母子分離不安が強く、一日中付き添い登校をしていた小学生の息子。学校でママと離れられなかった息子が、少しずつ離れて過ごせるようになったわが家の関わり方を紹介します。
1.母子分離不安の小学生のサイン
毎朝、
「学校に行きたくない」
「ママといたい」
と、ママと離れられない子どもに悩んでいませんか?
学校まで付き添ってもママから離れられず、付き添い登校が続くと、
「どうしたらママと離れられるようになるの?」
「この付き添いはいつまで続くんだろう?」
と、ママの心も体も疲れてしまうと思います。
わが家の息子には、学校でママと離れられないこと以外にも、
・どこにいても「ママー!」と探してくる
・トイレに一人で行けない
・頭が痛い、吐き気などの体調不良を訴える
・夜眠れない
・癇癪が増える
という様子がありました。
当時の私は知りませんでしたが、このようにママと離れることに強い不安を感じる状態は、「母子分離不安」と呼ばれることがあります。
「学校に行きたくない」「ママと離れたくない」という姿だけでなく、体調不良や癇癪などが見られる場合は、
「学校がつらいよ」
「助けてほしいよ」
という気持ちをうまく言葉にできない子どもからのSOSのサインかもしれません。

2.終わりが見えなかった一日中の付き添い登校
息子は小学校入学後から、「学校に行きたくない」「ママといたい」と毎朝のように言うようになりました。
学校へ一緒に行っても私から離れることができず、一日中付き添い登校をしていた時期もあります。
次第に息子は「学校こわい」と言うようになり、学校で感じているつらさをうまく伝えられないまま、不安やストレスを溜めていきました。
そして、体調不良や癇癪も増えていったのです。
当時の私は、
「どうしたら一人で学校へ行けるようになるんだろう?」
と、登校させることばかり考えていました。
そんなときに出会ったのが、発達科学コミュニケーションです。
学び始めて、息子には自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があり、不安を強く感じやすいことを知りました。
そして、「ママと離れたくない」「一人で学校へ行けない」という姿の背景には、母子分離不安があることも初めて知ったのです。

3.付き添い登校が続くのはなぜ?
◆嫌な記憶が不安につながりやすい
ASDの子どもの中には、不安を強く感じやすかったり、嫌だったことやうまくいかなかった経験を強く覚えていたりする子がいます。
学校で「怖かった」「嫌だった」「できなかった」という経験が積み重なると、学校へ行くこと自体に不安を感じるようになることがあります。
◆学校でさまざまな困りごとを抱えている
ASDの特性がある子どもは、学校生活の中で周りには見えにくい困りごとを抱えていることがあります。
たとえば、
- 教室のざわざわした声や雰囲気が苦手
- 先生の指示が聞き取れない
- 板書をとることが苦手
- 友達や先生とのコミュニケーションが苦手
- 座って話を聞くことが苦痛
こうした「うまくいかない経験」が毎日のように積み重なると、子どもの中で学校が「嫌なことが起こる場所」「怖い場所」になってしまうことがあります。
すると、学校へ行く朝になると不安が高まり、「学校に行きたくない」 「ママと離れたくない」 という姿につながることがあります。
一人で登校できないことや、学校でママから離れられないことだけを見ると、「甘えているのかな?」と思ってしまうかもしれません。
けれど、その背景には学校で積み重なった不安や困りごとが隠れていることがあります。
だからこそ、「ママと離れられるようにする」ことを急ぐ前に、子どもが学校で何に困っているのかを知り、お家では「ママといると安心する」と感じられる体験を増やしていくことが大切だと感じました。

4.母子分離不安の小学生にお家でできる関わり方
私がまず変えたのは、学校へ行かせるための声かけではありませんでした。
お家で息子への「否定的な注目」を減らし、「肯定的な注目」を増やすことを意識したのです。
「できていないこと」ではなく「できていること」に注目すること。
息子が好きなことや今していることに興味をもち、何気ないやり取りにも笑顔や「ありがとう」を増やしていきました。
♦肯定的な注目の例
- 「歯磨きしてるね」と、できていることをそのまま言葉にする
- 「何見てるの?」と、子どもがしていることに興味を向ける
- 何かしてくれたら、小さなことにも「ありがとう」と伝える
- 笑顔でうなずいたり、グッジョブのサインをしたりする
特別なことをするのではなく、毎日の何気ないやり取りの中で、息子に肯定的な注目を向けることを増やしていきました。
こうした関わりを重ねながら、「ママといると安心する」と感じられる時間を増やしていったのです。
反対に、
「せめて勉強くらいしたら?」
「学校休んでるんだから、ゲームばっかりしてたらダメでしょ」
と注意することを減らすよう心掛けました。
毎日完璧にできたわけではありません。
それでも意識して続けていくことで、少しずつ息子に変化が見えてきました。

5.息子と私に起きた変化
お家で「否定を減らして、肯定を増やす」関わりを続けていくと、息子に少しずつ笑顔が戻ってきました。
ママべったりだった息子が、パパと二人で電車に乗って出かけられるようになるなど、少しずつ行動の幅も広がっていきました。
そして、特別支援学級への編入をきっかけに、学校でも私と離れて過ごせるようになりました。
以前の私は、「一人で学校へ行けるようになってほしい」と、登校できるかどうかばかりを見ていました。
けれど今は、
「この子は何に困っているんだろう?」
「今なら何ができそうかな?」
と、息子の気持ちや小さな変化を見るようになりました。
不安があっても、自分で「やってみようかな」と一歩を踏み出す。
私は、そんな姿も息子の大切な成長だと思っています。
もし今、お子さんがママと離れられず、付き添い登校が続いていたら、学校へ行けたかどうかだけではなく、お家でできていることや、お子さんが見せている小さな変化にも目を向けてみてください。
その積み重ねが、子どもが自分から一歩を踏み出す力につながっていきます。

執筆者: 木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー





