「遺伝性の吃音でもよくなりますか？」
というお問い合わせをよくいただきます。
「遺伝性の吃音」と表現される方々は、
ご家族にも吃音の方がいるために
そのような表現をされるのだと思いますが、
つまりは「発達性吃音」ですので、
お子さんであれば
ことばの練習をしなくても、
ネガティブな記憶を植え付けず、
脳を発達させる対応をすれば
よくなっていきます。
実際に、私の生徒さん達の多くは、
ご両親のどなたか、
または親族に吃音の方がいるけど、
ママが対応法を学んだことで
吃音がよくなっています。
そんなお子さんの変化をみて、
パパやママの吃音までよくなっている
という方もいます。
つまり、大人の方であれば
吃音に対する記憶を変えていけば
よくなるんです。
実際に、大人まで吃音を持ち越した方の中に
吃音がふとよくなったという経験を
されている方がいます。
どのような方かというと、
仕事を定年退職し、
人前で話すプレッシャーから
解放された途端どもらなくなった、
まったく話したことがない
言葉の国に赴任したら、
外国人だから話がつたないんだ、
と認識され、
だれも吃音者とみていないと
感じるようになってから
どもらなくなった、
などの経験です。
これらに共通しているのは、
「どもらずスラスラ話さなきゃ」
という「ねばならない」という記憶から
解放されたことです。
そして、このような方々が
新たに持つ悩みが、
「今まで吃音者として生きてきたのに、
もう吃音者ではないのか？
どんな立場で生きていけば
いいんだろう？」
というものと、
「またどもるようになったら
どうしよう？」
という不安です。
とても不思議な悩みかもしれませんが、
私たちは子どもから大人になるまでに、
「自分は何者か？」
という認識を固めていきます。
それがアイデンティティーと
呼ばれるものですが、
「私は吃音者です。
他の人とは違います。
違いながらもどうやって
生きていけばいいか模索して
生きています。」
というアイデンティテーを
育ててきた方は、
吃音がよくなるとどこの立場で
生きていけばいいのか
アイデンティティーが崩れる
問題が発生します。
一方で、こんな方もいます。
吃音を自覚していても、
「私には吃音があります。
空が大好きで、人が大好きで
世界中をみてまわりたいという夢があり、
パイロットになりました。」
吃音という体質は、
その方の一部でしかないと受け止め、
それにとらわれず自分の進みたい道を
進んで自己実現されている方です。
このような方はほとんど
どもらないので他の人から
吃音者と思われることはありません。
ですが、時々、
「どもりそう」と感じることは
あります。
それを気にせず
話していればどもらない状態を
キープできるという記憶があるので、
時々かむ時はあるけどそれって
吃音じゃない人も同じだよね、
と気にせずやり過ごしています。
つまり、脳が発達した状態の
発達性吃音の方は吃音に対する
捉え方、認識を変えればよくなります。
本人の中で「どもりそう」と
感じてもそれをネガティブに
感じない耐性ができていれば
症状が出にくくなります。
そこに関わってくるのが記憶です。
吃音についてどんな記憶を
蓄積してきたか、
どんなアイデンティティーを
構築してきたか、
ということが影響します。
だから！
私たちは吃音のある子を育てる時に
真っ先に考えてほしいことが、
どもらない話し方を教えるよりも
どんな記憶を授けていくか、
ということです。
言葉は悪いけどちょっとだけ
子どもの脳を「洗脳」する、
ということです。
子どものうちはこちらの対応次第で
吃音の症状を落ち着かせることが
できます。
そうやってどもる頻度を減らし、
吃音を意識させない時間を作り出し、
吃音よりも長所に目を向けさせ、
できるイメージを育てていきます。
すると、吃音者として生きる
アイデンティティーを育てるのはなく、
長所を活かした生き方を選択する
アイデンティティーが育っていきます。
吃音をよくしたい！
と思ったら、
この子にどんな大人になってほしいか！
を問うことが大切です。
そんなのどうやったらいいかわからない！
という方は私のところに
ご相談くださいね^ ^
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