人前をとても嫌がり、発表がある日は行き渋る、「吃音が原因になってるのかな?」と悩むだけで胸が苦しくなることはありませんか?そんな悩みを解決したママの関わり術をお伝えします。
日直の日に行き渋る吃音のある幼児さん
日直の日や、発表会の前になると甘えが多くなったり、当日になると行き渋るお子さんはいませんか?
そんな時に「日直なんてただの当番だよ」と子どもの気持ちを軽く見て受け流して無理に登園させたり、「そうだよね、発表会は緊張するよね」と過度な共感は逆効果です。
また、吃音があるからと言って「どもるから嫌なんだ」と決めつけた対応をするのも実は危険です。
「吃音のある子」というフィルターでみてしまうと、本当の問題に気付けなくなってしまうことがあるので、「行き渋り」を単なる甘えや困りごととして見ずに、「わが子を知るチャンス!」と思って切り替えると、子どもの素質や長所をぐ~んと伸ばすことができます。

この記事では、自信がなくて日直の日に休むと言っていた息子が、笑顔で日直をやりきるまでのママの関わり術をお伝えします。
吃音が気になりただ見守っていた私がピンチをチャンスに変えたママの思い
私には年長になる吃音のある息子がいます。
ある日、「次の水曜日は日直だから休みたい!」 帰宅した息子が真剣な顔でいいました。5歳なりの必死の訴えに、胸をギュッとつかまれるようでした。
日直とは、みんなに号令をかけて進めるクラスのリーダー役。 大人から見れば「たかが当番」かもしれません。 けれど、子どもにとっては大舞台。失敗すれば怒られる・・・そんな不安がのしかかっていました。
「この気持ちをどう受け止めよう?」母としても試される瞬間でした。
来年は小学生の息子、「きっと発表の場面が増えるはず・・・そんな時に自信をもってやれる子になってほしい!今が成長のチャンス!この機会を逃したくない!」と思うようになり息子と二人三脚で発表を乗り越える決心をしました!

吃音じゃない!息子のことばの裏にあった行き渋りの本当の理由2つ
失敗したくない気持ち
理由を聞くと息子はこう言いました。
「準備体操の順番がわからなくて、先生に怒られるから嫌なんだ」
担任の先生に確認すると、実際は怒っているのではなく、まだみんな覚えていないから一緒に声を出しをしていただけとのことでした。
けれど息子にとっては、全体に聞こえるように発する先生の”大きな声”が「怒られている」ように響いてしまったのです。
また、少し完璧主義なところがある息子の「怒られたくない」の裏には「失敗をしたくない」という気持ちがあることに気付きました。

できない自分が怖い
吃音のある子にとって、声を出すことそのものが大きなハードルです。
さらに号令の種目は20種類以上、興味が薄い準備体操だから覚えづらいことも重なり「できない自分」が怖くて、「やりたくない」に姿を変えていたのでした。
失敗したくない完璧主義の息子が自信を増やして挑戦できた3ステップ
嫌がっていた日直を次の3ステップで、笑顔でやり切ることができました。
ハードルを下げる声かけ
「失敗したくない気持ち」を和らげるため、息子の前で先生に2つの声かけをしていただきました。「1つでもいいよ」「みんな覚えてる途中だよ」
そうして、息子は少し肩の力が抜けたようでした。
できるイメージトレーニング
日直でやる‘声だし’を息子と一緒に、紙に書き出すことにしました。
毎日帰宅すると「今日は3つ目まで覚えた!」と順に書いていき、 覚えていないところは「明日また聞いてくる!」と日に日に前向きになっていきました。それは、お友達の日直の様子を見て、自分の日直のイメージが膨らんでいったのだと思います。
小さな成功体験で「できた!」貯金
家族で日直の‘声だし’の予行練習をしました。
息子が日直役、妹と私が園児役、紙を見ながら「屈伸~1、2、3、4!」と声を出す、最初は小さな声でしたが、少しずつ大きく、堂々となっていき、 最後には笑顔で言い切ることができました。
その瞬間、「できた!」という自信が心(=脳)に深く刻まれ、息子の表情は晴れやかになりました。

ママとの練習で成功体験を積み「失敗しても大丈夫」という自信を掴んだ日
迎えた日直当日。私は登園渋りがないかドキドキしていました。
前日まで「休みたい」と言っていた息子でしたが、当日の朝は清々しく「行ってきます!」と登園できました。
お迎えで駆け寄ってきた息子は笑顔でこう言いました。
「最後しかできなかった!」
一見「失敗」のように聞こえますが、 その顔は自信に満ちていました。 完璧にできなくても大丈夫。日直をやりきったという達成感こそが、彼を支えていました。
それからの息子は変わりました。 妹が忘れ物をして癇癪になっても「先生に言えば大丈夫だよ」と励まし、 欲しかったカードが売り切れていても、すぐに切り替えられるようになりました。
少し失敗しても、思い通りにいかなくても、立ち直れる力を得たのです。

吃音があっても、発表が苦手でも、ママのサポートで「できた」を積み重ねていけます。そしてその先には、「失敗しても大丈夫」と思える自信が待っています。
執筆者:華本あみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

