コロナウイルス感染対策によって子どもたちの運動能力に影響が出ているそうです。そんな中でも発達障害・グレーゾーンの子どもたちは運動の苦手から体育が嫌いになっている子も…。楽しくできる運動機能の鍛え方をお伝えします。
1.衝撃!三年前より外遊びをしなくなって運動能力が低下している子どもたち
先日、学校の先生からこんなお話を伺いました。
「コロナウイルス感染対策の影響で、子どもたちが声を掛けても外遊びに行かないことが多くなりました。」
そうなんです。コロナが始まってから色々な制約があり三年前に比べて体育の授業量が激減したことで、なんと外遊びに影響が出ているそうなんです…!
思い返してみれば、
・運動会の中止
・プールの中止
・接触する運動は禁止
・共有具を使うものは禁止
などかなりの制約がありましたよね。
・運動会の中止
・プールの中止
・接触する運動は禁止
・共有具を使うものは禁止
などかなりの制約がありましたよね。
とくに接触する運動ができない、共有具が使えないとなると、やれる活動がかなり少ないということは想像がつくと思います。
その結果、コロナが始まる三年前の子どもたちよりも運動能力の低下が見られているそうです。
体育が嫌い、という子どもも増えていて危機感を感じている、と仰っていました。
我が家でも、帰宅後はゲームをやっていることが多くあまり外遊びに行かないなぁと思いますし、体力テストの結果を見てもあまり伸びていないなということは感じていました。
そこにさらに本人が運動の苦手を感じていたとしたら、外遊びはもちろん体育の授業にも拒否感が出てくることもあると思います。
2.体育が嫌いな理由は発達の特性からくる「不器用さ」が関係しているかも
私の息子は幼いころ、体の動きがぎこちないなぁと感じる場面が多くありました。
ハサミやお箸の使い方があまり上手ではなく、字を書くことも苦手。スキップなどもぎこちない動きになっていました。
兄弟で音楽に合わせてオリジナルダンスをしていても、兄の動きが硬くて不自然なのに対して4歳下の弟の方が滑らかでいい感じだなぁと思っていたりしました。
実は発達障害やグレーゾーンの子どもは不器用さがあって、なんだか動きがぎこちなかったりします。
字を書くことや工作が苦手な子もいますし、食べるときに箸よりもスプーンがいいという子もいます。
靴ひもやリボンを結ぶことが難しいなど、いわゆる「不器用」と言われてしまうようなことが多いです。
あのハリーポッターで有名なダニエル・ラドクリフも、靴ひもが結べないと公表していますよね!
お子さんはどうですか?
もし運動の苦手が気になっているときは、まずはお子さんの苦手となる運動の種類を3段階にわけて考えてみてください。
・粗大運動:姿勢の保持やバランス、走る、ジャンプなどダイナミックな動き
・微細運動:小さなものをつまんだり、字を書いたり、ハサミなどの細かな動き
・協調運動:スキップやドリブルなど、体の複数の場所を調節しながら動かすもの
・微細運動:小さなものをつまんだり、字を書いたり、ハサミなどの細かな動き
・協調運動:スキップやドリブルなど、体の複数の場所を調節しながら動かすもの
このように、運動と聞いたときにパッと浮かぶスポーツのようなものだけでなく、手を細かく動かすことや、体の複数の場所を同時に動かすことも「運動」にあたります。
こう見ると、私の息子は微細運動・協調運動が苦手だといえます。
発達障害の子どもたちは、日常生活のちょっとした動作がうまくいかずに苦戦していることがあります。
そのせいで体を動かすのは好きだけど体育が嫌いだったりと、残念なことになってしまいがちです。
3.不器用な発達障害・グレーゾーンの子どもたちがぶつかりやすい壁
そういう「不器用」と言われるような発達障害・グレーゾーンの子どもたちが、ぶつかりやすい壁があります。
まずは、字を書くことでのつまずきです。
教室で受ける授業の場合、授業内では当然ながら字を書くことが求められますが、字を書くことが苦手なままだと、授業のスピードについていくのが大変になります。
そして、そのことで先生に叱られることが増えていくと、自信をなくしてしまうことに繋がります。
また、体育の授業ではどうでしょうか?
発達の特性のある子どもは感覚的なものが苦手なことがあります。
自分の身体を客観的にイメージすることが苦手だと、指示された通りにうまく体を動かせなかったりします。
例えば、体の動きをコントロールするのが苦手で、タイミングよくジャンプできなかったり、ボールがうまく投げられなかったりするかもしれません。
息子も「先生の真似をして下さい」という指示に対しては、特性の不注意も加わって大体間違っていることが多いです。
これって小学校の体育の授業では致命的かもしれません。
これを「何でできないの⁈」と言ったところで、できないものはできないんですよね…。
気合いが足りないから、やる気がないから、ちゃんとやっていないから…これだけが原因ではないんです!
そして、上手くできないならできるまで何度も練習をさせれば良い!と考えがちですが、それだけでは解決しないことも多いです。
もちろん、運動ができなくても生きていけるし、理解力があれば勉強の内容は理解できるかもしれません。
だけど、授業のスピードについていけなくて、お子さんが悩んでいたとしたらそれはかわいそうですよね。
では、どうすればいいのでしょうか?
4.体育嫌いの子どもが楽しくできる運動機能の鍛え方
前の章でもお話した通り、運動は3段階にわけることができるので、この3つにアプローチしていく必要があります。
中でも、細かい動きの微細運動と大きい動きの粗大運動からアプローチを始めると、結果的に協調運動の向上につながります。お子さんの苦手に合わせて取り入れてみてくださいね!
①細かい動き
まず、小学校の授業では大半が字を書くことを求められます。
それに必要な微細運動は、ある日突然できるようになるものではありません。
毎日少しずつでもその運動に取り組むことで徐々に上手になっていきます。
ということは、日常生活の中で練習するのが効果的です!
例えば
・箸を使って食事をするとき
・鉛筆やはさみを使った学習をするとき
・ボタンをかけたりする着替えのとき
など、普段の生活に組み込まれている活動を通して力をつけていくことができます。
・箸を使って食事をするとき
・鉛筆やはさみを使った学習をするとき
・ボタンをかけたりする着替えのとき
など、普段の生活に組み込まれている活動を通して力をつけていくことができます。
そのときのポイントは、少しでもお子さんがやりやすい方法を考えてあげることです。
ただでさえ苦手なことを練習するとなったら、お子さんにとっては大変です。
特に、発達障害の子どもはマイナスなイメージを引きずりやすいので、なるべくハードルを下げて成功体験を積み重ねてあげることが大切なんです。
例えば、持ちやすい鉛筆を使ったり留めやすいボタンを使うことで、お子さんの負担を軽くすることができますね!
ボタンは大きさなども大切ですが、ボタンを留める穴が大きめだと留めやすくなります。
鉛筆は持ち手部分が三角のものがオススメ!指を自然に鉛筆に添わせることができます。
書く速さや文字のキレイさにはあまりこだわりすぎず、チャレンジする姿勢や、興味を持って取り組んだことを肯定してあげるといいと思います。
②大きい動き
主に体育などの活動に必要になる粗大運動は体幹が弱く、思うように動かせていないということがあります。
体幹を鍛えるのに有効なのはトランポリンが有名ですが、お家では難しいということもありますよね。
その場合深くは考えずお散歩をする、公園に行くなど身体を動かすことを意識するだけでも変わります。
身体を動かすことに抵抗があるお子さんには、お母さんお父さんがやってみせてあげたり一緒にやると良いですよ!
このときも、この動きができたら褒めるというのではなく、楽しく身体を動かせたことを肯定しましょう。
楽しいと感じると子どもは自然と自分からもやるようになっていきます。
外遊びに慣れて来たら、縄跳びやボール遊びなど体の複数個所を同時に使う遊びを取り入れていけると良いです。
本人のできるペースに合わせられるゴム飛びなどもオススメです。
お母さんが持ってあげて高さを変えて飛ばせてみるなどの工夫をするとお母さんも無理なく付き合えますので試してみてくださいね!
運動の困難さは不注意や心理面とも関係があるので、厳しい訓練よりも本人が楽しみながら取り組める工夫が必要です。
とにかくお子さんが「楽しく」取り組めることが大事なので
・やりやすい方法や道具を考えること
・できたこと、チャレンジしたことを肯定すること
・できたこと、チャレンジしたことを肯定すること
この2つを意識して、お子さんが自信をなくして体育が嫌いにならなくてすむように、楽しく取り組める方法を考えてみてくださいね!
運動機能についてはこちらの記事も
運動が苦手でも大丈夫!発達障害・グレーゾーンの子どもがお家で楽しく取り組める「運動能力アップ」の秘訣とは
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執筆者:水本しおり
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
我が子の気になるところはもしかしたら発達障害グレーゾーンから来る特性かもしれません。もしそうなら早めの対応をしてあげることが重要です。個別での相談もお受けしていますのでご利用くださいね!