「明日は学校行くよ」と言っていたのに、朝になって「やっぱり行きたくない」と登校をしぶるお子さんに、振り回されていませんか?この記事では、そんな行き渋りをする子どもの『行く・行かない問題』にママが一喜一憂しないようになる3つのポイントをお伝えします。
1.毎朝の行き渋りに振り回されていませんか?
✓「明日は学校行くよ」と言っていたのに、朝になると行きたくないと言い出す
✓学校まで来たのに校門から足が進まない
このように学校に行くと言ったのに直前になって行きたくないと言い出すお子さんに
行くって言ったのになんで?
ここまで来たんだから頑張って行ってほしい!
とイライラしたり、がっかりしたりしていませんか?
どのママにもその日の予定がありますし、下に小さなお子さんがいれば、幼稚園・保育園への送迎時間もあるでしょう。
お仕事をされているママなら、職場に連絡も入れたりいろいろな調整をしなければならなくなります。
毎朝、今日は学校に行けるかな、行かないのかな…と不安になったり、お子さんの行けた、行けなかったに一喜一憂して精神的にへとへとになってしまっているママも多いのではないでしょうか?
この記事では、そんなお子さんの『学校行く・行かない問題』に巻き込まれずにママが対応できるようになる方法をご紹介します。
2.「今日はいけるかな?無理かな…」毎朝不安になっていました。
発達障害グレーゾーンの息子が小学校1年生の頃、とにかくひどい行き渋りがありました。
登校の準備はするものの、直前になると「行きたくない!」と言ってうずくまったり、
なんとか車に乗せて学校まで送って行っても「いやだ!」と泣き叫び、車から降りられなかったりという日もありました。
当時の私は、まだ1年生だし、慣れればそのうち行き渋りもなくなるのでは?という期待があり、子どもにもできるだけ学校に行ってほしい!と強く思っていました。
だから、
今日はどうかな…行けるかな…
昨日、「明日は好きな○○がある」と言ってたし大丈夫かな…
毎朝淡い期待を抱いてソワソワしていました。
しかしその期待に反して、「やっぱり行きたくない!」と言い出されると、イライラしてきて
「昨日は行くって言ったじゃん!何が嫌なの?」と強い口調で問い詰めたり、
「昨日楽しかったって言ってたし、今日も行ったら楽しいよ!」と根拠のない説得をしてみたり、
息子の学校へ行きたくないという気持ちに対して、寄り添うこともせず、イラつきながらプレッシャーをかけていたのです。
そして息子の行く・行かないに振り回されて一喜一憂する日々。
いったいこれはいつまで続くんだろう…と見通しの立たない状況に不安を感じ、疲れていました。
3.「明日は学校行くよ」が「やっぱり行きたくない」に変わる理由
そもそも、なぜ前日には「明日は行くよ」と言っているのに、直前で「行きたくない」と行き渋りをするのでしょうか?
♦行った方が良いという建前と行きたくない本音での葛藤
行き渋りをしている子どもも、『学校に行くものだ』という世間一般の考えを理解しています。
発達障害グレーゾーンの子どもは完璧主義な子も多く、毎日ちゃんと行きたい!と思っていることがあります。
さらに繊細な子も多く、ママや先生のちょっとした表情や声色、雰囲気を敏感に感じ取って、喜んでほしいという気持ちが強いことがよくあります。
だから今日は行けなかったとガッカリしているママを見て、「行けなかった自分はダメだ」と自分を責めたり、「明日は行くよ」と言って安心する顔を見たいと思ってしまうのです。
そんな気持ちから「明日は行くよ」というケースがあります。
しかし、感覚過敏や集団の苦手さなどの特性を持つ発達障害グレーゾーンの子どもにとって、学校という場所はストレスがかかることがたくさんあります。
だから、「本当は学校に行きたくない」という本音と「行った方が良い」という建前の間で葛藤しているのです。
♦前日は、本当に行こうと思っている
発達障害グレーゾーンの子どもは、見通しを立てるのが苦手、ネガティブなことを記憶しやすいという特性があります。
前日の段階では、学校でのことをそこまでリアルにイメージできておらず、本当に行くつもりなのです。
しかし、直前により具体的に考えた時に、ネガティブな記憶を思い出し、
・当てられたらどうしよう
・昨日、何で休んだの?って聞かれたらどうしよう
・今日の給食は嫌だな
と不安なことが次々に浮かんできて怖くなってしまうのです。
その結果「やっぱり行きたくない」となってしまいます。
4.子どもの『行く・行かない問題』に振り回されないママの対応とは?
では、「明日は行くよ」というけれど朝になると「行きたくない」と行き渋りする子どもにはどう対応したらよいのでしょうか?
① ママの『行ってほしい気持ち』を押し付けない
大切なのは、子どもが「今日はやっぱり学校に行きたくない」と言い出した時に、ママの「行ってほしい」という気持ちを押し付けないことです。
「早く決めて!」と急かしたり、「そんなの大丈夫だよ」と否定するのではなく、まずは「そっか、今日は行きたくないんだね」と冷静に、フラットな気持ちで会話を始めましょう。
このフラットな対応は、敏感なお子さんにプレッシャーを与えず、安心してママに話ができるきっかけを作ります。
子どもの「行きたくない」という気持ちを聞き、「うん、うん。他には何かある?」や「今日はどんなところが心配?」などと問いかけて、子どもの気持ちをしっかりと受け止めてあげましょう。
その上で、「それってこんな気持ちかな?」と気持ちを代弁し、整理を手伝うことが大切です。
これはママ自身の『行ってほしい気持ち』を否定することではありません。
自分の感情も大切にしながらも、いったん横に置いて、ママはこう思う、 子どもはこう感じている、とそれぞれの気持ちや価値観を大切にしましょう。
そうすることで、ママも冷静になり、子どもの「行く・行かない」に振り回されることなく、自然とイライラすることも少なくなります。
② 子どもが自分で決める時間を与える
子どもの気持ちが落ち着いたら、「じゃあ、どうしようか?どうしたい?」と優しく問いかけ、子どもが自分で決断できるようにサポートしてあげましょう。
もし子どもが答えに迷った場合は、ママが具体的な選択肢を出してあげるのもいいですね。
例えば、
「今日の給食は揚げ餃子だね!」
「5時間目は図工で工作をするらしいよ!」
「家で過ごすなら、ママはこの時間に一緒に何かできるよ。」
こんな風に、ポジティブで具体的な見通しを立ててあげることで、子どもも自分の気持ちや選択を整理しやすくなります。
③ 子どもの決断を尊重し、肯定する
子どもがどうするか決めたら、その決断をしっかりと認めて肯定してあげましょう。
「自分で決められたね、気持ちを話してくれてありがとう。ママはとても嬉しいよ」と声をかけ、決断したこと自体を肯定します。
たとえ行くと決めても、行かないと決めても、決めるのに時間がかかったとしても、子どもが自分の気持ちを話し、決断したことが大切なのです。
私もはじめのうちはやっぱり子どもの「行く・行かない」が気になってしまい、つい急かしてしまったこともありました。
そんなときは、今日は少し感情的になっちゃったけど、共感の声かけはできたからマル。
いつもよりもソフトな声で質問できたなど、自分の出来たところに注目するようにしました。
ママだって小さなスモールステップでいいんです。
何回か繰り返すうちに、少しずつ子どもの『行く・行かない問題』に一喜一憂することがなくなっていきました。
息子は今も、学校行こうかな、どうしようかなと迷うことがあります。
そんな時も、不安になったりイライラしたりせずに、冷静に子どもの観察し、落ち着いて子どもの決断を待てるようになりました。
結果として、子どもも自分で考えて、より落ち着いて決断できるようになっています。
人は、自分で決めて行動できた時に自信が生まれます。
自分で「行く」と決めた日は、その自信を持って前に進めますし、「休む」と決めた日も、安心して有意義に過ごせます。
ママ自身の気持ちも大切にしつつ、お子さんの気持ちや決断を尊重して、スモールステップでサポートしていけるといいですね。
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー