注意されただけなのに「怒られた」「嫌われた」と感じてしまうASDの子ども。その考え方のクセが起きる理由と、白黒思考をやわらげる親の具体的な関わり方4つを体験談つきで解説します。
1.子どもの発言に隠れる「考え方のクセ」とは?
「僕のことを怒るから嫌だ」「あの子は僕が嫌いなんだ!」とお子さんが言ってきたことはありませんか?
親としては「そんなことないよ」「仲良く遊べるよ」と励ましたくなるものですが、それが発達障害、特に自閉スペクトラム症(ASD)の特性による「考え方のクセ」である可能性があります。
本記事では、ASDの子どもが抱えやすい思考パターンとその対処法をご紹介します。

2.我が家の6歳ASDグレーゾーンの息子の「考え方のクセ」
私の息子(6歳・ASDグレーゾーン)は、最近幼稚園での友達とのトラブルが増えました。
ある日、息子が泣きながら幼稚園から帰宅してきました。
その原因を探るべく話を聞くと「Mちゃんがいつも僕を怒るから嫌だ」「もう幼稚園に行きたくない」と言いました。
Mちゃんは面倒見の良いお姉さん気質の女の子で、「〇〇しちゃダメ」と注意をしてくれるタイプです。
しかし息子には『注意されること=怒られた』と感じる癖があり、これが『自分は悪くないのに責められた』という悲しい感情に繋がるようでした。
家庭でも似たような場面が多々みられました。
・お茶をこぼしただけで「僕は悪くない!」とすぐに言い訳をする。
・軽く注意しただけでも「怒られた!」と大泣きする。
息子がこうした考え方を持ち続けることで、友達との付き合いが難しくなるのではないか?と不安になりました。
息子にはどのように対処すれば、この「考え方のクセ」が解消するのでしょうか?

3.なぜそんな考え方になるの?親には理解し難いASDの子どもの「考え方のクセ」
ASD(自閉スペクトラム症)の特性には、以下のようなことがあります。
① 他人の気持ちを考えるのが苦手
ASDの子どもは、相手がどう感じているかを想像することが苦手です。
そのため、「注意された」という出来事を「怒られた」と受け取り、「自分が嫌われている」と極端に捉えてしまう傾向があります。
② 白黒思考
白黒思考とは物事を「良い」「悪い」や「好き」「嫌い」と二極化して考えてしまうことです。
この白黒思考が原因で、些細な出来事も「大問題」として感じ、友達とのトラブルに繋がることがあります。
例えば、楽しみにしていたお出かけの最中に雨が降ってきてしまった。
せっかくのお出かけの楽しみが半減してしまうと「こんなところに来なければ良かった」と言ってしまうなど、考えが0か100かの状態になってしまいます。
③ 思い込みや思い違いが強い
「注意された」という事実を「自分が悪いから怒られた」という思い込みに繋げる場合が多く、そこから「嫌われている」と考えやすいのです。
他にも、友達が2人で笑って話をしているのをみたら「きっと僕の悪口を言っているに違いない」と感じ、「僕は2人に嫌われている」と考えてしまうことがあります。
このような「考え方のクセ」を少しでも和らげて、できるだけ交友関係を上手にしてあげたいですよね。
ではそのために、親ができることはどのようなことでしょうか?

4.ASD特有の「考え方のクセ」を理解し、子どもの成長を支える効果的な4つの対応法
ASDの子どもの「考え方のクセ」を理解した上で、下記のような対応をしてあげましょう。
4つのポイントを解説します。
◼️感情に共感する
「そっか、Mちゃんに怒られたと思ったんだね」「悲しい気持ちになったんだね」と、まず子どもの感情を受け止めましょう。
感情を否定せずに共感することで、子どもは安心感を得られます。
例えば、息子が「怒られた」と泣いていた時には、「Mちゃんの言葉が厳しく聞こえたんだね。それは悲しい気持ちになるよね」と共感してあげます。
このように気持ちを受け止めると、子どもは徐々に落ち着きを取り戻すことができます。
◼️他の視点を教える
「もしかしてMちゃんは〇〇くんを助けたくて教えてくれたんじゃないかな?」と、他の可能性を優しく示しましょう。
これにより、極端な考え方を少しずつ緩和していけます。
息子の場合、「Mちゃんは注意をしたわけじゃなくて、〇〇くんにこうしたらかっこいいよ!って言いたかっただけかもしれないよ!」と伝えると、息子は「えー?そうだったのかな?」と考え直してくれることがありました。
◼️ポジティブなシナリオを共有する
「次に注意されたら、ありがとうって言えるかな?」と前向きな対応を練習させるのも効果的です。
事前に練習することで、実際の場面でもスムーズに対応できるようになります。
例えば、「今度『ダメだよ』って言われたら『教えてくれてありがとう』って言ってみようか」と練習すると、実際の場面でも少しずつ反応が変わっていきました。
家で私が、「ゴミはきちんと捨てようね!」と言うと、息子は「教えてくれてありがとう」と言えるようになりました。
すると息子が「怒られた」と感じている様子が少なくなったように感じます。
◼️成功体験を積ませる
友達と上手にコミュニケーションできたときは、「怒らなかったね」「ありがとうと言えたね」と具体的に褒めることで、ポジティブな記憶をどんどん増やしましょう。
息子が「今日はMちゃんにありがとうって言ったよ」と報告してくれた時には、「それはすごいね!ちゃんと言えてかっこいいよ!」とたくさん褒めてあげました。
このような成功体験が自信に繋がります。
ASDの子どもが持つ「考え方のクセ」は、脳の特性によるため、完全になくなることはありません。
しかし、周囲のサポート次第で少しずつ柔軟性を持たせることができます。
親が焦らず子どもの感情に寄り添いながら、新しい視点を教えていくことで、友達とのトラブルが減り、より良い人間関係を築けるようになるでしょう。

執筆者:豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー






