何度言っても忘れ物ばかりする子どもにイライラしていませんか?ADHDの子どもの場合は特性により忘れ物が多くなっているかもしれません。忘れ物なく学校の準備ができるようになるママの声かけとチェック表の活用についてお伝えします。
1.「また置きっぱなし!」忘れ物を届けるために学校に向かう子どもを追いかけていた朝時間
子どもが学校の準備をするとノートだけがぽつんっと残されていたり、登校直前まで持っていた絵の具セットを靴を履く時に、床に置いてそのまま登校してしまう…なんてことはありませんか?
毎日のように忘れ物をする子どもに、しっかり見るように伝えても全然忘れ物がなくならない…「いつになったら忘れ物をしなくなるの⁉︎」とイライラしてしまいますよね。
忘れていることにも気づかないこともあり、呆れてしまうママもいらしゃるのではないでしょうか。

注意欠如・多動症( ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)の息子も忘れ物がとても多い子でした。
時間割を見て自分で用意はしますが必ず何かを入れ忘れてしまう…。
例えば、
・国語のノートはランドセルに入れたのに教科書は忘れる
・宿題をするために出した筆箱を机に置いたまま忘れる
・筆箱は忘れていないけど、出した消しゴムを机に置きっぱなし
・学校に提出するように渡したプリントを出すのを忘れる
・せっかくやった宿題を目に見えないところに置いてしまい持っていくのを忘れる
このように忘れ物ばかりする毎日で、子どもが登校してすぐ私が忘れ物に気づき、息子を追いかけることもよくありました。
「忘れ物を届けるために、いつまで子どもを追いかければいいんだろう…」
「こんなに忘れ物だらけで将来は大丈夫なのかな」
「いつも同じことをしているのに何でこんなに忘れるの」
こんな思いがいつも頭の片隅にありました。
時にはイライラが積み重なって「ちゃんとしっかり見なさい!」と子どもに怒ってしまうこともありましたが、発達科学コミュニケーションを学んでいくうちに怒っても意味がないことがわかってきました。
なぜならワーキングメモリの弱さが関係しているので、怒ってもできない、むしろ怒ることでネガティブな感情が働いてより忘れ物をしやすくなることがわかったからです。
それでは、どうしてADHDの子どもは忘れ物が多くなってしまうのでしょうか?
2.「ちゃんと見なさい」と怒っても効果なし!ADHDの子どもが忘れ物が多いワケ
ADHDの子どもが忘れ物が多くなってしまう理由は、特性である不注意とワーキングメモリの弱さが関係しています。
不注意の特性があると、
・準備の最中にほかのことに意識がそれやすい
・見落としが多い
・毎日同じことを繰り返しても行動が定着しにくい
といったことが起こります。
例えば 「時間割を見て算数の教科書とノートを入れよう」と思っていても、途中でほかのことが気になり、行動をストップしてしまう。
その結果、教科書は入れたけどノートは机の上にポツンと残されたまま…ということもよくあります。
また、消しゴムや宿題のプリントが目の前にあっても、そこに意識が向かず、その存在すら気づかないことも…。
次にワーキングメモリについてです。
ワーキングメモリとは見たり聞いたりした情報を一時的に覚えておき、整理する力のことです。

例えばこのワーキングメモリを作業台とすると、作業台が大きければそれだけたくさんのことを覚えることができ、上手に整理することができます。
逆に小さければ覚えることができなかったり、覚えたとしても他の記憶が抜け落ちてしまったり、整理することが難しい状態になります。
息子が忘れ物が多かったのは、時間割をしっかり注意して見られないことや持ち物への意識が低くて頭に入っていないこと、同時に複数の作業をすると「次に何をするんだっけ?」と忘れてしまうことが理由だったのです。
このことから、私は「自分の頭の中だけで考えて忘れ物がないように学校の準備をするのはこの子には難しすぎる!何かいい方法はないかな」と考えました。
そこで思いついたのがチェック表の活用です。
ただチェック表を使おうと提案するだけでは子どもは進んでやりたがらないので、やる気になるような声かけをしっかりしながらチェック表を活用していくことに決めました。
実際に我が家でやってみた方法をご紹介しますね。
3.忘れ物をしないで学校の準備ができる!ママの声かけとチェック表のダブル活用
忘れ物が多い子どもが学校の準備を自分でできるようになるためには、チェック表とママの声かけのダブル活用がおすすめです。
チェック表を使うにあたってポイントが2つあります。
1つ目は、チェック表は行動する場所かつ目につく場所に置くことです。
見える場所に置かないとチェック表を使うこと自体忘れてしまう可能性が高いからです。
さらに、チェックする時に使うマーカーや時間割も一緒に保管しておくと、よりスムーズに行動できるようになります。

2つ目は、チェック表の項目はその子に合わせて、必要な項目を書くことです。
教科書、ノート、宿題、筆箱…といった項目だけで忘れ物なく準備ができればOKですが、これだけでは忘れてしまう場合があります。
実際に息子がそうだったのですが、単に筆箱と書いてあると、中身が机に放置されたままランドセルに入れてしまう可能性があるからです。
こういったことから、筆箱の中身である鉛筆、消しゴム、赤ペンなど子どもが忘れていることを細かく書くようにしていきます。
チェック表を実際に使う時は、ママの声かけも重要です。
どんな声かけかというと、子どもの行動を認めてあげる「教科書とノート入れられたね」「チェックできてるね」「ここまでできたね」といった声かけです。
ここで気をつけてほしいことがあります。
それは、ランドセルに入れているうちにチェックを忘れてしまったり、のんびりやっているように見えたとしても、「早くしなさい」「なんで忘れるの」など、できていないことを指摘することは避けるということです。
「自分はできないんだ」と自信をなくしやすく、せっかく今、行動できているのにやめてしまうかもしれません。
もし迷っているなら「ここまでやったから、次はここからだね」というような、何をやったらいいか気づかせてあげるのが有効です。
このような声かけすることで子どもが「できた!」と実感することができますし、また頑張ろうとやる気も出てきます。
もし子どもがチェックすることを嫌がったら、子どもがランドセルに持ち物を入れてママが「教科書を入れたね」「チェック表を使って準備できたね」など言いながらチェックしてあげてOKです。
細かな認める声かけを繰り返していくことで、だんだんと行動が定着していきます。
「チェック表を使ってから忘れ物が減ったね」と伝えてあげると、子ども自身が「これは役に立つものだ」と実感しやすくなるので、嫌がらずに自分でチェックするようになっていきますよ!
チェック表を使うようになってからは持ち物に意識が向くようになり、忘れ物をほとんどしなくなりました。
私も「忘れ物はないかな」と心配することがなくなったので朝時間にイライラすることはほとんどありません。
まずは今日、チェック表を作ることから始めてみてくださいね!
執筆者:高田紗也子
(発達科学コミュニケーション STELLA*School アンバサダー)
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