1.行動しない不登校の中学生女子にどう関わればいい?
家でゴロゴロしてばかり。
声をかけても動かない。
家にこもってばかりの不登校の中学生女子を前に、どう関わればいいのか迷うママも多いと思います。
何もしなければ、このままずっと動けなくなる気がして不安になる。
そんな関わり方のジレンマを抱えていませんか?

でも、行動が止まっているのは「やる気がないから」ではありません。
脳が安心を守ろうとして、力をセーブしているとても自然な反応です。
動けないというのは、楽をしている状態ではなく、むしろ、とてもつらい状態です。
「めんどくさい」
「あとでいいや」
こうした言葉も、脳がエネルギーをためようとしているサインのひとつです。
ただ、行動が止まったままだと、考える力や自信を取り戻すきっかけをつかみにくくなってしまいます。
だからここで大切なのは、無理に動かすことではありません。
まずは、動けないほど苦しい気持ちがあるということを、大人が理解してあげることです。
私は娘の「動けないつらさ」を、うまく理解してあげられずにいました。
ここからは、私がどのように娘の行動スイッチを整えていき外出できるようになったのかをお伝えします。

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2.外出させようとして空回りしていた母が気づいたこと
私の娘は、現在中学2年生です。
不登校になってから家で過ごす時間が増え、これまで何とか行けていた歯医者や、親戚の集まりに参加することも嫌がるようになりました。
幼いころから繊細さがあり、初めての場所、人の多い場所が苦手でした。
不登校になってからは、人が少ない場所でも外出できなくなることがありました。
「予約してあるのに、どうしよう」
「今から断ってもいいのかな」
頭の中はそんなことでいっぱいで、焦りと一緒に、イライラした気持ちも湧いてきました。
私は娘に、 こんな声をかけていました。
「行くよ。予約してあるよ」
「今日行くって決めたよね」
「とりあえず行こう」
責めているつもりはありませんでした。
心配だったし、 何とか動いてほしかったのですが、娘は動きませんでした。
今振り返ると、 あの頃の私は、 娘の気持ちよりも
「相手に迷惑をかけないかな」
「どう思われるかな」
そんな周りの目を 優先していたのだと思います。
子どものためと思いながら、 実は大人の都合で 動かそうとしていたことに、 あとになって気づきました。

無理に行かせる時期ではありませんでした。
次の章では、不登校の娘が「やってみようかな」と心を開くようになった声かけのコツをお伝えします。
3.不登校の中学生女子が外出できるようになった!3つの声かけテクニック
ここからお伝えする声かけは「誘って断られたとき」「行きたくない理由を話してくれたとき」そんな日常のやりとりの中で使うものです。
♦︎お預かりの言葉
たとえば、外出に誘っても「今日は行かない」「めんどくさい」と断られることがありますよね。
そのときに、 子どもが落ち込んでいたり、 元気がない様子だったら、説得したり、理由を聞き出したりせず、子どもの気持ちをそのまま受け止めます。
「そっか〜」
「そう思うんだね」
「なるほどね〜」
「めんどくさい」という言葉でも、今はそれが、子どもなりの精いっぱいの表現だからです。
アドバイスや評価をせず、ただ子どもの今の気持ちをそのまま受け止めるだけで、子どもが自分の気持ちを素直に言葉にすることができ「わかってもらえた」という安心感が生まれます。
気持ちを言葉にできると、子どもの頭の中で、バラバラだった感情が少しずつ整理されていきます。
♦︎魔法の前置き
子どもの様子を見て、行動につなげたいときに使う前置きのひと言。
「できるかどうかは別として」
このひと言には「やらなくてもいいよ」という余白があります。

この余白は考える脳が働き「やれるかわからないけど、できるところまでやってみようかな」
と、“やらされる”のではなく、“子どもが自分で決めて動ける”モードに切り替わります。
♦︎事実をコンパクトに肯定
もし少しでも行動できたときは、結果ではなく事実だけを短く伝えます。
「着替えたんだね」
「考えてくれたんだね」
脳は“注目された行動”を「またやってみようかな」と記憶します。
この小さな積み重ねが、「自分で決めて動けた」という成功体験になります。
この関わりを続けていく中で、ある日、娘が自分で決めて外出できた瞬間がありました。
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4.娘が動き出した瞬間に見えた「安心がつくる行動の力」
不登校の娘が動き出したきっかけは、たったひと言の声かけでした。
お父さんと出かける予定の日、私が「お父さんが一緒に出かけるの楽しみにしていたよ」と伝えると、娘はソファで横になりながら「今日はいいや。行かない」と小さな声でつぶやきました。
私は「行ってきたら?」とは言わず、これまでお伝えしてきた関わりをそのまま続けました。
笑顔でひと言。
「そっか〜、今はそんな気分なんだね」

少し間をおいて、前置きのひと言を添えました。
「できるかどうか別として、お着替えだけしておいたら?」
すると娘は「うん、着替えてくるね」と立ち上がり、そのあとお父さんと外出することができました。
断られる日も動けない日もありますが、外出できる日が増えてきました。
アドバイスや否定をされず、そのままの気持ちを受け止めてもらうと人は“自分で考えて動けるようになる”ということを実感しました。
小さな積み重ねが、子どもの中に「自分で考えて、選べる力」を少しずつ育てていきます。
思うように行動しない子どもにモヤモヤすることもあるかもしれません。
「本当にこのままでいいのかな」と不安になる日もあると思います。
でも安心の中で積み重ねた経験は、必ず、子どもが自分から外に向かう力につながっていきます。
焦らず、今日できた一歩を大切にしてあげてくださいね。
執筆者 : 黒柳ゆうみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
繊細な思春期女子の「こじらせ」も和らぐ脳の育て方を発信しています!




