5歳が言うこと聞かない毎日に「もう疲れた」と思っていた私。子どもをどう動かすかばかり考えていたけれど、見るところはそこじゃなかったのかもしれません。「聞かせる」前提を手放し、動きたくなる土台を見るようにしてみたら、子育てが楽になりました。
1.言うこと聞かない5歳に、もう疲れた…と感じていませんか?
「ねえ、聞いてる?」
「あと何回言えばいいの?」
リビングにひびく自分の声。
「ご飯って言ってるでしょ!」
時計の針は進むのに、YouTubeに釘付けの子ども。
周りにはおもちゃが散乱。
夕方になると、だんだん声が強くなる。
そんな自分に気づいているのに止められない。
本当は怒りたいわけじゃない。
ただ、ちゃんと育てたいだけなのに。
「なんでこんなにイライラするんだろう」
「私、ママ向いてないのかな」
ちゃんとさせたい。
わがままな子にしたくない。
将来困らないように、今のうちに教えなきゃ。
そう思えば思うほど、余裕は消えていきます。
必死になればなるほど、子どもとの距離は開いていく気がしませんか?

2.5歳を「ちゃんとさせる」のが親の役目だと思っていました
息子が5歳だったとき、それはもう毎日のように私の大きな声が飛んでいました。
「早く着替えて」
「ちゃんと片付けて」
「歯磨きするよ」
もちろん一度で動いた試しはありません。
どんどんエスカレートしていきます。
私の頭の中は、「どうせやるんだったら早く動いてよ!」そればかりでした。
私はずっと、「ちゃんとさせること」が親の役目だと思っていました。
聞かせられない私は、どこかで「負け」のような気さえしていたんです。
でも発達科学コミュニケーションのレクチャーで、こんな言葉を聞きました。
「どうせ動かないんだったら、一回勇気を出して言うのをやめてみてください」
正直、「え?それじゃますます動かなくなるでしょ」と思いました。
でもそれは放任ではなく、「作戦変更」だと知って、私は立ち止まりました。
もしかして私は、「育てる」よりも「聞かせる」に必死になっていたのかもしれない。

3.言えば言うほど動かない5歳の脳で起きていること
実は、5歳の子どもの脳は、大人とはまだまだ仕組みが違います。
私たちはつい、「言えば分かるはず」「注意すれば直るはず」と思ってしまいますよね。
でも5歳は、「言われたから動く」よりも「自分がやりたいと思えたら動く」が圧倒的に優位な時期です。
とくに、ブレーキの役割をする前頭葉はまだ発展途中。
楽しいことに夢中になっているときは、聞こえていないのではなく、切り替えられない状態に近いのです。
YouTubeを見ているときに「ご飯だよ」と言われても、頭の中はまだ動画の世界。
そこに「早くして!」と強い言葉が重なるとどうなるでしょうか。
切り替えられないうえに、さらに外から圧がかかる。
すると子どもは、「分かった!」と素直に動くよりも、「動かない」という形で抵抗します。
これは反抗というより、防御に近いものです。
大人が強く出るほど、子どもも自分を守ろうとして固くなる。
その結果、「言えば言うほど動かない」という現象が起きます。
ここで多くのママが不安になるのが、「今この態度を許したら、将来わがままになるのでは?」 「今きちんとさせないと、取り返しがつかないのでは?」という思いです。
でも、私はここで大きな誤解に気づきました。
5歳は「従わせることで社会性が育つ時期」ではありません。
むしろ、自分で選べた経験の積み重ねの中で、「やったらうまくいった」「やれば気持ちいい」という感覚を育てていく時期です。
強く出れば、子どもはその場では動きます。
でもそれで育つのは、自律よりも怒られないための行動になりやすいのです。
一方で、「自分で動けた」という体験は、小さくても確実に残ります。
だからこそ、聞かせようと力を入れ続けるよりも、外からのコントロールを少し弱めたほうが、結果的に動きやすくなる。
これが、「言えば言うほど動かない」の正体でした。

4.「聞かせる」をやめるための2つの作戦
頭では分かっても、毎日の現場は待ってくれません。
そこで私は、作戦を2つ立てました。
● 子どもの「やりたい」にフォーカスする
子どもの脳を「やりたい」に動かすために、指示を遊びに変換します。
「着替えなさい」→「変身ゲーム、スタート!」
「片付けて」→「赤いおもちゃを救出せよ!」
「歯磨きして」→「お口のバイキン、30秒で倒せるかな?」
子どもは「命令」には反発しやすいけれど、「挑戦」や「物語」にはノリやすい性質があります。
同じ行動でも、「させられる」のと「やってみたくなる」のとでは、脳の動き方がまったく違うのです。
● あえて「スルー」する
もし以下の条件に当てはまるなら、一度、言うのをやめてみてください。
・命に危険がない
・誰かに大きな迷惑をかけない
・ただの「どっちが主導権を握るか」の意地の張り合いになっている
こんな時は「言っても聞かないなら、一回言わない」。
これは放任ではありません。
主導権争いのリングから一度降りるという選択です。
そして不思議なことに、大人が力を抜いた瞬間、子どもがふっと動けることがあります。
でも、すぐに動かなくても大丈夫。
バトルが起きないだけで、十分前進です。

5.動きたくなる土台を見るという選択
私は、脳の仕組みを知ってこの2つの作戦を意識するようになってから、子育てがこれまでよりも楽になりました。
そもそも聞かせようとするんじゃなくて、やりたい気持ちを引き出せばいい。
「もう疲れた」と頑張らない日があってもいい。
そう思えるようになってから、私の声のトーンも変わりました。
親が元気なときは、遊びに変える。
疲れているときは、あえて言わない。
子どもは、今この瞬間に完璧でなくていい。
社会性は、叱り続けることで育つのではなく、安心の中で少しずつ育っていくものだから。
「聞かせる」ことに全力を注ぐ毎日から、「動きたくなる土台を作る」毎日へ。
今日ひとつだけ、「聞かせる」のをやめてみませんか?
もしかしたら、明日の朝の景色が、少しだけ変わるかもしれません。

執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション アンバサダー




