吃音が強く出ていても「話したい」と思える吃音のある小学生の特技を育てる方法

お家で吃音をよくする対応
吃音の波が強いときは見守りが必要なこともあります。けれど大切なのは、吃音があっても「話したい」と思える土台です。話すことを避けていた我が子が、特技を通してその気持ちを取り戻していったプロセスと、ママの関わり方を紹介します。
 

吃音の波や吃音の強弱が起こる理由

 吃音のある小学生のママからよく聞くのが 「吃音が強く出ているとき、どう関わればいいのかわからない」 という悩みです。
 
 
吃音に波が出たり、強く出たり弱く出たりするのはなぜでしょうか。
 
 
それは、吃音が脳にかかるストレスの影響を強く受ける特性をもっているからです。
 
 
 
 
このストレスには、どもるかもしれないという不安や、うまく伝わらなかったという吃音に対してのストレスだけではなく、がっかりした気持ち悔しさ緊張や気を使いすぎた時など吃音とは直接関係のないストレスも含まれます。
 
 
つまり、吃音のある子が感じている毎日の生活の中で感じる不安や疲れ が、吃音の波や強弱として表れやすいのです。
 
 
ただし、ストレスはすべて悪いものではありません。
 
 
言葉を理解し言葉を選んで使ってみる時にも脳には適度な負荷がかかります。
 
 
大切なのは、ストレスをゼロにすることではなく、ストレスがあっても折れない心の土台を育てることです。
 
 

吃音が強く出ている時に脳の中で起きていること

「話したいのに言葉が出ない」 そんな瞬間を、小学生のわが子が経験している姿を見るのは 親としてとてもつらいものです。

 

 

おしゃべりが好きだった子が だんだんと発言を避けるようになっていく。

 

 

 

 

「このまま話さなくなったらどうしよう」
そんな不安を感じているママも多いのではないでしょうか。

 

 

吃音が強く出ているとき、脳は「今、余裕がないよ」という状態にあります。

 

 

それは、その瞬間に緊張している時だけでなく、頑張った運動会の日の夜や、初めての社会見学で緊張した後、発表の前後など負荷がかかったあとにも起こりやすいのが特徴です。

 

 

忘れ物をして焦った気持ち苦手な給食が出たストレス運動会が近づいているドキドキなどのこうした出来事は、話すこととは関係なく見えても、脳にとっては大きなエネルギーが必要になります。

 

 

処理しきれない疲れが残っていると、言葉を出す回路にまで余力が回らず、 吃音が強く出やすくなります。

 

 

ですが、脳の育ちによって「ストレスの感じ方」そのものは変えていくことができます。

 

 

例えば、目や耳の使い方が育つとまわりの状況を理解しやすくなり、これまで負担だったこと負担でなくなっていくことがあります。

 
 

おしゃべりが大好きだった息子が話すことを避けるようになっていった過去

わが家には吃音のある小学生のノリはいいのに心は敏感な息子がいます。

 

 

人を驚かせたり、前に出て話すこと得意な子でした。

 

 

ですが、吃音の波が強く、思うように伝わらない経験が増えるにつれて学校での発言を避けるようになっていきました。

 

 

家ではよく話していたため、本人がそこまで苦しんでいることに 私は気づいていませんでした。

 

 

転機になったのは、担任の先生から 「一生懸命話してくれているのに、聞き返してしまうのが心苦しいんです。」と聞いたことです。

 

 

先生のその言葉を聞いたとき、 胸がぎゅっと苦しくなりました。

 

 

私をはじめ家族は話し方に慣れてしまっていたので、息子の言葉が届かないなんて思ってもいませんでした。

 

 

ですが実際には息子に辛い思いをさせてしまっていたのです。

 

 

 

 

その事実を知ったとき、話すのが大好きだった息子が、話すことへの自信を失ってしまっていたことに悲しい気持ちでたまりませんでした。

 

 

話したい気持ちを大事にしてあげたい。

 

 

どもっても、うまく伝わらなくても自分の話したい言葉で話せるようにサポートしてあげたい。

 

 

そんな思いの時に出会った発達科学コミュニケーションの好きを力にする考え方を取り入れることにしました。  

 
 

吃音が強く出ていても「話したい」を支えた3つの関わり

吃音が強く出ているときほど、「どうにか話せるようにしてあげたい」 「自信をなくさないでほしい」そんな気持ちが強くなります。

 

 

でもこのとき大切なのは、吃音を減らそうとすることではなく、 “話しても大丈夫”と思える土台を整えることです。

 

 

我が家で意識したのは、次の3つです。

 

 

 どもっても止めない・急がせない聞き方をする

吃音が強く出ているとき、子どもの脳はすでにたくさんの負荷を抱えています。

 

 

その状態で「ゆっくりでいいよ」「落ち着いて」と声をかけられると、 話し方を意識させてしまい、かえってストレスが高まることがあります。

 

 

そこで意識したのが、3つのSで聞くことでした。

 

 

SMILE:安心を伝える笑顔

SLOW:ゆっくりした相槌

SWEET:やさしい声色

 

 

どもっても、言葉が詰まっても、言い直しをさせず、先回りせず、最後まで待つ。

 

 

それだけで「このペースで話していいんだ」という安心感が、子どもの中に残っていきます。

 

 

私はそれまで 「今日はどもらなかったかな?」 話し方ばかり気にしていました。

 

 

「うまく話せた」より「伝えようとした」を積み重ねる

吃音があると、どうしても「今日はどもらなかった」「今日はひどかった」 と評価軸が話し方に向きがちになります。

 

 

でも、脳に残したいのは話し方の評価ではなく伝えた経験です。

 

 

途中で吃音に邪魔されたけど最後まで話せた。

 

 

「あ」はどもりやすいけど、避けずに自分の言葉で伝えようとした。

 

 

じっくり話を聞いてもらえた。

 

 

この体験が積み重なると、「自分は話していい存在だ」という自己効力感が育ちます。

 

 

どもっても、言葉が途切れても、内容を受け取り、「そう思ったんだね」 「それが言いたかったんだね」と返します。

 

 

それだけで、話すことへのブレーキ少しずつ外れていきました。

 

 

 吃音が出ても語りたくなる“特技・好き”を育てる

話すことへの自信を取り戻すきっかけになったのが、「特技」「好きなこと」です。

 

 

我が家の息子は、兄の影響で釣りを始め、大会に出るほど夢中になりました。

 

 

釣りの話になると、吃音が出ていても関係なく、「これね!」「このときさ!」 と話したくなるのです。

 

 

特技や好きなことがあると、伝えたい内容がはっきりするので、話すことに迷わずに話せるようになる。

 

 

話す理由が評価ではなく嬉しさや楽しさの共有になる。

 

 

吃音への不安よりもワクワクが前に出るようになる。

 

 

このため結果として、吃音が出ていても「話したい」が勝つ状態が生まれます。

 

 

この「話したい」が、吃音に負けない大きな支えになっていきました。

 

 

吃音が強く出ているときほど、「話せるようにする」よりも先に 安心・自己効力感・話す理由を整えることが大切です。

 

 

そうすることで吃音が出ていても「話したい」と思える力が育っていきます。

 

 

お子さんが夢中になっていることはなんですか?

 

 

ボール遊びが好き、プールが好き、鬼ごっこが好きなど、難しく考えなくても夢中になっている遊びがすでにお子さんの特技です。

 

 

目を輝かせながら話してくれる特技をお子さんと一緒に探してみませんか?

 

 

 

 

吃音があっても 「話したい」と思えること。

 

 

それは 子どもが自分の好きなこと得意なことを見つけ 「自分にはこれがある」と思えたときに育っていきます。

 

 

吃音をなくすことだけを目標にするのではなく 話したくなる人生を育てること

 

 

それが 吃音のある子どもにとって大きな力になります。

 
 
執筆者:こじま さとこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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