さて今日は
『正直に言います。
「好きなことだけできるの、
ずるくない?」と思っていました』
というお話です。
今日は少し、
正直な話をさせてください。
わが子が不登校だった頃、
学校には行けない。
朝も起きられない。
勉強もしない。
私が何かお願いしても、
「無理」
「面倒くさい」
「今はできない」
と言う。
なのに、
ゲームはできる。
好きな動画は何時間でも見られる。
根付(彫刻)の材料探しなど
行きたい場所があれば、
急に動けることもある。
そんな姿を見ながら、
私は心の中で思っていました。
「好きなことだけできるって、
ちょっとずるくない?」って。
体調が悪いなら、
ゲームだってできないんじゃないの?
朝起きられないのに、
楽しい予定なら起きられるの?
学校には行けないのに、
遊びには行けるの?
そんなふうに、
わが子の行動のつじつまが
合わないことに、
イライラしていました。
そして、その奥には、
「このまま、嫌なことから逃げる子に
なってしまったらどうしよう」
という怖さがありました。
学校に行かないことよりも、
この子から、
踏ん張る力や、
努力する力や、
社会で生きていく力が、
どんどんなくなっているように感じて、
怖かったんです。
だから私は、
「ゲームができるなら、
勉強もできるでしょ」
「遊びに行けるなら、
学校にも行けるんじゃない?」
「好きなことばかりじゃなくて、
やるべきこともやらないと」
と言いたくなりました。
きっと、同じように感じているママも
いるのではないでしょうか。
子どもを甘やかしたいわけではない。
好き勝手させたいわけでもない。
ただ、
この子がこのまま、
できることまでやらなくなってしまうのが
怖い。
だから声をかける。
だから、動かしたくなる。
それは、
子どもの未来を真剣に
考えているからこその
反応なんですよね。
けれど、私は脳の仕組みを学んで、
大きく見方が変わりました。
子どもは、
「好きなことだけを選んで、
嫌なことから逃げている」
とは限らない。
不安や緊張、疲労が強くなると、
脳はたくさんのエネルギーを使います。
学校では、
人の目を気にする。
失敗しないようにする。
先生の話を聞く。
時間に合わせて動く。
苦手なことにも取り組む。
友達との距離を考える。
表情や言葉を選ぶ。
私たちが当たり前に見ている
学校生活には、
実はとても多くの脳の働きが必要です。
その負荷が高くなりすぎると、
「やらなければならないこと」に
向かうためのエネルギーが
足りなくなります。
けれど、
ゲーム。
動画。
推し活。
絵を描くこと。
音楽。
好きな人との外出。
こうした活動には、
「やらされる」ではなく、
「自分で選んでいる」
という感覚があります。
先が読める。
失敗しても大きく傷つかない。
途中でやめることもできる。
だから、疲れた脳でも
動きやすいことがあるんです。
つまり、
好きなことしかできないのではなく、
今は、好きなことを使ってしか、
脳を動かせない状態なのかもしれない。
私は、そう見立てるようになりました。
そして、もう一つ気づきました。
好きなことは、
回復を邪魔するものではありません。
好きなことは、
「自分で選ぶ」
「楽しいと感じる」
「もっとやってみたいと思う」
「できたと感じる」
という、次の行動に必要な脳の働きを
もう一度使い始める瞬間でもあります。
だから私は、
ゲームをやめさせて、
先に勉強をさせることよりも、
好きなことの中で、
「何が面白いの?」
「そこ、どうやって考えたの?」
「自分で決めたんだね」
と、子どもの脳が動いている瞬間を
拾うようになりました。
すると、
好きなことの話をする。
自分の考えを言う。
少し先の予定を立てる。
誰かとつながる。
新しいことに興味を持つ。
そんな小さな変化が、
少しずつ見えるようになりました。
もちろん、
ゲームをしていれば、
いつか自然に学校へ戻る。
何も言わずに待っていれば、
そのうち勉強を始める。
そんな単純な話ではありません。
好きなことに逃げ込んで、
生活全体が苦しくなっている場合も
あります。
だから必要なのは、
ゲームを取り上げるか、
好きにさせるか、
という二択ではありません。
見るべきなのは、
その子が好きなことをしている時に、
脳のどんな力を使えているのか。
終わったあと、
どんな記憶を残してあげるのか?
好きなことでどんな力を
つけているか…
私は以前、
子どもの行動を見て、
「これは良いこと」
「これは悪いこと」
と、すぐに判断していました。
けれど今は、この行動は、
今のこの子にとって、
どんな役割を果たしているのだろう?
と考えます。
ここがわかると、
注意するべき時と、
見守る時と、
次の行動につなげる時が、
少しずつ見えるようになります。
ママが持っているべきなのは、
「ゲームは何時間まで」
「勉強は毎日何分」
という、一律の正解ではありません。
目の前の子どもの状態を見て、
今は休む時なのか。
回復を待つ時なのか。
好きなことから世界を広げる時なのか。
少しだけ苦手なことへ
橋をかける時なのか。
それを見極める判断軸です。
私も、
「好きなことだけできるのは、ずるい」
と思っていた母親でした。

けれど今は、
好きなことができるなら、
この子の中には、まだ
動ける力が残っている。
その力を、
どう次の挑戦へつなげていくかを
考えます。
好きなことは、
子どもをダメにするものではありません。
使い方を間違えなければ、
止まった脳をもう一度動かす、
回復の入り口になります。
今、学校には行けなくても。
勉強はできなくても。
ゲームや動画を楽しめるなら、
そこに、
その子がもう一度動き出すためのヒントが
隠れているかもしれません。
行動だけを見て、
「怠けている」と決める前に、
その行動の奥で、
脳が何を守り、
何を取り戻そうとしているのか。
そこを見られるママになれた時、
子どもの未来の見え方は変わります。
正直この視点は
メルマガや小冊子など
断片的な情報では身に付きません。
野球の選手になりたいのに
本を読むだけ、動画を見るだけでは
なかなか上達しないのと一緒です。
実践の中にやどるのは
その一歩をここから
一緒に踏み出していきましょう。
今日はここまでです。



