吃音のある幼児さんは、話し始める前に脳をたくさん使っています。どもりやすさを左右するのは、ことばの練習より「ママの聞き方」にあったのです。脳の仕組みと私の実体験から、話しやすさを育てる関わり方をお伝えします。
吃音キッズの脳は話し始めがフル回転
人は話し始めるときが一番脳を使っています。
例えば、「おはようございます」と言うとき、頭の中では
・相手を確認!「先生だ!」
・挨拶を選ぶ、こんにちは?おはよう?敬語?
「おはようございます!」
・過去の経験がよみがえる、挨拶して褒められた!
・今の気持ちはどうかな?
この先生苦手・・緊張する・・
と、たくさんの準備が行われています。
特に、吃音のある幼児さんは、この準備にエネルギーを使います。
そこに、嫌な経験を思い出したり、緊張する場面、ストレスがかかってしまうと更にエネルギーが必要になってきます。

だから、話し始める前が一番大変なんです。
そんなとき、好きなこと・得意なことだとどうなると思いますか?
「これ知ってる!」
「話したい!」
という気持ちが先に立ち、脳がスムーズに働いて、話す準備がすっと整うのです。
つまり、話しやすさは、ことばの練習より“話したい気持ち”が大切です。
この記事では、吃音のある息子から“話したい気持ち”を引き出し、次々に話せるようになった「ママの聞き方」をご紹介します。
好きなことを話す吃音キッズへのNG対応
私には吃音のある5歳の息子がいます。
息子は話すときに、手をぶんぶん振り回しながら「こーーーーの技がさ…」と話したり、足をどんどん踏み鳴らしながら「ん----ポケモン…がね!」と、好きなポケモンの話でもとても苦しそうに話していました。

一日に何度も、体全体を使って必死に話す姿を見るたびに、
「楽に話していいんだよ」
「落ち着いてからでいいよ」
と思い、私は胸がぎゅーっと締めつけられるような気持ちで、「うん、うん」と優しくうなずくことしかできませんでした。
これは、好きな事を話してくれている息子にとってももったいない聞き方だったのです。
吃音キッズの話しやすさを邪魔するママの聞き方
吃音のある子を育てていると、ママが一番つらくなるのは、「この対応で合っているのかわからなくなる瞬間」です。
たとえば、周りの子はスラスラ話しているのに、わが子だけ言葉が出てこなくて一生懸命話して、苦しそうな様子が目に入ったとき
「ちゃんと話せるようにしたほうがいいのかな」
という考えが頭をよぎるこういう場面では、ママの意識は自然と「話せているか・どもっていないか」に向きます。
けれど、実はこの瞬間、子どもにとって一番必要なのは、話し方の修正ではなく、「話したい気持ちのまま、話せる状態」です。
ママが苦しさに目を奪われるほど、子どもは
「うまく話さなきゃ」
「失敗しちゃいけない」
というスイッチが入りやすくなります。
これは、ママが悪いわけでも、関わり方が間違っているわけでもありません。
心配になる状況そのものが、ママの判断が揺れやすい状態なのです。
だからこそ、このタイミングで必要なのは新しい練習や、正しい声かけを探すことではなく、
「今、脳はどんな状態にあるのか」
「何を優先すると、話しやすくなるか」
を、一度立ち止まって整理する視点です。

センスのある「ママの聞き方」が吃音がよくなる脳の回路を育てる
そこで私が意識したのは、発達科学コミュニケーションの声かけにある「興味をもつ」ということです。
遊びの中では、子どもが好きな事を話し始めたら、「深堀」することです!
息子が大好きだったのは、ポケモンカードゲームです。
YouTubeでルールを調べては、「ねぇママ、これはね…」と、一生懸命説明してくれます。
そこで、「え?そうなの!面白いね」興味を示し、
「どのくらい強いの?」
「何タイプ?」
など、質問をして深堀をしていきます。
簡単な質問をたくさんすることで、
「答えられた」
「伝わった」
という成功体験にもなり、どんどん話したくなります。
不思議なことに、ポケモンの話をしているときは、説明がどんなに長くなっても
「次はこれも言いたい!」
「ちゃんと伝えたい!」
という気持ちのおかげで、どもることが少なくなっていきました。
「話したい気持ちのまま、話せる」経験が増えることで、脳の「すらすら話せる回路」が太く強化されると、脳は「すらすら話せる回路」を優先的に使うようになります。
つまり、吃音がよくなるということです。

センスのある「ママの聞き方」を使って「話したい気持ち」を、ママとの安心できる関係の中で育てていきましょう。
執筆者:華本あみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)


