へ連れて行き、先生に引き渡す日々。
最初は優しく声をかけていたのに、 「なんでそんなに嫌なの?みんな普通に行ってるよ」と思わずイライラして言ってしまうこともありました。
「入学早々から休みがちになると、友達ができないかも」
「勉強も遅れちゃうかも」
そんな不安と焦りから、「行かせなきゃ」という気持ちが強くなり、無理に登校させてしまっていたのです。
次第に息子は「学校こわい」と言うようになりましたが、登校がつらい気持ちをうまく伝えられないまま、不安やストレスを溜めていきました。
そして、登校しぶりだけでなく、体調不良や癇癪も増えていきました。
登校しぶりをする子どもの困り事はどのようなことがあるのでしょうか?

3.ASDの子どもが登校しぶりをするのは「脳のしくみ」が関係していた
♦ 不安を感じやすい脳の特性がある
ASDの子どもの中には、不安を強く感じたり、ネガティブな記憶を残しやすい子がいます。
脳の中には「扁桃体(へんとうたい)」という、不安や怖さなどの気持ちを感じる場所があります。
その近くには「海馬(かいば)」という、記憶をしまっておく場所があります。
扁桃体が不安を感じると、海馬がその気持ちをすぐに覚えてしまうのです。
ASDの子どもは、この扁桃体が敏感に反応しやすいため、強い不安やストレスを感じやすく、ネガティブな記憶を残しやすいという脳の特性をもっています。
♦学校で様々な困りごとを抱えている
ASDの脳の特性により、学校で様々な困りごとを抱えていることが多いのです。
たとえば、
・教室のざわざわ声やざわざわした雰囲気が苦手
・先生の指示が聞き取れない
・板書をとることが苦手
・友達や先生とのコミュニケーションが苦手
・授業の内容に興味がもてない
・座って話を聞くのが苦痛
こうした「うまくいかない経験」が積み重なることで、ネガティブな記憶が脳に残り、学校が“嫌な場所”になってしまうことがあります。
その結果、登校しぶりにつながることもあるのです。
子どもが登校しぶりをするのは、決してママが甘やかしているのでは無く、お子さんが「弱い」わけでも「甘えている」わけでもなく、脳のしくみによるものなのです。
子どもの登校しぶりや不安が強いのは、育て方ではなく「脳のしくみ」が関係しています。
そう知るだけでも、少し気持ちが楽になりますよね。
登校しぶりは、脳に過剰にストレスが溜まり、脳が「もう無理だよ…」ってSOSを出してるサインです。
長引くと、わが子のように癇癪や体調不良などの二次障害につながったり、不登校になることもあります。
早めに、脳に溜まったストレスを減らしてあげ、安心できる環境で脳を育てていくことが大切です。

4.お家でできる!登校しぶりを減らすママの関わり方
お家では、ママがポジティブな記憶を増やしてあげる関わり方を意識してみましょう。
脳に溜まったストレスを減らし、脳を伸ばすためには、「否定的な注目」を減らし、「肯定的な注目」を増やすことが大切です。
肯定的な注目が増えると、子どもに自信が生まれ、 「自分でやってみよう」という気持ちが少しずつ育っていきます。
登校しぶりをしている時や不登校の時、子どもは自信を失っている状態です。
そのため、ママが思っているよりも肯定的な声かけは伝わりにくく、逆に注意や叱る言葉などの「否定的な注目」は強く受け取られがちです。
だからこそ、意識的に肯定:否定=10:0くらいの気持ちで関わってみましょう。
■肯定的な注目の例
・子どもの行動を言葉にする(実況中継)
→「歯磨きしてるね」「自分で用意してるんだね」
・笑顔を見せる
・肯定的なジェスチャー
→うなずく、OKやグッジョブのサイン
・穏やかな声色で話す
■否定的な注目の例
・注意する
→「せめて勉強くらいしたら?」
・説教する
→「学校休んでるんだから、ゲームばっかりしてたらダメでしょ」
・ため息をつく
・怒りのオーラを出す
「肯定を増やして、否定を減らす」と言葉で言うのは簡単ですが、実際はとても難しいですよね。
登校しぶりで子どもが荒れていたり、学校を休んでゲームやYouTubeばかりだと、ついイライラしてしまうこともあると思います。
怒りの気持ちが出てきたら、何気なく背中を向けたり、すっと別の部屋に行ったりして、ママ自身の気持ちを落ち着けてみましょう。
怒りのピークはたった6秒と言われています。
ほんの少し距離をとるだけでも、気持ちは落ち着きやすくなります。
背中を向けるときは、子どもに「ママ怒ってる!」と伝わらないように、自然な動作で離れるのがポイントです。
私は、子どもが数分間離れても大丈夫な様子な時は、別室で好きな音楽を聴いたり、家の前に外の空気を吸いに出たりしていました。
そうすると、気持ちが整って、また笑顔で穏やかに声をかけられるようになります。

5.登校しぶりが減った!息子の成長変化
学校でのつまずきやネガティブな記憶が積み重なり、息子は一時期、不登校になってしまいました。
でも、お家で「否定を減らして、肯定を増やす」関わりを続けるうちに、少しずつ笑顔が戻ってきました。
ママべったりだった息子が、パパと二人で電車に乗って出かけるようになり、行動の幅が広がってきたんです。
再登校を始めてから一年半。
登校しぶりは以前よりぐんと減りました。
新学期や疲れが溜まってくると「行きたくない」となる日もあります。
そんな時は、無理に頑張らせるのではなく、学校を休んで、脳と体をゆっくり休ませる“充電期間”を作ってあげます。
そうすることで、息子は、また自分から学校へ向かう力が戻ってくるのです。
ママの肯定の“声がけ”や“表情”には、子どもの脳にポジティブな記憶を育てる力があります。
少しずつ「肯定の時間」を増やしていくことで、登校しぶりのある子どもにも、ゆっくりと自信と安心を育ててあげられると良いですよね。
我が家の体験が、同じように悩むママの参考になれば嬉しいです。

執筆者: 木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー





