「どうして先のことを考えないの?」と子どもにイライラしていませんか?先を見通すのが苦手な子どもが、料理のお手伝いを通して段取り力を育てる方法を紹介します。最初は一工程だけでもOK。子どもの「やりたい!」を育てる声かけもお伝えします。
1.先を見通すのが苦手な子どもは「今」で判断しやすい
「宿題がたくさんあるから、今日は早めに始めた方がいいよ」
そう声をかけても、なかなか宿題を始めない。
夕方から雨の予報だから、「今日は傘を持って行ってね」と伝えても、
「今は雨が降っていないからいらない!」 と言って持って行こうとしない。
こんなふうに、今の状況からこの先に起こることをイメージして、行動につなげることが苦手な子どもがいます。
先を見通すのが苦手だと、
- いつまでたっても宿題を始めない
- 嫌なことや面倒なことを後回しにする
- 長期休みの学習計画を立てるのが苦手
- そのときの状況だけで動いてしまう
- いくつかのことを同時に進めるのが苦手
といった困りごとが出てくることがあります。
するとママも、
「どうして先のことを考えないの?」
「早めにやっておけば困らないのに」
と、つい言いたくなってしまいますよね。
しかしこれは、やる気がないとか何も考えていないからとは限りません。
「今これをしたら、そのあとどうなる?」
「ゴールまでに、何をどんな順番ですればいい?」
と、目の前のことと少し先のことをつなげて考えること自体が、まだ難しいという場合があるのです。
それなのに、周りから何度も注意されたり失敗が重なったりすると、
「自分にはできない」
「もうやりたくない」
と、自信や「やってみよう」という気持ちまで失ってしまうことにもなりかねません。
だからこそ、先を見通すのが苦手な子どもには、叱って動かそうとするよりも、「次に何をする?」と道筋をつけて考える経験を、日常の中で少しずつ増やしていくことが大切です。
その力が、これからお伝えする「段取り力」につながっていきます。

2.段取り力とは「ゴールまでの道筋を考える力」
先を見通して行動するために育てたいのが、「段取り力」です。
段取り力とは、ゴールまでに「何を」「どんな順番で」「いつやるのか」という道筋を考えて行動する力です。
たとえば、「18時半に晩ご飯を食べる」というゴールがあったとします。
そこから、
「何時から作り始めればいいかな?」
「その前に何を準備すればいい?」
「どの順番で進めれば間に合う?」
と、ゴールから逆算して一つひとつの行動をつなげていきます。
こうして道筋をつけるためには、
- 必要なものを準備する「ものの管理」
- 何をどんな順番でするか考える「計画性」
- いつ始め、どのくらい時間をかけるか考える「時間の管理」
- 次にすることを覚えておく「記憶」
- ゴールまで取り組み続ける「持続力」
など、いくつもの力を使います。
先を見通すのが苦手な子どもに、いきなりこれらすべてを上手にやるよう求める必要はありません。
大切なのは、日常生活の中で「次は何をする?」「その次は?」と、一つひとつの行動をつなげる経験を増やしていくことです。
そこでおすすめしたいのが、家でできる「お手伝い」。
中でも、段取り力を育てる要素がたくさん詰まっているのが、料理のお手伝いです。
なぜ料理が、先を見通して動く練習になるのでしょうか。
次から詳しく見ていきましょう。

3.なぜ料理?段取り力を育てる要素がたくさん詰まっています
家でできるお手伝いの中でも、段取り力を育てるのにおすすめなのが「料理」です。
料理は、作りたいメニューを決めたら、完成までに何が必要なのかを考え、いくつもの工程をつなげながら進めていきます。
たとえば、カレーを作るとしましょう。
まずは、必要な食材や調理器具をそろえます。
これは、ゴールに向けて「何が必要?」と考えて準備する経験になります。
次に、
「野菜を洗う」
「材料を切る」
「炒める」
「煮込む」
「味付けをする」
「お皿に盛る」
と、完成までの工程を確認して、何をどんな順番で進めるのかを考えます。
さらに、
「18時半に食べるなら、何時から作り始めよう?」
「あと何分煮込めばいい?」
と考えることは、時間を意識して逆算する練習になります。
料理には、一つのことだけではなく、いくつかのことを同時に進める場面もあります。
たとえば、カレーのルーを作りながら、ご飯を洗って炊飯器にセットする。
お湯を沸かしている間に材料を準備したり、煮込んでいる間に使った調理器具を片づけたりすることもあります。
このように、「今していること」と「次にすること」を考えながら、いくつかの作業を並行して進めることは、マルチタスクの練習になります。
さらに、「ご飯が炊き上がる頃にはカレーも完成するようにしよう」と考えれば、それぞれの完成時間を見通して段取りを組む経験にもなります。
そして料理のおもしろいところは、手順だけでは完成しないこと。
「いい焼き色になったかな?」と目で見る。
「ジュージュー音がしてきた」と耳で聞く。
「いい匂いがしてきた」と鼻で感じる。
このように五感を使って「今、どんな状態かな?」と確かめながら、次に何をするのかを考えて動く場面がたくさんあります。
さらに、次の工程を思い出しながら進めたり、完成して食卓に並べるところまで取り組んだりすることで、記憶や持続力も使います。
つまり料理には、
準備する → 順番を考える → 時間を意識する → 状態を確認する → 次の行動を考える
という、先を見通して動くための経験がぎゅっと詰まっているのです。
だからこそ、料理は段取り力を育てるお手伝いとしておすすめです。
とはいえ、最初から一品を全部作らせる必要はありません。
先を見通すのが苦手な子どもだからこそ、まずはその子ができそうな一工程から。
例えば、野菜を切るだけ、カレーのルーを入れるだけ、盛り付けをお願いするだけでもOKです。
「これならできそう」というところや、子ども自身が「やってみたい!」と思うところからスタートしてみてください。
次は、子どもの「またやりたい!」につなげながら、料理のお手伝いを段取り力アップにつなげるコツをお伝えします。

4.「最後までちゃんと」より「できた!」を増やそう
子どもと一緒に料理をしていると、慣れないうちは時間もかかりますし、
「そうじゃなくて、こうやるの」
「もっと丁寧にやって」
「最後までちゃんとやって!」
と、つい口を出したくなることもあると思います。
ママが一人で作ってしまった方が、早くて楽ですよね。
私も最初は、せっかくやるならきちんとやってほしいと思い、
「もっとこうやって切って」
「適当に混ぜないで」
と、息子のやり方にいちいち口を出していました。
最初は「やりたい!」と楽しそうに手伝ってくれていた息子でしたが、私があれこれ指摘するうちに、だんだんつまらなそうになっていきました。
そしてやる気がなくなって、ますます適当にやるようになり、最後には、「もういいや」とお手伝いをやめてしまったのです。
その後、しばらく息子は料理をしようとしませんでした。
発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学び、やるならちゃんとやらせたいという私の対応が、息子の「自分でやってみたい」をつぶしていたのだと気づきました。
大切なのは、料理を上手に完成させることよりも、息子が「自分でやってみたい」と思い、行動すること。
だからこそ、全部きちんとできるまで待つのではなく、できている途中で声をかけることを意識しました。
例えば、野菜を切っている途中なら、
「いいね!左手を猫の手にしてるね」
「同じくらいの大きさに切ってるね」
材料を準備しているなら、
「にんじん出してくれたんだ、ありがとう」
「次に使うものも準備してるね」
盛り付けなら、
「おいしそうに盛り付けれたね」
「みんなの分もよそってくれたんだね」
というように、今できている行動をそのまま言葉にして伝えます。
100%できてから褒めるのではなく、25%、50%、75%の途中で「できているよ」と伝えていくことで、子どもは「できた」「もう少しやってみよう」と次の行動に進みやすくなります。
そして、一工程だけで「今日はもういい!」となっても大丈夫。
「野菜、全部切れたね」
「手伝ってくれて助かったよ、ありがとう」
と、できたことを伝えて終われば、それも立派なお手伝いです。
こうして「できた!」という経験を積み重ねながら、慣れてきたら、
「次は何をするんだっけ?」
「ご飯を18時半に食べるなら、何時から始めようか?」
と一緒に考え、少しずつ任せる工程を増やしていきましょう。
一工程できることから始めて、やがて自分で「次はこれ」と考えて動けるようになる。
料理のお手伝いを通してそんな経験を積み重ねることが、先を見通して動く力につながっていきます。
ママに余裕があるときに、親子で楽しみながら取り入れてみてくださいね。






