運動会に行きたくない…でもやってみたい不安が強い子どもへの関わり方

運動会の旗体操の様子
運動会に行きたくないと言う不安の強い子どもが、「やってみようかな」と動き出した関わりとは?実体験をもとに、不安の受け止め方と「一回だけやってみる?」といった声かけの工夫を具体的に紹介します。
 
 

1.運動会の練習や本番に行きたくない子どもに、どう関わる?

 
 
運動会の練習や本番になると、「行きたいけど行きたくない」と言うお子さんに、どう関わればいいか悩んでいませんか?
 
 
本当は少しやってみたい気持ちがあるのに、不安が強くて動けない状態なのかもしれません。
 
 
我が家の息子も、不安が強く、これまで運動会の練習や本番を嫌がり、参加できない年もありました。
 
 
でも去年、ダンスの動画を見て「ちょっとやってみたいかも」と、初めて前向きな気持ちを見せてくれたんです。
 
 
その結果、練習と本番に挑戦することができました。
 
 
この記事では、「やってみたい気持ちはあるけれど不安で動けない子」に対して、実際に効果があった声かけを紹介します。
 
 
不安の文字と不安そうな人形
 
 

2.「運動会に行きたくない」と言う息子に、どう関わればいいか分からなかった過去

 
 
息子は、自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があり、支援学級に在籍しています。
 
 
不安が強く、幼稚園の頃から運動会の会場に着くと嫌がって入れないことがありました。
 
 
「行きたくない」と言う息子。
 
 
お友達は普通に入って行くのに、どうしてうちの子だけ嫌がるんだろうと感じていました。
 
 
緊張しているのかな?と思い、「だいじょうぶ、怖くないよ!」と声をかけて、無理に先生に引き渡してしまったこともあります。
 
 
その後も毎年、運動会の練習や本番になると「行きたくない」と嫌がり、参加できない年もありました。
 
 
「行きたくない」と言われたとき、どう関わればいいのか分からず悩んでいました
 
 
去年の運動会も、出席するのか、しないのか、それとも少しだけ出るのか、息子と一緒に考えていたんです。
 
 
そんな中で、学校でダンスの演目の映像を見たこと教えてくれ、 息子が珍しく「ちょっとやってみたいかも」と言ったのです。
 
 
それまでずっと「行きたくない」と言っていた息子が見せた、小さな変化でした。
 
 
でもやっぱり不安もある様子でした。
 
 
だからこそ、その小さな「やってみたい気持ち」を大切にしたいと思い、関わり方を工夫してみました。
 
 
悩んでいる女性
 
 

\関わり方に迷ったときに/
「これで合ってるのかな?」と迷う場面に。

その関わりが、
子どもの“自分でやる力”を止めてしまうこともあります。

「自分でやる」を増やす関わり方はこちら▼
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3.不安が強い子どもが、運動会に行きたくないと感じる理由とは?

 
 

♦① 感覚過敏や「見られること」への不安

 
不安が強い子どもの中には、感覚が過敏な子もいます
 
 
たとえば耳が敏感な場合、
 
  • 応援合戦の大きな声
  • 演目中の音楽
  • 徒競走のピストルの音
 
こうした音がつらく感じてしまうことがあります。
 
 
また、肌が敏感な場合は、
 
  • 体操着の肌ざわりが気になる
  • 暑さや寒さを強く感じてしまい、疲れやすい
 
といったこともあります。
 
 
さらに、
 
  • 人に注目されるのが苦手
  • ダンスを覚えることに不安がある
 
なども、「行きたくない」につながる理由になります。
 
 

♦②ネガティブな記憶が残りやすい

 
不安が強い子どもは、嫌だった記憶が残りやすい特性があります。
 
 
過去の運動会での経験が、こんなふうに残っていることもあります。
 
 
  • 応援の声がうるさくてつらかった
  • 緊張してうまく走れなかった
  • ダンスが難しくて覚えられなかった
 
これは、実際に息子が教えてくれた記憶です。
 
 
運動会の練習が始まると、こうした過去の体験を思い出し、「また同じ思いをするかもしれない」と感じて、「運動会に行きたくない」となることが考えられます。
 
 
不安やネガティブな記憶は、 「だいじょうぶ」と言うだけでは解消されません
 
 
「行きたくない」と言われると、安心させたくて「だいじょうぶ。楽しいよ。」と声をかけてしまいがちです。
 
 
でも子どもにとっては、「気持ちを分かってもらえなかった」と感じてしまうこともあります。
 
 
まずは、子どもの「行きたくない」という気持ちをそのまま受け止めることが大切です。
 
 
下を向く子ども
 
 

4.不安が強い子どもが運動会の練習や本番に挑戦できた関わり

 
 

♦① 行きたくない気持ちを受け止める

 
運動会の練習に「行きたくない」と言われたら、「そっか。そうなんだね。」と、まずは子どもの気持ちを受け止めます
 
 
ここで大事なのは、親の気持ちや意見をすぐに伝えないことです。
 
 
その上で、「なんでそう思うの?」と、不安な気持ちを一つずつ聞いていきます。
 
 
息子の気持ちを聞いていく中で、
 
  • ダンスはやってみたいけど、普通級へ交流に行くのが不安
  • ダンスを覚えられないかもしれない、うまく踊れないかもしれない
 
という不安があることが分かりました。
 
 

♦② 子どもの背中を押す「魔法の枕詞」

 
普通級でのダンスの練習は、支援級の先生が近くで見ていてくれることを伝えると、 息子は少し安心した様子でした。
 
 
そこで、不安を聞いたあとに、背中をすっと押す「魔法の枕詞」を使ってみました。
 
 
『できるかどうかは別として』
→真意を尋ねたいときや、「こうしてほしい」をやわらかく伝えたいとき
 
うまくできるかどうかは別として、少しでもダンスやってみたいなら、一回だけ練習に参加してみない?」
 
 
『多分できると思うんだけど』
→勇気を出してほしいときや、苦手なことにチャレンジしてほしいとき
 
「一回目の練習参加できたから、○○くんなら多分できると思うんだけど、今日も練習にチャレンジしてみない?」
 
 
『もしコレができたらスゴイ!っていうやつ、言っていい?』
→高いハードルに目を向けさせたい時
 
私「ねぇねぇ、もしコレができたらスゴイ!っていうやつ、言っていい?
息子「なに?」
私「今まで練習がんばってきたし、本番行けたらすごくない?ママ、〇〇の頑張ってきた姿見れたら嬉しいな~
息子「うーん。緊張して嫌だけど、ママに見てもらいたいし運動会行こうかな」
 
 
このように、まずは息子の不安をしっかり聞いたうえで、 タイミングを見て声かけをすることで、 やってみようという気持ちを引き出すことができました。
 
 
座って話している親子
 
 

5.運動会に行きたくないと言っていた息子が、練習や本番に参加できた

 
 
背中を押して練習に参加できたときは、「参加できたねー!」と笑顔で声をかけ、しっかり肯定しました。
 
 
その積み重ねで、ほとんど休まず練習に参加することができました
 
 
「今日は練習に行きたくない」と言うときは、「そっか。了解。今日はゆっくり休もう」と、残念な表情は見せず、さらっと受け入れました。
 
 
また、先生とも連携を取ることで、こんな配慮をしていただきました。
 
 
  • 応援合戦のときは参加せず、離れた応援席で見ていてOK
  • つらくなったら教室で休んでもOK、帰宅もOK
 
 
「どうしてもできないことはやらなくていい」「いつでも帰っていい」そんな安心感の中で、本番にも参加することができ、練習を頑張ってきたダンスにも参加することができました
 
 
運動会のあと、息子は 「ママにダンスを見てもらえてよかった!」 と伝えてくれました。
 
 
もし今、「行きたいけど行きたくない」と動き出せないお子さんへの関わり方に悩んでいたら、まずは子どもの気持ちを聞くことから、始めてみてもいいかもしれません。
 
 
私は、どうにか行かせなきゃと思っていたときは、うまくいきませんでした。
 
 
でも、「やってみたいけど不安」という気持ちを聞けたときに、
 
「できるかどうかは別として、一回だけやってみる?」
 
と声をかけてみたら、 息子は「やってみようかな」と動き出すことができました。
 
 
その子のペースで関わることが、一歩踏み出すきっかけになると感じています。
 
 
もし同じように悩んでいる方がいたら、 我が家の体験が、少しでもヒントになれば嬉しいです。
 
 
外で元気に走る男の子
 
 

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執筆者:木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー
 
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