登園しぶりを乗り越えた子どもが、再び保育園に「行きたくない」といったとき、どのように返していますか。コミュニケーションを通じて、子どもの本心を探りだし「行きたくない」に対応した体験をご紹介します。
1.子どもが保育園に「行きたくない」というのはどうして?
「行きたくない」と言われたとき、 どう返せばいいのか分からず、行かせたほうがいいのか、休ませたほうがいいのか、正解探しで頭がいっぱいになってしまう―― そんな経験はありませんか。
私の場合、「なんで行きなくないの?」「今日は○○じゃなかった?」と理由を探したり、「今日おやつ○○だって、やったじゃん」など子どもが喜びそうなことを話したりして、なんとか行かせようと焦った対応をしていました。
ですが、このとき大切なのは、すぐに説得したり、理由を探し出したりすることではありません。
コミュニケーションの取り方を少し変えるだけで、
「この子は今、何に困っているのか」
「何が不安なのか」
を落ち着いて受け取れるようになります。
まずは焦らず話しをきくことからはじめてみませんか。

2.せっかく通えるようになったのに、「行きたくない」が増えるたび不安に
現在、息子は6歳の年長さん。
年少・年中のころの登園しぶりを乗り越え、年長になってからは毎日登園しています。
そんな息子が、ある時期になると、
「明日は保育園お休みの日?」
「そろそろ休みたくなってきたわー」
と保育園を休みたがるような発言をするようになりました。
「明日はまだ平日だから保育園あるよ」と答えると「そっかー」と、その時はやや残念そうにするだけで、以前のように癇癪を起こしたり、泣いて行くのを嫌がる様子はありません。
私は、「そんな風に思う日もあるよね」と、思っていました。
しかし、ある日の登園日の朝、なかなか起きてこず、起きてきたらきたで「行きたくない」と言ってだらだらするようになり、せっかく自分でするようになっていた朝の準備もできなくなってしまったのです。
「どうしたの、今日は行く日でしょ!」「一緒に準備しちゃおう!」と明るく声をかけても動かず、いつもと何が違うのかわけがわかりませんでした。
何回かはそんな状態の日でも、何とか急き立て登園させていましたが、月1回くらいのペースでそんなことがあり、不安になってきました。
ある時、どうして行きたくないのか理由を探ってみると、
・もうすぐ避難訓練がある
・明後日は交通安全講習でお巡りさんがくる
・明日は歯科検診
と、「行きたくない」と言い出す頃に何かしらの保育園の予定が入っていることが多いとわかりました。
そしてそれらは、大人から見ると大切な予定でも、わが子にとっては楽しくない予定だったのです。
私は、息子が行きたくないというたびに、
「避難訓練は、もし本当に地震や火事が起きた時のために練習が必要なんだよ」
「お巡りさんが来て、やさしく交通ルールを教えてくれるよ」
「虫歯がないか診てもらわなきゃ」
と、行かなければならない理由を説明していました。
それでも「行きたくない」訴えは続き、朝のだらだらも続いて、私は焦る気持ちでいっぱいに。
また登園しぶりになるかもしれない、どうしたらいいんだろう、と考える日々が続きました。

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3.「行きたくない」にすぐさま反応していた私が、うまくいかなかった理由
なぜ、行かなければならない理由を説明しても、息子の「行きたくない」行動は変わらないのでしょうか。
それは「○○だから行きたくない」は、息子の言葉だけれど、本心じゃなかったからなのです。
「自分の気持ちを言葉にして相手に伝える」ということは、大人であっても難しいことがあると思います。
脳がまだ発達途中の子どもにとっては、もちろん難しく、気持ちを正確に言葉にすることは困難です。
例えば、避難訓練の前に行きたくないと訴える息子の場合、
(本心)
・避難訓練のサイレンの音がうるさい
・いつ鳴るかわからなくて不安
・火事の映像を見るのが怖い
という本当の気持ちをうまく言葉で説明できず、
(行動)
・避難訓練があるから行きたくない! という発言
・朝、だらだらして登園準備をしないという行動
としてあらわれていたのです。
私は、表面にあらわれた「○○だから行きたくない」という言葉にばかり反応して、
「行きたくないと思うけど、いざという時のために避難訓練しておくのは大事だよ」
「訓練だから安心して行っておいで」
と、不安をなくそうとして声をかけていたのです。
しかし息子が求めていたのは、不安を消すことではなく、「怖い」「不安だ」という気持ちを分かってもらうことでした。
私はその気持ちに気づかず、受け止める前に安心させようとしてしまっていたのです。
このズレがある限り、どれだけ言葉をかけても息子の不安はなくならなかったのだと思います。

4.子どもの本心を探り出すコミュニケーションが解決のカギ!
発達科学コミュニケーション(発コミュ)には、ホームカウンセリングというコミュニケーションのテクニックがあります。
「保留」→「受容」→「理解・発見」→「共感」
子どもとの会話(コミュニケーション)をこの4ステップで進め、子どもの心の変化をサポートしていきます。
ここでは、私と息子が実際に体験したコミュニケーションの様子をお伝えします。
息子が「保育園行きたくないなー」と言ったとき、まずは頭の中で「どうしよう。行かせたいけどなんて言う?それとも休ませる?」と解決策を考えることをやめて、息子の様子をよく観察します(保留)
「そうなんだね」「行きたくないんだね」と肯定も否定もせず、「行きたくない」気持ちを受け止めます(受容)
「行きたくないって思うのはどうして?」
「避難訓練だから」
「そっかー。避難訓練のどんなところがいやだと思う?」
「大きい音がするところ」
「なるほど。ほかには?」
「突然なるからびっくりする」
「ふんふん」
と会話を重ねて、子どもが何を感じているかを確かめていきます(理解・発見)
「突然なる大きいサイレンの音にびっくりして怖くなったり、不安になっちゃうんだね」
「避難訓練があると行きたくないと思うんだね」(共感)
この4ステップで会話することを続けた結果、息子は怖いと感じる気持ちをわかってもらえたという満足感を得て、安心することができたようでした。
その後は、どうしたら避難訓練があっても保育園に行くことができるかを息子と話せるようになりました。
安心すると、困難に立ち向かう心の準備が整うのです。

5.共感がこころの土台になった!わが子に起きた小さな変化
避難訓練に立ち向かう心の準備ができた息子は、
・避難訓練がある日は、イヤーカフを持っていく
・避難訓練の順序(サイレンが鳴る、庭に避難する、話をきく)を朝聞いておき、心の準備をする
・ビデオ学習の嫌な映像の時は目をつぶっても構わない
と先生と話しておくという対策を一緒に立てて、先生にもお願いすることにしました。
今では、避難訓練がある日も行きしぶることなく登園しています。
ここまで話せなくても大丈夫です。
大切なのは、「行きたくない理由をなくすこと」ではなく、「気持ちを分かってもらえた」と感じる経験を積むこと。
それが、次の一歩につながっていくはずです。

執筆者:濱田 歩美
発達科学コミュニケーション アンバサダー




