WISC(ウィスク)とは?WISC-IVとVの違いも解説!子どもの“伸びしろ”がグッと見える新しい読み解き方

発達検査でよく使われる知能検査「WISC(ウィスク)」の読み解き方を、小児科医がやさしく解説。WISC-ⅣとWISC-Ⅴの違い、指標ごとの意味、結果の見方、そして検査ではわからない“子どもの伸びしろ”を見つける視点までお伝えします!
 

ウィスク検査を受けたけれど…「このあとどうすれば?」と悩むママへ

「発達相談・発達検査に行ってみたけれど、結果をどう活かせばいいのか分からない」 そんなふうに感じているママは、実はとても多いんです。
 
そこで今回は、発達相談でよく使われるWISC(ウィスク)検査について、ママ自身が“読み解いて活かす”ための視点をわかりやすく解説します。
 
お子さんがすでにWISC(ウィスク)検査を受けている場合は、ぜひ結果を手元に用意して読み進めてみてくださいね。より深い理解ができるはずです。
 

ママに知ってほしい!知能検査・発達検査でわかる2つのポイント

 
WISC検査を含む知能検査や発達検査でわかることは、2つあります。
 
1つ目は、
お子さんが同じ年齢の集団の中でだいたいどのあたりの位置にいるのか、つまり、同級生の他の子と比べて知能や発達がどの程度遅れているのか、もしくは進んでいるのかということ。
 
そして2つ目は、
お子さん個人の中で、どの領域が得意で、どの領域が苦手なのかのバランスがわかる、つまり凸凹の具合がわかるということです。
 
数値で出るので結果が気になる、というママも多いと思います。例えば1回受けて結果が悪かったからもう終わりだ〜とか、将来を悲観する必要は全くありません。
 
私は、検査を受けることってダイエットでいう「体重を測ること」と似ていると思っています。
 
今体重が多いから、太っているから「人生終わりだ〜」となるのではなく、今の体重がどのくらいかが分かれば、あとどのくらい痩せたいな、じゃあどうすればいい?と考えながらダイエットに励んでいけますよね。
 
知能検査や発達検査も、今のわが子はこういう状態だ、と現在地を把握して、
 
じゃあどうお子さんをサポートしよう?
どうやってもっと伸ばそう?
 
奮起するママの味方になってくれるもの、という受け止め方をしてほしいなと思います。
 
 

WISC検査とはどんなもの?

 
では、発達相談に行くと受けることが多い、知能検査の1つであるWISC(ウィスク)検査について簡単にお話します。
WISC検査というのは正確にはこんな風に英語の略語で表されます。

 
ウェクスラー式知能検査と呼ばれる知能検査は受けられる年齢によって3つの検査に分かれており、この中で、主に学童期である年長さんくらいから高校生の前半くらいまでのお子さんの知能をはかる知能検査をWISCと言います。
 
ウェクスラー式知能検査
WIPPSI(2歳6ヶ月~7歳3ヶ月)
WISC(5歳0ヶ月~16歳11ヶ月)
WAIS(16歳0ヶ月~90歳11ヶ月)
 
 
 
また、皆さんもWISCの後にⅣとかⅤなどのローマ数字が付いているのを見たことがある方もいるかもしれません。
 
WISC(ウィスク)検査は、時代とともに改定されており、現在一番新しい版がWISC-Ⅴになっています。今はWISCⅣからⅤへの移行期間ですので、今WISCを受けると、Ⅳを受ける方とⅤを受ける方がいるのではないかなと思います。
 

 
 
WISC-ⅣからⅤでは、大きな改定が行われ、検査で評価する指標が、4つから5つに増えたのが大きな特徴で、さらにお子さんの得意や苦手を見逃しにくくなったと言えます。
また、ワーキングメモリについては。WISC-Ⅴでは「聞いたこと」に加えて「見たこと」をどれくらい覚えていられるかの力を測定することができるようになりました。
 
 

WISC検査項目別の意味と見方をわかりやすく解説!

ここで、実際のWISC-Ⅳの結果をしめしながら、どのように検査を理解すればいいのかを見ていきましょう。
 

WISC-Ⅳの結果は、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」という4つの指標と、それらを総合的に見た「全検査IQ」の5つの数字で表されます。1つ1つの力を簡単に説明しますね!
 
「言語理解」は物事を言葉で理解したり表現する力
 
「知覚推理」は、目を使って情報を理解し、課題を解決していく力
 
「ワーキングメモリ」は作業をする時に必要な情報を一時的に保存して処理するための力
 
「処理速度」は、目で見た情報を取り込み、理解し、処理するスピード
 
これら全ての力を総合し、全体的なお子さんの知的な力を表したものが全検査IQになります。決して平均値というわけではないのでそこは注意が必要です。
 
 

そのほかの言葉も説明しますね。
 
合成得点:
各年齢での平均IQを100としたときの力のばらつきを数字で表したものです。この数値が小さいほど、その項目に苦手感があり、困りごとにつながりやすい、つまりサポートが必要ということになります。
 
パーセンタイル:
その検査項目を同年齢の方が100人受けた時、下から何番目にいるかを示します。この数字が大きいほど知能が高い、ということになります。
 
例えばこの事例では、一番下の処理速度が86となっています。
合成得点では平均100に対する86点って、めちゃめちゃ低いとは思えないかもしれませんが、パーセンタイルを見ると100人中下から数えて18番目ということで、意外と低いんだな、苦手なんだな、ということがわかるかなと思います。
 
信頼区間90%:
検査を受けた時、お子さんのコンディションがイマイチだったから結果が低かったんじゃないか、と思うことってあるかもしれません。ですので同じ検査を100回やった時、そのうち90回はだいたいこの信頼区間内に入るだろう、という値が記載されています。何度受けてもだいたいお子さんのIQはこの範囲の中に入ることが推測されます。
 
記述分類:
検査結果を言葉にして表したものです。単純に能力が高い低いを表すわけではなく、同年齢の集団の平均からどのくらい離れているかを示すものです。
 
だいたいIQが90〜110の中に入っていると、その学年の普通級の勉強に適応できるよ、と言われています。
 
90を切ってくると「平均の下」という言葉がでてきますが、だいたい90以下のIQのお子さんは教室での学びがしんどくなってくる場合が多い印象です。
 
 

一喜一憂しないで大丈夫!数字はサポートのヒント

こうやって数字を見てしまうと、凸凹の下がっているところを何とかして埋めようと考えてしまいがちですが、ぜひ、この記事に出会ったママには、長所を伸ばす関わり方を知ってほしいなと思います。
 
お子さんたちのWISC(ウィスク)検査の数値をたくさん見てきましたが、いつも思うのはWISCというのは弱みを指摘するだけのツールではなく、「強み発見ツール」だということです。
 
例えば、発達凸凹のお子さんは4つの指標のうち「言語理解」のスコアが高傾向があります。

 
この数値が低いからこうサポートしたらいいんだな
この数値が高いからこうやって伸ばせばいいんだな
 
という具体策をママが考えられるようになることが大事です。
 
 

WISC検査だけでは見えない 子どもの力を引き出す“手がかり”

WISC(ウィスク)検査でわかること、ってお子さんの力の一部分だけなんです。
☑︎お子さんの社会性や感覚の特性
☑︎どのくらい自立できているのか
☑︎お子さん自身の自己肯定感や本音
☑︎親御さんがどんな思いでお子さんに関わっているか
☑︎親御さんの性格の影響など
 
このような、WISC検査だけではわからないところにも子どもの力を引き出す“手がかり”はあります。この手がかりも見つけ出すことができる発達診断が、私の主宰する「ママカルテ」です。
 
例えばこちらをご覧ください。言語理解が高いのに、他に原因があって困り事として見えてしまってることがあります。ですがママカルテで解析すれば、本当にアプローチすべきポイントが見えてきます。

 
 
WISCの検査結果だけを見てお子さんを判断するのではなく、WISCの結果も踏まえながら、ママたちにはお子さんをまっすぐ見て総合的に判断できるようになってほしいと願っています。
 
私が、「ママカルテ」をママたちにお届けしているのも、ママたちがあまりにも「診断名」とか「検査の結果」に振り回されてしまって、お子さんの本当の姿をまっすぐ見ることができなくなっているからです。
 
小児科医として、発達検査や発達診断に振り回されて親子関係まで悪くなってしまうような親子もたくさん見てきました。
 
だからこそ、お子さんの苦手なところやできないところに注目するのではなく、できるところや得意なところ、そして、お子さんの好きなものを通してお子さんの力ってこんなに伸ばせるんだよ、ということをぜひママたちに知ってほしいと思います。
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この記事を書いた人
森博子

医師・小児科専門医・子どもの心相談医
児童相談所嘱託医/熊本市教育行政審議員(2023~2025)
親子のミカタオンラインクリニック院長

熊本大学大学院医学教育部修了。大学病院勤務時代は新生児を専門とし新生児集中治療室(NICU)にて勤務。長男の発達障害診断をきっかけにクリニック勤務医となる。2020年より発達科学コミュニケーショントレーナーとして活動。2022年に親子の未来を創る発達診断「ママカルテ」を開発、同年12月に熊本で初めての発達診断専門オンラインクリニックを開院、国内・国外からの親子の発達相談に従事する傍ら、保護者向け・専門家向け研修や講演講師活動も行っている。

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