さて今日は、
『不安で動けない子の集団復帰、
「自信」より大事なもの』
というお話です。
それは、
「記憶」です。

先日、講座を卒業された
お母さんから、
こんな嬉しいご報告が
届きました。
娘さんは、中1の2学期から
起立性調節障害で不登校になり、
ママは3学期から私の講座を
受講してくださいました。
その後、サポートを変えたことで
抑うつ状態だった娘さんが
少しずつ動き出しました。
夏休み前から少しずつ
部活動に参加できるようになり、
その頑張りを認められて、
まさか1年のブランクがあるのに
公式戦に出場することに。
そして先日、
試合前の練習試合に参加しました。
実に、一年ぶりの実戦です。
もちろん、
すんなり行けたわけではありません。
緊張と不安で、
夜中に何度も目を覚まし、
試合が近づくと、
「イヤ!無理〜!」
と、不安に
押しつぶされそうになる。
それでも娘さんは、
朝早く起きて出発しました。
練習試合では、
一年のブランクを感じさせない
動きを見せ、
顧問の先生や仲間から
嬉しい言葉をたくさんもらい、
輝く笑顔を見せていたそうです。
そして、
「やっぱりこの部が好き!」
「あの時、辞めないでよかった」
「ママ、休部にしてくれてて
ありがとう」
と話してくれました。
一年前の娘さんは、
「下手だから観に来ないで!」
と言っていたのに、
今は、家族に応援に来てもらうことも、
自分の姿を動画に残してもらうことも
楽しみにしているそうです。
この変化は、単純に
「完璧主義がなくなったから」
起きたのではありません。
今も自分の理想像を求めて
不安になります。
緊張もします。
「無理!」とも言います。
けれど、
不安になったら
動けなくなるしかなかった脳が、
「不安でも行ってみたら、できた」
「失敗しても、受け入れてもらえた」
「怖かったけれど、楽しかった」
という新しい記憶を
積み重ねてきたのです。
私たちの脳は、
目の前の出来事を
そのまま受け取っているわけでは
ありません。
過去の記憶をもとに、
「これは危険か」
「自分にできるか」
「動いても大丈夫か」
を予測しています。
だから、
失敗したら終わり。
ちゃんとできなければ意味がない。
人にどう思われるか怖い。
そんな受け取り方が続くと、
少しの不安にも
脳が強く反応するようになります。
そして、
動かない。
避ける。
やめる。
という行動を選びます。
動かなければ、
その瞬間は不安が下がります。
すると脳は、
「動かなかったから助かった」
と覚えてしまう。
これが、
行動を止めることで
自分を守るという誤学習です。
これが自分の命を守るための
行動パターンになってしまう。
そのため、
「失敗しても大丈夫だよ」
「自信を持って」
「やればできるよ」
と言葉で励ますだけでは、
なかなか動けません。
必要なのは、
不安をなくしてから
動かすことではなく、
その子が挑戦できる大きさまで
ハードルを下げ、
「不安だったけれど、できた」
という記憶を
実際の体験として残すことです。
この娘さんのお母さんも、
不調の原因になるのではと考え、
部活を辞めさせる選択も
できました。
けれど、
辞めるか、続けるかを
大人が先に決めず、
娘さんが戻りたくなった時に
戻れる場所を守りました。
※この対応はその子の状態によります。
この子のママはお子さんの様子を見て、
休部という形で
つながりを残したのです。
その選択が一年後、
「辞めないでよかった」
という娘さんの言葉に
つながりました。
不安で動けない子の
集団復帰に必要なのは、
元の生活へ
一気に戻すことではありません。
その子の中にある、
受け取り方のクセ
思考のパターン
行動を止めて身を守る学習

を丁寧に紐解きながら、
「今のこの子なら、
どんな一歩なら踏み出せるか」
を見極めることです。
学校へ行けたか。
部活に戻れたか。
勉強を始めたか。
結果だけを追いかけると、
子どもにとって大きすぎる一歩を
求めてしまいます。
大切なのは、
今日の関わりが、
子どもの脳に
「やっぱり私は無理だった」
という記憶を残すのか、
それとも、
「不安でも、選び直せた」
「少しなら、やってみられた」
という記憶を残すのか。
ここが、
その先の行動を分けていきます。
なぜ、お子さんの行動が
止まっているのか。
どんな受け取り方や
思考のクセがあるのか。
そして今、
どのくらいの一歩なら
新しい成功の記憶に変えられるのか。
ここの整理が大事です。
子どもは、
不安がなくなったから
動き出すのではありません。
不安があっても大丈夫だった。
その記憶が増えたとき、
少しずつ、自分で考え、選び、
動けるようになっていくのです。
あなたのお子さんにも
「不安だったけどできた!」
の記憶をつみあげてあげませんか?
今日はここまでです。


