3歳吃音の子が、入園をきっかけに強いこだわりが出て困り果てているママはいませんか?こだわりは不安が強いときに出てくることがあります。幼稚園の先生との連携やお家でできる関わり方を通じてこだわりが解決する方法をお伝えします。
3歳吃音の子の不安がなくなればこだわりも和らぐ
3歳吃音の子のこだわりが強く出る時って、どんな時だと思いますか?
それは、不安が強くなっている時です。
では、どうして不安になってしまうのでしょう?
これには生まれ持った脳タイプも関係するのですが、脳の成長が未熟だからというのが大前提にあります。
初めて幼稚園という場所に行ってみて、何がなんだかよくわからない、どうしていいかわからない、次は何をすればいいのかわからない、など「今すること」や「次にすること」など先の見通しが立たないことで不安になっているのです。

私たち大人だってそうですよね?
たとえば、ずっと勤めていた会社を退職し、新しい職場で仕事を始める時は、先の見通しが立ちづらいので不安も多く、緊張感もあります。
子どもは私たち大人よりも、これまで生きてきて知り得た情報量が少ない上に、元々人一倍不安に感じやすい子だったら、大人の何倍も何十倍も不安に感じているということなのです。
この不安は、「理解」して「慣れる」ことで少しずつ軽減されていきます。
不安が強いと吃音にも影響する
吃音を良くするには、まず困りごとを解決することが先です。
吃音の悪化要因の一つにストレスが挙げられます。
不安が強いと、ストレスがかかりやすくなるのです。
ですから、なるべく早く園に慣れることで不安な気持ちを軽減させ、ストレスをなくしていくことが大切です。
入園後2日目で突然今までなかった強いこだわりが出現した
当時3歳だった吃音のある娘は、園に1日2時間だけ通う慣らし保育期間中に強いこだわりが出るようになりました。
出かける前に、荷物が多いので先に車に荷物を積んでおこうと荷物を運び出したら、「○○ちゃんと(自分の名前)一緒に行って!もう一回最初から!!」と怒り出すようになりました。
車の中で音楽を聴くときには、誰かが一言でも喋ったら「静かにして!もう一回最初からにして!!」と癇癪を起こすようになり、
さらには、来客が来て玄関でインターホンが鳴ると誰よりも一番に玄関に行かないと癇癪になる、といったこだわりや、
トイレで用を足した後に水を流す時に、誰かが一言でも喋ったら「喋ったらダメ!もう一回最初からになる!!」といったこだわりが見られるようにました。

このようなことが毎日繰り返されるようになり、さすがに私もうんざりしていました。
この時の私は、娘のアウトプットの方、つまり「もう一回最初から!」と癇癪を起こすこだわりばかりに注目してしまっていたのです。
こだわってしまう原因は何か?と考えると、そこには「不安」があり、なぜ「不安」になるのかというと、情報のインプットがうまくいっていない、つまり情報処理がうまくいっていないからだということに気づきました。
3歳吃音の子の強いこだわりを解決した方法
では、このような日常生活に支障をきたすほどの3歳吃音の子の強いこだわりをどのように和らげていったのか、3つの方法をご紹介します。
◆早めに幼稚園や幼稚園の先生に慣れてもらう
まずは、幼稚園や幼稚園の先生に慣れることです。
なるべく早く慣れたほうがストレスも軽減できます。
やり方としては、幼稚園の先生の協力が得られそうであれば、事前に幼稚園の先生に、 「幼稚園に早く慣れてもらいたいこと」を伝えます。
ズバリ、幼稚園の担任の先生に早い段階で慣れてもらうのです。
先生とコミュニケーションをとって、早く幼稚園に慣れてもらうことが目的ですので、 どちらを答えてもOK、かつ答えやすい内容で、毎朝登園したら簡単な質問を一つして欲しいと依頼します。
たとえば、 「○○ちゃんはネコと犬、どっちが好き?」 「りんごとみかんはどっちが好き?」 といったものです。

このようなやり取りで幼稚園の先生に慣れてくれば、子どもが幼稚園で何か困ったことがあったら先生に相談する術を身につけることができます。
次第に幼稚園にも慣れることができますね。
◆こだわりにはサラっと付き合う
強いこだわりには、付き合えるものにはサラっと付き合ってあげましょう。
こだわりは、その子なりの、脳を働かせるための手段です。
周りにとっては全く無意味なこだわりでも、本人にとっては大きな意味があることを理解してあげてください。
それを無理に強引にやめさせようとすると余計に固執したり脳の働きがストップします。 ですので、荒治療はおすすめしません。
◆目で見て状況を把握する力を育てる
融通が効かず、強いマイルールを持っている子どもは、自己感覚が強すぎる傾向があります。
自分に固執して、周囲の状況を見渡せず、柔軟な対応力を欠いている状態です。
ですが、脳が発達し、目で見て状況を把握する力が育ってくればこだわりは必ず落ち着いてきます。
たとえば、どこか買い物に出かけた時に 小さな女の子が泣いていて、その近くにお母さんが立ってくどくど何か言っている様子が見えたとします。
そこで、「あの女の子はどうしたのかな〜泣いているね〜」 と問いかけてみます。
すると子どもは、その様子を目で見て状況を把握しようとします。
「お母さん怒ってるね。こわいんだ。」 といった感じで子どもにアウトプットさせてみましょう。
このように、日頃から目で見て状況を理解する力をトレーニングしておくことがおすすめです。
状況を把握する力が育てば、不安は軽減していき、こだわる必要がなくなっていきます。
◆ママの行動を言語化する
例えば、インターホンが鳴った時に一番に玄関に行きたいというこだわりがあって困っているとします。
先にママが出てしまって癇癪になってしまったなら、まず「一番に出たかったんだね」と子どもの気持ちを代弁し落ち着かせます。
落ち着いて冷静になったところで、 「インターホンが鳴ったらなるべく早めに出ないと、ご用があって来てくれたお客さんが“お家の人誰もいないんだ”と思って帰っちゃうんだ。だからママが先に出たの。」などと、なぜママがこのような行動をとったのか(先に出たのか)理由をつけて子どもに伝えます。

すると子どもは、「そっか。だからママは先に出たんだな。」と理解するので、癇癪が起こることがなくなります。
「自分はこうしたいのに!」と自分ばかりに矢印が向いてしまい、周りを見渡せずにいるのでママのとった行動の理由がわからず、不安が強くなっているのです。
ぜひ、ママの行動を言語化して子どもに声かけしてあげてください。
いかがでしたか?
強すぎるこだわりは日常生活に大きく影響するものも多く、ママは手を焼いて大変ですが、脳が発達すれば必ずこだわりは落ち着きます。
脳の発達を早める声かけとテクニックで吃音キッズのこだわりを落ち着かせて、吃音のぶり返しや悪化を予防しましょう。
執筆者:はせがわかすみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)