初めての場所を嫌がる吃音キッズはいませんか。ここで大切なのは「行くこと」より「行ってみようという気持ち」です。遊びながら「挑戦する心=自信」を育てて吃音をよくするママの関わりをご紹介します。
初めての場所が苦手な吃音キッズが心に描く「できないイメージ」
こんなお子さんはいませんか?
・いつも家で遊ぶ、外より家が安心
・すぐ「帰りたい」と言う
・初めての公園の遊具に近づけない
5歳で吃音のある私の息子もよく「おうちがいい」と言いおうちばかりで遊んでいました。

吃音のあるお子さんに限らず、初めての場所に慎重になる子はたくさんいます。
それは「怖がりだから」でも「性格の問題」でもありません。
本当は「楽しそう」「やってみたい」と思っていても、頭の中でできる自分のイメージが描けないと、心にブレーキがかかってしまうのです。
この記事では、吃音をよくするのに必要な「できるイメージ」を遊びの中で育てる方法をお伝えしていきます。
「できない!」が「ぼくならできる!」へ変わる未来への自信
吃音をよくするうえで大切なことは、「どもらないように頑張ること」ではなく、「ぼくならできる!」と未来に期待を持てる心を育てることです。
心理学ではこれを 自己効力感(じここうりょくかん) と呼びます。
「一度やってみたら意外とできた」
「最初はできなかったけど、ちょっとだけ前に進めた」
こんな小さな積み重ねが、挑戦する脳をつくります。
そして挑戦する脳が育った子の脳は、吃音があっても自然と「話してみよう!」と前に進めるようになるのです。
吃音キッズに授けたいのは自己効力感です。
これこそが、吃音をよくする土台になっていくのです。

小さな一歩が大きな自信に変わる「はじめをほめる習慣」
自己効力感を育てる第一歩は「行動のはじめ」を一番大きく褒めることです。
私たちはつい「最後までできた時」を褒めがちです。
しかしそれでは「できること=価値」という思い込みを育ててしまいます。
そうではなく、まだ1mmしか進めなくても、勇気を出して手を伸ばした瞬間、足を前に踏み出した瞬間を見逃さずに認めることが大切です。
例えば、初めての遊具で遊ぼうとしたとき、
・はじめて遊具に触れた
・少しだけ足を前に出した
その瞬間に「やってみたね!」「足を前に出せたね!」と伝えます。
初めての「できた!」を一緒に喜びましょう。

この積み重ねが「挑戦してみるって楽しいんだ」という心を育て、やがて「ぼくならできる!」という自信になっていきます。
では、もっと効率よく「自信」を育てる魔法があるとしたら、使ってみたくないですか?
次章でお伝えしていきますね。
吃音キッズの自己効力感が育つ!褒めの効果を10倍にする魔法
それは、発達科学コミュニケーションの声かけである否定的な注目をゼロに近づけることです。
「あとちょっとだったね」
「もう少し大きくしたほうがいいよ」
つい、言ってしまいそうな声かけではありませんか?
実は、これは否定の注目になってしまうのです。
どんなに褒めても、こうした否定の言葉が混じると、子どもは「挑戦=叱られるかも」と学習して自信がなくなり、指示待ちになってしまいます。
この状態の時は、褒めが脳に届かなくなってしまい、もったいないです!!
理想は肯定:否定=9:1。
とくに吃音が強いときは 10:0 が目標です。
この関わりで、褒めが効率よく脳に届き、「挑戦しても受け入れてもらえる」と安心し、自信、つまり自己効力感がグーンと育っていきます。
これは、おしゃべりでも同じです。
「どもっても、聞いてもらえる」という安心感から、「聞いてほしい!話したい!」という気持ちが強くなっていき、すらすら話せることが増え、吃音がよくなる方向へ進んでいきます。
吃音のあるお子さんが「ぼくならできる!」と自信をもって一歩を踏み出せるように、今日から関わり方を変えてみませんか?

今日からの小さな関わりが積み重なり、お子さんの自信が育ち、やがて吃音もよくなっていきます。
執筆者:華本あみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

