吃音のある子どもが、負けず嫌いで負けを認めることができないということがありますよね。負けるたびに大騒ぎする子どもに困っているママもいるかと思います。そんなときの子どもへの対応をお伝えします。
子どもの負けず嫌いが暴走する
吃音のある子どもが、ゲームや競争などで「勝ち」にこだわって負けると泣いて大騒ぎするということはありませんか?
毎回負けるたびに大騒ぎをする子どもに対して嫌気がさしてしまうかもしれません。

「いい加減にして」「そんなことばかりなら、もう誰も勝負してくれなくなるよ」などと言いたくなりますよね。
負けず嫌いなのは良いけれど、ほどほどにしてもらいたいというのがママの本。
吃音のある息子の負けん気の強さにお手上げ
我が家には吃音のある息子がいます。
息子は勝負事が大好きですが、とっても負けず嫌いです。
勝負事では「勝ち」にこだわり、自分が勝てないと気に入らないという子どもでした。
息子が好きなカードゲームでパパとバトルをするのが日課ですが、勝負事は自分がいつも勝つことが出来るわけではなく、それに「運」もありますよね。
当然、負けることもあります。
勝負に負けてしまった時、悔しさから涙をポロポロ流して、納得できない表情で机をドンドン叩いて抗議して、テーブルの下にもぐって大泣きをしていました。

「パパがズルをした」「本当は僕が勝ったんだ」と言い訳や理由をつけて、絶対に自分の負けを認めないという強い意思が爆発していました。
それに対して「負けは負けだよ!そんなことばかりなら、もうパパは勝負しないからね」と夫が言うと「うるさい!」といってより一層騒ぎ出すというのが負けた時の恒例の風景でした。
騒がせないために、わざと負けるという事も考えましたが、それでは息子のためにはならない事や、これから先の人生で「負け」は必ずあるので、家でだけ勝ち続けることを覚えさせるのは、良くないと考えました。
負けるたびに大騒ぎの息子にげんなりしながらも、どうしたら負けを受け入れられるのだろうと、悩む日々でした。
負けず嫌いは強みになる可能性がつまった宝箱
しかし、手を焼いている「負けず嫌い」という問題には、裏を返せば素晴らしい事ばかりだということがわかりました。
・地道に努力する力
・悔しい気持ちをバネにして、勝つまで粘り強く挑戦する力
・諦めない熱いハートを持っている
・自己効力感が高い
・悔しい気持ちをバネにして、勝つまで粘り強く挑戦する力
・諦めない熱いハートを持っている
・自己効力感が高い
自己効力感というのは、「できる」と自分を信じられる力です。
そうです!厄介な負けず嫌いは、長所でもあるのです!

負けず嫌いということは、自分を成長させていく力があるということです!
吃音のある子どもにとって、負けず嫌いは強みになるのです!
子どもの感情を上手くコントロールして強みを伸ばす対応
負けを認められない息子に対して、私が息子にやった対応を紹介します!
感情を受け止めてあげる
「負けて悔しい気持ち」「勝って嬉しい気持ち」両方を受け止めてあげましょう。
負けて騒いでいる時には、怒りたくなる気持ちにもなってしまいますが、怒るのは逆効果です。
泣いて感情を素直に表すということは、泣く事でストレスを発散できているからです。
どんな思いも「わかって欲しい」という気持ちを満たしてあげましょう。

子どもが落ち着いてきたら、「負けちゃうこともあるよね」「勝つことが偉いんじゃないよ」「勝ち負けよりも、一生懸命やったという事がすごいんだよ」という言葉をかけて「勝ち」にこだわる気持ちを変化させてあげましょう。
勝っても負けても子どもの良かったところを褒める
勝負の結果がどうであっても「こんなところがよかったよ」「こんなところに驚かされたよ」「こんなに上手になったんだね」など具体的に褒めることが大切です。
結果に関わらず褒めるということで「勝たなくても褒めてもらえる」「負けても認めてもらえる」という気持ちが子どもの心に芽生えて、「勝ち」への執着心が和らぎます。
勝った後にヒーローインタビューをする
勝ったときには、自分の成功体験を振り返らせるヒーローインタビューをしてみることもおすすめです。
「今の気持ちはどうですか?」「勝てたのはどうしてだと思いますか?」など聞いてみましょう。
どんなところが良くて勝てたのか、自分で振り返ることで成功体験の記憶は強化され、自信がつき「勝てたけれど、次はもっとこうしてみよう」と向上心が高まり、次にどうするのかにつなげていくことができます。
こうした対応をしていくことで、息子の「勝ち」へのこだわりが和らぎ、負けても騒ぐことはなくなりました。
ヒーローインタビューで「負けてしまったパパにも一言お願いします!」というと、「パパ、真剣に勝負してくれてありがとう」と感謝の言葉が出るようになりました。
こんな風に、対戦相手への気持ちも考えられるようになりました。
吃音のある子にとって「負けず嫌い」な気持ちを持つことは実は大切です。
「負けず嫌い」というのは、気持ちが前にしか向いていないということです。
悔しさから考えるのは、次のことです。
「次はできる」という思いがあるので、自分を信じているということです。
自分を信じられると、たとえ不安な気持ちがあったとしても「やってみよう」という気持ちになれます。
やってみて失敗した時にも、下を向かずに悔しい気持ちをバネにして取り組むことができますよね。
その気持ちは吃音に対しても、どもってしまう自分に自信を失くすのではなく「今はどもってしまうけれど、そのうちよくなるだろう」「どもったけれど、次は上手く話せるはず」「自分なら大丈夫」と次をプラスに考えることが出来ます。
負けず嫌いな気持ちは、転んでも立ち上がる強い気持ちであり、素晴らしい強みです。
子どもの負けず嫌いは厄介な短所ととらえてしまいがちですが、ママが長所として捉えてよい方へ伸ばしてあげることで、吃音があっても「やりたいことはやるんだ」「言いたいことは言うんだ」という強い気持ちをもって人生を楽しむことができます。
子どもの「負けず嫌い」には可能性がつまっています。
どうか芽をつぶさずに、吃音のある子どもが自分の軸を持って生きていく強さと、諦めない熱いハートを持って人生を歩めるように、ママが強みとして引き上げていってあげましょう!
執筆者:広瀬つばき
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)