1.発達グレーっ子がノートを取れないワケ
お子さんが授業中にノートを取らないことを悩んでいませんか?
学校の先生から、「ノートを取りましょう。」と何度も注意されても、相変わらず書けないままのノートを見て「どうして板書を取らないの!」と家でも子どもを責めてしまう…そんなお悩みはありませんか?
板書を取らないからといって、決してさぼっているわけではないのです。
板書を上手に取れない子が抱えている苦手さについて考えてみると、次のようなことがあげられます。
・ノートに書いている間に見て覚えたことを忘れてしまう
板書は、黒板に書かれている文字を短時間記憶して、記憶したことを思い出しながらノートに書くという作業です。
実は、「記憶すること」には「覚えること」だけでなく、「覚えること」と「思い出すこと」の2つの作業があります。
記憶が苦手な発達障害グレーゾーンの子は、「覚えること」と「思い出すこと」の両方とも、またはどちらか一方が苦手な可能性があります。
そのため、「覚える」と「思い出す」の作業を一緒に行わなければいけない、板書を取る作業が難しいのです。
・書くスピードがゆっくり
板書を取ることへの苦手さの他に、縄とびが上手く跳べない、階段の上り下りがぎこちない、などの様子は見られませんか?
このような様子が見られるタイプの発達障害グレーゾーンの子は、器用に体を動かすことが苦手で、動作の開始がゆっくりであったり、動き始めてからの行動がゆっくりであることが多いです。
さらに、目と手を上手く協調させて動かすことが苦手なため、見ることと書くことを同時に進めることに苦手さを感じているのです。そのため、周りの子と同じようなスピードで書くことが難しいのです。
・きれいに書かないと!というこだわりが強い
発達障害・自閉症スペクトラム(以下、ASD)タイプの子の中にはこだわりが強くみられる子もいます。
文字を書くことに対しても、文字が汚いことが許せずに何度も何度も書き直してしまう、そんな様子が見られることがあります。
このような理由から、発達障害グレーゾーンの子にとって板書を上手に取ることが難しくなるのです。
お子さんとお母さんの頑張りだけでは上手くいかない…と頭を抱えてしまう前に、担任の先生と連携を取る方法を試してみませんか?
実は、子どもが「ノートを取る!」と、やる気がアップする、先生との連携方法があるんです!
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2.「僕は板書ができない」書けない思いに苦しんでいた長男
我が家の発達障害・ASDの特性のある小5の長男は、小3のころから板書を取ることの苦手さが目立ち始めました。
当時の長男は、ノートを取ることがあっても授業の最初のほんの数行だけ。しかも、長男の書いた字には何度も書き直した跡がありました。
また、授業参観で教室に足を運んだときのことです。
クラス全員がそれぞれ書いた、今学期の目標が教室の後方に貼ってあり、長男の目標には「板書を全部取る!」と書かれていました。
その後も、授業参観に足を運ぶたびに長男の目標に目を通すようにしていましたが、毎回決まって同じ目標が書かれていました。
その言葉を見るたびに、私は「なぜわかっているのに板書を取らないのだろうか?」という想いでいっぱいになりました。
同時に、板書を取るという義務感に駆られながらも達成できない、という長男が抱えているもどかしさに、長男の書いた目標を見ていて辛くなりました。
実は以前に、板書を取れないのであれば黒板の写真を取る方法を試してみたらいいのでないかと思い、先生にカメラ撮影をお願いしたことがあります。学校側の回答としては、写真撮影が可能とのお返事をいただきました。
良い解決策が見つかったと思い、長男に黒板のカメラ撮影を提案したのですが、長男自身にもう少し板書を頑張って取ってみたいという思いがありました。
さらに、目立つことを嫌うタイプの子なので、自分だけカメラ撮影をすることに対する戸惑いも強く、長男自身がカメラ撮影を受け入れませんでした。
「カメラ撮影はしたくない、だけどやっぱり板書がうまく取れない。」という悩みを数年間抱えていた長男ですが、ある時から少しずつ板書が取れるようになったのです!
そして、今では8割ほど板書を取れるようになるまでに成長しました。
実は、書くことに苦手意識を持っている子が板書を取れるようになるため、欠かせないことの一つに担任の先生との連携があります。
では、具体的にどのような連携を取れば先生に理解していただきやすいのでしょうか?
先生との連携で「板書が取れる子」に成長した、我が家のサポート法を次の章でご紹介します!
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3.先生へのお願いで大切なポイントをご紹介!
子どもが板書を取らなくても決してさぼっているわけではありません。
ですが、お母さんからの働きかけがなければ、先生に子どもがさぼっているだけと勘違いされかねません。
子どもの板書問題に悩むお母さんは、先生に子どもの抱える板書の難しさについて理解を示していただき、さらに子どものできているところに目を向けていただけるようになりたいですよね。
以前は、長男が板書を取らないことに頭を抱えていた私ですが、先生との連携を上手に取ることで、今では長男の板書を取る様子について先生から良いお話を伺うことが増えました!
それでは、我が家流の先生との連携の取り方をご紹介します。
◆1 発達の特性と対応方法をお伝えする
我が家では、あらかじめ担任の先生に、本人としては頑張りたくても特性が影響してうまく板書が取れないことと、うまく板書が取れない時の対応方法をお伝えしています。
我が家の長男の場合、板書を取ることが苦手に感じる主な理由として、こだわりが強いこと、切り替えが苦手なこと、疲れやすいことの3つが挙げられます。
なので、具体的に次のような伝え方をしています。
・こだわりの強さについて
「こだわりが強く、きれいに書きたい思いに駆られると書くスピードが落ちてしまいます。そして、焦って字が汚くなると何度も書き直してしまうことがあります。板書をすべて取りきれないかもしれませんが、本人のスピードで書けるところまで書かせてください。」
・切り替えの苦手さについて
「切り替えが苦手なため、ノートに書くよう指示があっても、すぐに書き出せないことがあります。そんな時は、子どもの肩を軽く叩いたり、子どものすぐ目の前で手を振って注意を向けさせてから、もう一度指示をお願いできませんか。」
・疲れやすさについて
「疲れやすいため、他の授業で頑張りすぎて余力がない時は、板書が取れなくなることがあります。全く板書が取れない日が続く場合は、板書を取る取らない以前に学校に行けそうかどうか、というところから話し合い、本人がより落ち着いて過ごせる方法を優先させたいと思います。」
このように、板書がうまく取れないことに影響している特性と、板書が取れない場合はどうしてほしいかを具体的にお伝えしています。
◆2 発達検査の結果で説得力をアップさせる
発達検査を受けていらっしゃる方は、検査結果を学校側と共有した上で結果とあわせて説明するとより説得力が増します。
長男は発達検査を受けていますが、検査のなかでも処理速度の値が低めに出ています。
これは、書く作業を行う時の効率性があまりよくなく、見ながら手を動かすことが苦手であることを示しています。
「発達検査のうち、処理速度の値が低めに出ているので、見ながら書き写す作業が得意でないことが検査結果から読み取ることができます。」とお伝えしています。
このような方法を取ることで、板書が取れないことを指摘されなくなっただけでなく、先生が長男のできているところに目を向けてくださるようになりました。
「以前よりも、頑張って板書を取っています。」
「こちらからの指示がなくても、周りの様子を見て気持ちを切り替え、自分から板書を取り出せることが増えています。」
などの言葉を先生からかけていただけるまでに成長しました!
そして、今では8割程度板書を取れるようになりました。
いかがでしたか?
どのようにサポートすれば、我が子が板書を取れるようになるんだろう…と悩んでいるお母さんは、お母さんが先生と上手に連携を取ることで、お子さんの板書へのやる気をアップさせることができますよ。
板書を取らない問題でお悩みの方は、ぜひトライしてみてください!
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)