「もう破裂しそう」こだわりの強い発達障害ASDの子どもが不登校になった原因と、ママが不登校を受け入れた理由

子どもが不登校になってしまったらどう対応したらいいのでしょう。今回は不登校経験のある、こだわりの強い発達障害自閉症スペクトラム(ASD)の子のお母さんに、不登校時どのように対応したのか、特性や症状をどのように理解したのか、お話を伺いました!

1.「もう破裂しそう」発達障害ASDの子どもが不登校になった原因は?

発達科学ラボのリサーチャーとして活動している愛川さんの息子さんは、現在10歳の小学校4年生。

小さいときからかなりこだわりが強く、小学校1年生の時にクリニックを受診して発達検査を受け、自閉症スペクトラム(ASD)ではないかと医師に言われたそうです。

息子さんは小学校2年生のGWから不登校になり、2学期からは再登校できるようになりました。

現在は、自分で週に2日休む日を決めて、自分が辛くならない様に、自分のペースを作りながら登校しているそうです。

愛川さんに、息子さんが不登校になった時の様子をお伺いました。

ーー学校に行きたくないと言い始めたのはいつ頃ですか?

「小学校1年生の3学期あたりから、行きたくないと言い始めました。」

ーー思い当たる原因はありましたか?

「幼稚園のときは何も習い事などしていなかったのですが、小学校に入ったから、何かスポーツができた方がいいね、と思ってサッカーを習わせることにしたんです。

それから、私は計算が苦手なので、そろばんをやらせたいと思って体験に連れて行きました。

本人は行きたくなかった様なのですが、そのまま教室に通うことになりました。

他にも週3回学童に通ったりと、幼稚園時代に比べると拘束時間がかなり長くなっていました。

その頃の私は、息子にすごく求めすぎていて、「授業の準備は自分でやらなきゃダメ」「給食袋は自分で出しなさい」「宿題も一人でやらなきゃダメ」と言っていました。

小さいときからこだわりの強い子でしたけど、「普通に宿題位できるでしょ」と思っていたし、本人もきちんとこなしていました。

小学校生活も心配はしていましたが、思ったよりスムーズに1学期、2学期を過ごせました。連絡帳やノートなども、めちゃくちゃ綺麗に書いていましたし、サッカーもそろばんも頑張っていました。

ですが、1学期の夏休みに、とても仲良くしていたお友達2人が、立て続けに転校してしまいました。

それでショックを受けているところに、行き慣れていた学童の、場所や雰囲気も変わってしまいました。

そこから、学童でも『僕は蹴っていないのに、蹴られた』とか、『お友達に何かされた』という、被害妄想じゃないのかな、ということが増えてきました。

小学校でも『僕は真面目にやっているのに、ふざけていると言われる!』とか『そろばんもできない!』と言って泣き叫んで、その辺りから今までの息子がガラガラと崩れていってしまいました。

その頃から、『僕なんていない方がいいんだ』とか、『もう破裂しそう』という発言が増えて行き、学校にも行けないという感じになりました。」

ーー息子さんはそれまでたくさん頑張りすぎてしまったのでしょうか。

頑張りすぎて、プツっと糸が切れてしまった様な感じですね。私はその当時、息子が頑張っているとは思っていなくて、『小学校や学童に行くことは普通のことだ』と思っていました。

学校や習い事に行っていることを褒めたりもしないし、『ちゃんと行けているな』位の感覚でした。

その頃は、注意をしていることの方が多かったと思います。

しまいには、私が怒ると『どうせもう、僕なんていても仕方ない存在なんだ』と言うようになりました。

話していても気持ちが通じ合わなくなってきて、こちらが何を言っても、訳のわからないことを言い出すようになったので、病院を受診することにしました。」

小学校に入学してから、一生懸命頑張っていた息子さん。大好きなお友達とのお別れや、環境の変化で、ぷっつり糸が切れてしまったのですね。

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では、愛川さんはどの様にして、息子さんの不登校を受け入れていったのでしょうか。

2.お母さんが不登校を受け入れた理由とは?

ーー愛川さんは、いきしぶりが始まった時は受け入れられましたか?

「最初は『なんで行かないの?』という感じでした。

行くのが普通でしょと思っていたので、無理に行かせようとしていました。

でもだんだん、息子は無理矢理行かせるのは難しいなと思う様になってきました。

本当は行かせたいけど、こんなに嫌がるなら無理に行かせることはないのかなと、私は思い始めました。

でも夫は、『無理に引っ張ってでも連れて行け!』という感じでしたので、その期間はすごい夫婦バトルをしました。

その後、病院を受診して、息子の強いこだわりや、ネガティブな記憶を持ちやすいこと、環境の変化に弱いこと、不安が強いことなどが、発達の特性からきているものだとわかりました。

そして、私たちが無理に行かせようとしてもだめな何かがあるなら、もう無理矢理に連れて行くのはやめようと思いました。

その頃から、私も不登校や発達障害について、本を読んだり、ブログを見たり、いろいろと勉強をし始めました。

勉強をしていくうちに、息子にとって学校に行くことは当たり前ではなくて、たくさん頑張っていたのだとか、本当は行きたいのに行けなくて、本人が一番苦しんでいるのだとわかってきました。

なので、息子が休んでいる間は、『なるべく楽しく過ごしたい!』という、気持ちに変わっていきました。」

ーーー

愛川さんは、息子さんの特性を知り、勉強を始めたことで、息子さんのつらい気持ちや、困りごとを理解してあげることができたのですね!

 

3.お母さんが知識を持って、子どもの特性、症状を理解してあげましょう!

自閉症スペクトラムの特徴には、強いこだわり、対人関係の苦手さ、感覚過敏、不安の強さなどがあります。

これらの特性は、一見わがままと見られがちです。

自分のやり方でないと納得できない、お友達と仲良くできない、好き嫌いが激しい、といった行動になるからです。

でも、これがわがままではなく、本人にどうすることもできない生まれ持った特性だったらどうでしょうか?

子どもの困った行動が、生まれ持った特性なのだと理解できたとき、お母さんの気持ちがスッと楽になるはずです。

特性がわかれば、困りごとへの対応法がわかるからです。

正しい対応法と、子どもを見るお母さんの視点が変われば、子どもの困りごとは必ず小さくなっていきます。

そのために、まずはお母さんが知識を持って、お子さんの発達特性や、症状を理解してあげてください!

そうすれば、子どもが「学校に行きたくない」と言った時に、どんな風に対応していけばいいか、の道筋も見えてきます。

息子さんを理解し、不登校を受け入れた愛川さん。

では不登校期間中は、どのように過ごしたのでしょうか?

「不登校期間をどう過ごせばいい?こだわりの強い発達障害の小学生の特性をやわらげる過ごし方 」では、愛川さん親子の不登校期間中の過ごし方についてお伺いしました!どうぞお楽しみに!

執筆者:別井理恵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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