家では話せるのに、人前で話せなくなる子どもについ「自分で言いなさい」とせかしてしまう。このままで大丈夫なのかな…。そんな悩みを抱えていませんか?安心感を育てる家庭での関わり方をご紹介します。
1.人前で話せない我が子。つい「自分で言いなさい」とせかしてしまう。
「自分で言いなさい」
これは、私が子どもに何度も言っていた言葉です。
家ではよくしゃべるのに、学校や人前では話しかけられても声が出なくなる。
話しかけられると、体が固まって、ママの後ろにかくれてしまう。
そんなお子さんとの関わり方に、悩んでいませんか?
なんで話せないんだろう…。
家ではあんなによくしゃべるのに。
周りの子は普通に話しているのに、どうしてうちの子だけ?
恥ずかしいのかな。
人見知りしているだけなのかな。
そう思いながら「自分で言いなさい」と声をかける。
でも余計にかくれてしまう。
このままだと、
「いじめられないかな」
「社会に出たときに困らない?」
そんな不安を抱えているママも少なくないのではないかと思います。
この記事では、かつて同じように悩み、「ちゃんと話させなきゃ」と自分も子どもも追いつめていた私が経験した、脳の仕組みを知って親子で楽になれた変化についてお話します。

2.話すことに慣れさせないとこの先困るんじゃ…。不安ばかりふくらむ日々。
私の子どもは、家ではよくしゃべるのに、学校や人前では話すことができませんでした。
話しかけられると固まって、いつも私の後ろにかくれてしまう。
そうなると、私から離れようとしません。
それは、学校や知らない人の前だけではなく、祖父母の前でも同じでした。
少し時間がたつと、慣れてくるのですが、それでも声に出して返事をすることはありませんでした。
「お茶いる?」
「トイレ大丈夫?」
そんな風に聞かれると、小さくうなずくことはできても、言葉で返事をすることが難しい。
子どもは私の服を引っ張って、耳元で小さく答える。
「お茶ください」「トイレに行きたいそうです」と、私が代わりに答えていました。
そんなやり取りが、いつものことだったんです。
先生や祖父母に話しかけられても、子どもは声を出さない。
その場の空気が少し気まずくなることもありました。
そのたびに、
「どう思われてるんだろう」
「甘やかしていると思われないかな」
そんなことばかり気になって、「自分で言いなさい」と声をかけていたんです。
それでも、状況はなかなか変わりませんでした。
言いたいことがあっても、私が聞き取って、代わりに答える毎日。
その積み重ねで、私自身も余裕がなくなり、ついイライラして「ちゃんと自分で言いなさい」と強く言ってしまうこともありました。
このままでは、学校は大丈夫なんだろうか、早く慣れさせないと、この先もっと困るんじゃないか、そんな焦りや不安も、いつも心の中にありました。

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3.性格のせいじゃない。脳のセンサーが原因だった。
その後、子どもは自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けました。
発達科学コミュニケーションを学ぶ中で、人前で話せなくなるのは性格ではなく、脳の仕組みが関係していることを知りました。
ASDの子の中には、
・とても慎重
・人の目や評価に敏感
・失敗を強く怖がる
という気質を持つ子が多いと言われています。
これは、性格や育て方の問題ではありません。
脳には「扁桃体(へんとうたい)」という部分があります。
ここは、危険を察知するセンサーのような働きをしています。
たとえば、
・知らない人に話しかけられた
・みんなに注目された
・失敗したらどうしよう
そんな場面で、「ちょっと危ないかも」と体に知らせる役割があります。
実は、人前で話せなくなる子どもの中には、このセンサーが敏感に働きやすいタイプの子がいると言われています。
そうなると、話したい気持ちがあっても、声が出にくくなることがあるんです。
それは、やる気がないわけでも、甘えているわけでもありません。

4.無理に話させるのは逆効果?子どもの安心の土台を育てる家での関わり方。
「自分で言いなさい」 という声かけは、扁桃体のセンサーを刺激してしまい、さらに不安を強くしてしまうことがあるんです。
だから、無理に話させると逆効果になることも。
必要だったのは、話すことに慣れさせることではなく、安心できる経験を積み重ねること。
そうすることで、不安のセンサーが落ち着きやすくなると言われています。
実は、特別なトレーニングをしなくても、家での関わり方で子どもの安心感は育てることができるんです。
まず、外では無理に話させることをやめました。
それまでは、「自分で言いなさい」と声をかけていました。
でも、脳の仕組みを知ってから、それが子どもにとって大きなプレッシャーになっていたと気づいたんです。
その代わりに、家での会話を増やしました。
会話の内容は、子どもが好きな話題。
私の場合は、好きなゲームやYouTube、最近楽しかったことなど、子どもが自然に話したくなる話題から会話を増やしていきました。
このとき大切なのは、
・子どもの話を途中でさえぎらず、最後まで聞く
・「そう思ったんだね」と気持ちに共感する
そして、子どもが話してくれたときには
「今、教えてくれたね」
「話してくれてうれしいよ」
と、話してくれた行動そのものを言葉にして伝えることも意識しました。
こうした関りを続けることで、子どもの中に少しずつ安心感が積み重なっていくんです。

5.安心の土台ができると、子どもは自分から動き出す。
そんな関りを続けていると、子どもにも変化が現れました。
先日、祖母が家にきた時のことです。
いつもは私の後ろにかくれてしまう子どもが、その日は自分から祖母に、大好きなゲームの話をはじめたのです。
え…?自分から話してる?と、驚きました。
後日、祖母から
「すごく変わったね」
「お母さんがいなくても、たくさん話してくれたよ」
と言われ、子どもの成長を実感しました。
以前の私は、「いま、できるようにさせなきゃ」と思っていました。
でも、そのとき気づいたんです。
無理に話させなくてもいい。
安心がたまると、子どもは自分から動き出す。
土台ができると、自分の力で一歩を踏み出せるんだと。
もし今、「このままで大丈夫?」と心配しているならまずは、家の中で安心を増やすことから始めてみませんか?

執筆者:わたなべ みか
発達科学コミュニケーション アンバサダー




