さて今日は、
「不安で動けない子のサポートは、
知識を知っているだけでは
うまくいかない。
お子さんの回復段階に合わせて
“使える力”に変えることが大事です」
というお話です。
昨日は、
夏休みを回復のチャンスにするには、
不安で動けない子のネガティブ思考を
リセットし、
学習意欲が戻る脳の状態を
作ることが大事です。
というお話をしました。
今日はその続きです。
不登校や起立性調節障害のお子さんの
ママから、
よくこんなお声をいただきます。
「インスタで見た通りに
声をかけているのに、
うまくいきません」
「本には“見守りましょう”と
書いてあったから、
見守っているのに何も変わりません」
「肯定が大事だと聞いたから、
否定しないようにしているのに、
子どもはどんどん動かなくなっています」
これ、本当に苦しいですよね。
ママだって、
何もしていないわけではありません。
むしろ、
毎日検索して、
本を読んで、
インスタを見て、
YouTubeを見て、
病院にも相談して、
学校とも連絡を取って、
できることは全部やっている。
それなのに、
子どもは変わらない。

朝は起きない。
昼過ぎまで寝ている。
ゲームやスマホばかり。
学校の話をすると不機嫌になる。
勉強の話をすると固まる。
そしてママは思うんです。
「私のやり方が悪いのかな」
「まだ足りないのかな」
「何を信じたらいいんだろう」
今は、情報がどこでも手に入る時代です。
わからないことは検索すればいい。
AIに聞けば、数秒でたくさんの
答えが返ってくる。
インスタを開けば、
専門家の発信も、体験談も、
声かけの例も出てくる。
つまり、
知識を持っていることそのものは、
誰でもできる時代になりました。
では、これからの子育てに本当に
必要なのは何でしょうか?
それは、
知識を、わが子に使える力に変えること
です。
知っているだけで終わらせない。
実際に使ってみる。
うまくいかなかったら、
なぜ今のわが子には
合わなかったのかを見直す。
もう一度プランを立て直して、
小さく試し直していく。
ここまでできて初めて、
知識は“本物の力”になります。
これは、不登校や起立性調節障害の
サポートでも同じです。
たとえば、
「子どもの気持ちを受け止めましょう」
という知識があります。
これは、とても大事です。
けれど、
お子さんが混乱期にいる時と、
停滞期にいる時では、
同じ“受け止める”でも、
必要な関わり方がまったく違います。
混乱期のお子さんは、
脳が不安と警戒でいっぱいに
なっています。
学校の話をした瞬間に、
表情が変わる。
「うるさい!」と怒る。
部屋にこもる。
泣く。
物に当たる。
「もう二度と行かない」と言う。
こんな時、ママは焦ります。
「そんな言い方しなくてもいいじゃない」
「学校の話をしただけなのに」
「このままだと本当に戻れなくなる」
そう思って、
つい説得したくなる。
「少しだけでも行ってみたら?」
「先生も待ってるよ」
「午後からでもいいんだよ」
「このままだと勉強が遅れるよ」
だけど、混乱期の脳は、
この言葉を“提案”として
受け取る余裕がありません。
不安を感じる扁桃体が過敏になり、
体は防衛モードに入っています。
この状態では、
前頭前野という、
考える・選ぶ・切り替える力を使う脳が
働きにくくなります。
つまり、
子どもは反抗しているのではなく、
脳が危険を感じて、
考える前に守りに入っていることが
あるんです。
だから混乱期に必要なのは、
学校の話を進めることではありません。
まずは、
安心を戻すこと。
「今は学校の話をされるだけで
苦しいんだね」
「行きたくないくらい、
しんどいんだね」
「今は責めたいんじゃなくて、
あなたの状態を知りたいんだよ」
こうやって、
脳の警戒を下げる関わりが先になります。
ところが、停滞期になると、
また違う難しさが出てきます。
荒れは落ち着いた。
親子バトルも少し減った。
会話もできる日がある。
でも、動かない。
昼過ぎまで寝ている。
部屋でスマホを見ている。
ゲームはする。
動画は見る。
でも、勉強や学校の話になると動かない。
ママからすると、
ここが一番分かりにくいんです。
「荒れていないなら、そろそろ
動けるんじゃない?」
「好きなことはできるなら、
少し勉強もできるんじゃない?」
「見守っているのに、ただラクな方に
流れているだけじゃない?」
こんな本音が出てきます。
だけど停滞期の子は、
一見落ち着いて見えても、
脳が省エネモードになって
いることがあります。
失敗体験が続いた。
学校に行けなかった。
勉強も遅れた。
友達の目も気になる。
またできなかったら怖い。
そんな経験が積み重なると、
脳はエネルギーを節約するために、
新しい挑戦を避けるようになります。
ゲームやスマホで過ごす時間が
長いとさらに省エネモードに。
これは、サボりというより、
これ以上傷つかないための防衛反応です。
だから停滞期に、
ただそっと見守るだけでは、
省エネモードのまま時間が
過ぎてしまうことがあります。
だから、何もしない見守りだけでも、
回復が止まってしまうことがある。
ここで必要なのは、
プレッシャーをかけることではなく、
小さく脳を動かす関わりです。
さらに小さく動いた後には
「今、自分で見てみたね」
「今日はカーテン開けられたね」
「行くか行かないかじゃなくて、
近くまで行けたね」
と、行動の記憶を言葉にして残していく。
これが、
停滞期の省エネモードの脳に、
もう一度「動いても大丈夫」
という記憶を入れていく関わりです。
ここで大事なのは、
同じ声かけでも、
回復段階によって意味が
変わるということです。
転換期に入ってきたら、
「自分で選ぶ」「自分で決める」
経験を増やすこと。
挑戦期に入ったら、
失敗しても立て直せる力を育てること。
この順番を見誤ると、
どんなに良い知識も、
お子さんには届きません。
だから、
大事なのは知識の量ではありません。
今のわが子が、
どの回復段階にいて、
どんな脳の状態で、
どんな一歩なら受け取れるのか。
ここを見立てる力です。

夏休みは、
学校という大きなプレッシャーが
一度下がる時期です。
だからこそ、
不安で止まっていた子の脳に、
小さな成功体験を入れやすい。
けれど同時に、
何もしないまま過ぎると、
昼夜逆転、スマホ時間、勉強の遅れ、
2学期不安が
一気に膨らみやすい時期でもあります。
だから夏休み前の今、
ママに知ってほしいんです。
必要なのは、
インスタで見た声かけを
そのまま真似することではありません。
本で読んだ「見守り」を
そのまま続けることでもありません。
AIに聞いて出てきた正解を、
そのまま当てはめることでもありません。
必要なのは、
今のわが子の回復段階に合わせて、
知識を使える形に変えること。
この力があると、
ママの関わりは変わります。
そして、
ママの声かけが変わると、
子どもの脳に入る情報が変わります。
子どもの脳に入る情報が変わると、
少しずつ、行動が変わります。
不安で動けない子に必要なのは、
根性論でも、説得でも、
ただの放置でもありません。
脳の状態に合わせて、
安心と行動のバランスを
整えていくことです。
その積み重ねが、
ネガティブ思考をゆるめ、
「どうせ無理」から
「これなら少しやってみる」へと
変わる土台になります。
夏休みを回復のチャンスに変えるには、
まずママが、
わが子の今の段階を見立てること。
そして、
知識をその子に合う関わりに
変えていくこと。
ここが大事です。
今日はここまでです。


