二学期も始まりこの時期になると『学習面の遅れ』が気になるというママが多いです。ADHDグレーキッズが勉強が苦手だと感じるのはワーキングメモリーの苦手のせいかもしれません。発達を促す話し方についてご紹介します。
1.二学期になったら目立ち始めた学習面の遅れ
この時期になると急に増えるご相談の中に、『学習面の遅れ』があります。
一学期は子どもたちも新しい学年になったばかりで、みんなが浮足立つ感じでしたよね。
そんな中でも注意欠陥多動性障害(ADHD)グレーゾーンの子どもたちはより落ちつきが無かったり 、行動面が目立ちがちです。
それでも二学期になると学校生活自体には慣れてきたこともあって、段々と行動面が落ち着いて来たときに気になり出すのが学習面の遅れなのです。
「あれ?うちの子ほかの子ができるところがわかっていないみたい?」とか、高学年なら全国テストがあって結果にビックリした!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あるいは、宿題がはかどらないので見てあげたら、全然理解できていないじゃない!と焦ってしまったなんてことも起こっているかもしれません。
そんな様子が見えて来ると、うちの子勉強ができないのでは⁈と心配になりますよね。
2.ADHDグレーキッズが勉強ができないと感じるワーキングメモリーの苦手
ADHDグレーキッズが勉強ができないと感じる原因の一つに、ワーキングメモリーに苦手があるということがあります。
ワーキングメモリーは簡単に言うと、「覚える力」と「考えをまとめる力」のことです。
例えば会話は、相手が話した内容を聞いて、一時的に言ったことを覚えておいて考えをまとめます。
そして今度は自分の思っていることを言葉にして伝える、といういくつかの作業をしているのです。
このいくつかの作業をしているのがワーキングメモリーですが、ADHDグレーキッズはこの力が弱いことが多いです。
会話でさえこれだけの作業を行っているのですから、授業中に先生の話を聞きながら勉強するとなると、ADHDグレーキッズにはかなり難しくて大変なことだとわかると思います。
3.質問が増えただけでわからなくなるADHDグレーキッズ
特に小学校3年生くらいになると文章問題が長くなって来て、ワーキングメモリーに苦手がある子は苦戦することが多いです。
どんなことが起こるかというと、例えば算数の文章問題だと
鉛筆が11本あります。
お友達から1本貰いました。
全部で幾つでしょうか?
お友達から1本貰いました。
全部で幾つでしょうか?
という問題のときは
「覚える力」
・鉛筆
・11本
・友達
・1本もらった
・全部で幾つか
「覚える力」
・鉛筆
・11本
・友達
・1本もらった
・全部で幾つか
「考えをまとめる力」
・足し算を使う
・足し算を使う
これができるワーキングメモリーがあれば問題は解けます。
鉛筆が11本あります。
お友達から1本貰いました。
それを同じ数で3人で分けます。
1人何本ずつもらえますか?
お友達から1本貰いました。
それを同じ数で3人で分けます。
1人何本ずつもらえますか?
という問題になったときはどうでしょうか?
この問題には
「覚える力」
・鉛筆
・11本
・友達
・1本もらった
・同じ数で
・3人で分ける
・1人何本
「覚える力」
・鉛筆
・11本
・友達
・1本もらった
・同じ数で
・3人で分ける
・1人何本
「考えをまとめる力」
・足し算を使う
・割り算を使う
・足し算を使う
・割り算を使う
という力がこれだけ求められます。
上の問題はギリギリできる程度のワーキングメモリーだと、下の問題はできないということです。
もしお子さんが文章が長くなったり、条件が増えると理解できないのであれば、ワーキングメモリーに苦手がある可能性が高いです。
4.ワーキングメモリーの発達を促す大人の話し方
問題を解くだけなら絵や図を横に書いていくとか、大事なところをマーキングするなどやり方は色々あります。
そういった方法で問題を解くことはクリアできたとしても、ワーキングメモリーは日常生活に必要な力です。
その場その場に対応するやり方だけでは対症療法と同じで、根本的な解決にはなりません。
ADHDグレーキッズが勉強に対する苦手感を持ったままになったり、自分で考える力を身に付けられなかったりと、結局困りごとは減らないままになってしまうのです。
問題の内容は変わりながらも、ずっと困り感を持ちながら生きていくことになります。
そこで、ワーキングメモリーを発達させる大人側の「話し方」が大切になります!
話し方の方法の一つは、子どものできているところを認めてあげることです。
できていないところに目が行って「ここ違うよ」「そうじゃないでしょう」と言いたくなってしまうと思いますが、そこはグッと堪えてください。
「ここまでできたんだね」「この字すごくきれいに書けてる!」などできているところを伝えるようにしてください。
そうすることで子どもはできた!という成功体験になります。
脳はできた!うれしい!楽しい!というときに発達します。
小さくても成功体験を積み重ねて行くと、脳の発達は加速していくのです。
その結果、ワーキングメモリーの発達にもつながっていきますので、まずはできているところを見てあげてくださいね!
執筆者:水本しおり
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
話し方については、他にも色々あります。うちの子のワーキングメモリー心配かも…と思われた方は個別での相談でお話ししてみることもできますよ!