吃音と繊細さのある子にとって「ひとりで泊まる」がチャレンジなワケ

「大丈夫」と思える経験を積ませたい理由
吃音や繊細さのある子は、安心できる環境の中でこそ、本来の力を発揮しやすい傾向があります。
一方で、 「誰かと一緒じゃないと不安」「ひとりではできない」という感覚は、 子どもの性格ではなく、これまでの経験の積み重ねで育っていきます。
だからこそ、ママがどんな経験を選ぶかが、自信の土台になります。
今回のような・慣れている場所・信頼できる大人がいる・でも兄弟はいないという条件は、安心を保ったまま、一歩だけ外に出るチャレンジです。
無理に背伸びをするのではなく、「できそうな範囲で、ひとりを経験する」ことができます。
この「ひとりでできた」という実感は、自分なら大丈夫きっとできるという自信につながっていきます。

この自信こそが、話すときの安心感や、言葉を出す土台になります。
自信が育つと、「うまく話せるかな」という不安よりも、「話したい」「伝えたい」という気持ちが前に出やすくなります。
その結果、話すことへの緊張がゆるみ、吃音も落ち着きやすい状態へとつながっていきます。
小学生の時期は、 「できた」「やれた」という小さな成功体験が、 これから先の挑戦意欲を大きく左右します。
不安が強くなる前に、 安心を保ったまま“ひとり”を経験できる今だからこそ、 自信の芽を育てやすいタイミングです。
吃音と繊細さのある息子が、ひとりでお泊まりに挑戦し自信をつけた方法
わが家には、吃音と繊細さのある小学生の息子がいます。
あるとき、兄が学校の宿泊研修で家を空けることになりました。
そのタイミングで、息子が「自分も泊まりに行きたい」と話し始め、祖父母の家にひとりで泊まることになりました。
祖父母の家は、これまで何度も遊びに行ったことのある慣れた場所です。
ただ今回は、兄弟はおらず、泊まるのは一人です。
「行きたい」という気持ちも確かにあり、楽しみにしている様子も見られました。
一方で、これまでの経験から、「行かせて本当に大丈夫かな」「途中で迎えに行くことになるかも」 そんな不安も正直ありました。
そこで私たちは、「大丈夫?」と不安を確認し続ける関わりではなく、 数日前から、夜の落ち着いた時間に10分ほど、 「何をしたい?」を一緒に考える時間をつくりました。
・祖父母と何をして遊びたいか
・持っていきたい遊びや本
・卵焼きを作ってあげたいこと
ひとつひとつを一緒に考え、準備する中で、不安を消そうとするのではなく、 楽しみが自然と増えていくような時間を意識しました。

当日は、少し緊張した様子も見られましたが、息子は「行ってくるね」と自分の足で出かけていきました。
帰ってきた息子の表情は、「楽しかった」と、どこか誇らしげで、晴れやかなものでした。
「ひとりでも大丈夫だった」その感覚が、しっかりと息子の中に残っているように感じられました。
吃音と繊細さのある子に「自分なら大丈夫」を育てるために大切にした3つの関わり
ひとりで泊まるという体験が、「頑張らされた記憶」ではなく「楽しかった」「できた」という感覚として残るように、我が家で大切にしたポイントが3つあります。
スケジュールを自分で決める
ご飯は何にする?何をして遊ぶ?何時に寝る? 祖父母の家で過ごす時間の流れを、息子自身に決めてもらいました。
普段の生活では、時間に追われて途中で切り上げてしまうこともありますが、 この日は「じっくり楽しめる」スケジュールになるように意識しました。
「自分で決めた時間を過ごす」ことそのものが、安心と主体性につながっていきます。
楽しみを自分で選ぶ
「一緒に卵焼きを作りたい」 その楽しみを、自分で決めて準備しました。
祖母と一緒に料理をし、「喜んでもらえた」「役に立てた」という経験は、 できたという実感と自信につながっていきました。
“楽しい”だけで終わらず、“自分の存在が誰かの嬉しさにつながる”体験を入れたことも、大切なポイントでした。
いつでも戻れる安心を約束する
困ったら、寂しくなったら、「迎えに来てほしい」と言っていい。
いつでも迎えに行くと、事前に約束しました。
この「逃げ道がある」安心があることで、息子は不安を抱え込まず、 結果的に最後まで自分でやり切ることができました。
ひとりで泊まれたこと以上に、「自分なら大丈夫だった」と感じられたことが、 この体験のいちばんの価値でした。
この感覚は、これから先、不安になったとき、言葉が出にくくなったとき、 きっと何度も息子を支えてくれます。
実際、泊まりの様子を話してくれたときは、吃音の波も落ち着き、 ニコニコと楽しそうに出来事を教えてくれました。
お子さんから「やってみたい」と挑戦の相談をされたとき、 できるか・できないかで判断するのではなく、どうしたら楽しい経験になるかを一緒に準備してみませんか。

きっと自分なら大丈夫だと思える自信が育つ経験になりますよ。
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

