さて今日は
「子どもに嘘をつかれた…
叱る前に知ってほしいこと」
というお話です。
「宿題、終わったよ」
そう言っていたのに、
手をつけていなかった。
「塾に行ってきた」
そう聞いていたのに、
塾から、
「3日間来ていません」
と連絡が入った。
あるお母さんは、
テストの結果を切り貼りし、
さらにコピーまでして
点数をごまかしていたことを知り、
大きなショックを受けました。
そこまでして、
私に嘘をついていたなんて。

信じていたのに。
裏切られたような気持ちに
なるのも当然です。
嘘はいけないことだから、
「どうして嘘をついたの?」
「本当のことを言いなさい」
「嘘をつく子に育てた覚えはない」
と、問い詰めたくなることも
あると思います。
はたまた、
自分の子育てを子ども自身に
否定されたようで
自分の足元が揺らぐような
衝撃を受けるんです。
だけど、
ここで注目してほしいのは、
嘘をついたことだけではありません。
その子がなぜ、
嘘をついてまで
自分を守らなければならなかったのか。
ということです。
嘘をつく子の中には、
本当のことを言ったら
怒られると思っている子がいます。
がっかりされる。
責められる。
ダメな子だと思われる。
そんな「不快」を避けるために、
その場を切り抜けられる言葉を
反射的に選んでいることがあります。
つまり、嘘が、
誰かをだますためではなく、
自分を守るための行動に
なっていることがあるのです。
では、なぜそこまで、
「本当の自分を見せること」が
怖くなるのでしょうか。
その一つに、
物事の受け取り方のクセがあります。
ママは少しアドバイスしただけ。
「次は、先に見直してみたら?」
「もう少し早く始めると楽かもね」
責めるつもりも、
叱るつもりもありません。
ところが、不安が強い子は、
「また注意された」
「やっぱりダメだと言われた」
「ちゃんとできない自分はダメなんだ」
と受け取ることがあります。

さらに、2つ目の理由として、
結果だけをほめられて育ったこと。
いい点数を取ったとき。
宿題を終わらせたとき。
学校へ行けたとき。
目に見える結果や行動を
たくさん褒められてきた子ほど、
「次も頑張らなきゃ」
「いい点を取らなきゃ意味がない」
「できる自分でいないと
認めてもらえない」
と学習してしまうことがあります。
もちろん、
褒めることが悪いのではありません。
結果を褒めること自体が、
嘘につながるわけでもありません。
けれども、
アドバイスを叱責として
受け取りやすい子に、
結果だけで評価される経験が
重なっていくと、
「できない自分は見せられない」
「失敗したことは知られたくない」
という脳の反応が
強くなることがあります。
すると、
テストの点数を隠す。
宿題をやったと言う。
塾に行ったことにする。
という行動で、
「ダメな自分を見られる怖さ」から
逃れようとするのです。
さらにはうそをつきやすい子は
感情系の脳の未熟さも
考えられます。
周囲の空気を読むのは上手でも
自分の感情にはうとく、
罪悪感を感じにくいために
割と簡単に嘘をついて
身を守ろうとします。
だから、
「嘘はいけない」と
正しさを教えるだけでは、
嘘がなくならないことがあります。
本人も、
嘘がいけないことくらい
わかっているからです。
必要なのは、
嘘をつかなくても
自分を守れる関係をつくること。
失敗しても、
できなくても、
本当のことを話しても、
いきなり否定されたり、
ジャッジされたりしない。
そう感じられる経験を
積み重ねることです。
では、具体的にどうするのか。
まずは、子どもの発言を
すぐに良い・悪いで判断しないこと。
「どうしてそんな嘘をついたの!」
ではなく、
「本当のことを言いにくい
何かがあったんだね」
「話してくれてありがとう。
ここからどうするか一緒に考えよう」
と、いったん受け止めます。
そして、
結果だけを褒めるのではなく、
「言いにくいことを話せたね」
「自分から教えてくれて助かったよ」
「途中で投げ出したくなったのに、
ここまではやったんだね」
と、正直に話せたことや、
そこまでの過程にも言葉を渡します。
これは、
嘘を許すということではありません。
何をしてもいいと
認めることでもありません。
嘘を必要とした脳の反応を変え、
本当のことを言っても大丈夫だと
学び直させるための関わりです。
問題は、
嘘をついたことではありません。
「本当の自分を見せたら危険だ」
と感じるほど、
その子が追い詰められていたことです。
嘘を咎める前に、
なぜこの子は、
嘘で自分を守る必要があったのだろう。
そこに気づけたとき、
ただ嘘をやめさせるのではなく、
何を言っても大丈夫な親子関係を
築き直すことができます。
子どもが正直になれるのは、
正しさを厳しく教えられたときではなく、
本当の自分を見せても
関係が壊れないとわかったときです。
嘘をつかない子に
しようとするのではなく、
嘘をつかなくても
自分を守れる環境を育てる。
そのために必要なのは、
嘘を見抜くことではなく、
その子が何を怖がり、
どんな受け取り方をして、
なぜ本当のことを
言えなくなったのかを知ることです。
子どもの嘘は、
「もっと叱ってほしい」
というサインではありません。
「本当の自分を見せても
大丈夫だと思える関係にしてほしい」
というサインかもしれません。
嘘をついた瞬間だけを
切り取って叱るのではなく、
嘘を必要とした
その子の脳の反応をほどいていく。
それが、
正直に話せる親子関係を
取り戻す最初の一歩です。
今日はここまでです。


