予期不安の強い吃音のある小学生の「休みたい」に隠れた本音

予期不安をなくすより、吃音のある小学生の「考えられる状態」を育てたい理由
吃音のある子や予期不安の強い子は、 不安を感じたときに、その不安を避けることで 安心を保とうとすることがあります。
この経験が重なると、 「不安=避けた方がいい」 という学習が、少しずつ強くなっていきます。
しかし、吃音をよくしていくために 大切なのは、不安をなくすことではありません。
不安があっても考えられる脳を育てることです。

何が不安なのか。
どこが一番引っかかっているのか。
行く・行かない、どちらを選ぶのか。
このプロセスを一つずつ分解していくことで、 不安でいっぱいだった状況の中にも、 「できること」「選べること」を 見つけられるようになります。
この経験の積み重ねが、 吃音に対する予期不安が起きたときにも、 「話したい」「伝えたい」という力の土台になります。
私が我が家の予期不安の強い吃音のある息子が「行ける」か「行けない」かを判断する前にしたこと
わが家には予期不安の強い吃音のある小学生の息子がいます。
私は発達科学コミュニケーションを実践してきました。
息子は好奇心旺盛ですが、初めてのことには慎重で、「できそう」と見通しが立つまで行動に移せないことがあります。
校外学習で電車とバスに乗る予定の日のことでした。
切符の買い方が分からないことが不安だったため、事前に動画で確認していました。
ところが当日の朝、少し風邪気味の様子で 「風邪だから今日は休む」と言い出しました。
これまでの私は体調が悪いと言えば休ませる選択をさせることが多くありました。
しかしこのとき私は、行かせるか休ませるかをすぐに決めるのではなく、何が判断を難しくしているのかを見ることにしました。

体調なのか、不安なのかを整理していくと、息子は 「校外学習がなければ学校には行けそう」と話しました。
つまり体調そのものではなく、切符を買えるかどうかの不安が強くなっていたのです。
不安の正体が整理されたあと、息子はもう一度動画を確認し、 「やっぱり行く」と自分で決めることができました。
「どうする?」と考える経験が、脳に「不安があっても選べる」という回路を作るからです。
行く・行かないを親が決めたのではなく、不安を整理し安心材料を整えた上で、本人が選んだ結果でした。
予期不安があっても選べる力を育てる関わりの3つのポイント
「やっぱり行く」と自分で決めることができた背景には、 関わりのポイントが3つありました。
体調と不安を分けて聞く
体がつらいから行けないのか、 不安があるから行きたくないのか。
まずはここを切り分けて考えます。
体調と不安は影響し合うからこそ、 “何が判断を難しくしているのか”を分けて見ることが大切になります。
隠れている本音を確認する
「行きたくない」のか、「行きたいけど不安」なのか、「体調的に無理」なのか。
子どもの様子をよく観察しながら、言葉の奥にある本音を一緒に探していきます。
決断は本人に戻す
不安の中身を整理し、安心材料を整える手助けをするのはママ。
でも、どちらを選ぶかを決めるのは子どもです。たとえ選んだ結果が思い通りにならなかったとしても、この経験が 考える力・選ぶ力 を育てていきます。

不安だから休むという選択もできました。
それでも今回は、不安があっても挑戦する方を自分で選ぶことができました。
これは、不安な気持ちを否定されず、考える時間があり、判断を急がされなかったからこそ生まれた選択です。
子どもが動けないとき、できないのではなく、判断できない状態になっていることがあります。
その状態を見極め、不安の中身を分解して一つずつ整理していくことで、 子どもは「今の自分でできる選び方」を取り戻していきます。
このプロセスは、吃音に対する予期不安が出てきたときにも、同じように役立ちます。
もしお子さんが「不安だな」と教えてくれたら、その本音を一緒に分解して、 不安の内容を整理していくことで不安が小さくなることがあります。
子どもは不安がなくなったから挑戦するものではありません。
不安があっても考えられるようになってきたとき、自分で前に進む力を取り戻していきます。
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

