1.発達障害の困りごとと「視る力」の関係
お子さんが、板書が苦手、姿勢が崩れやすい、キャッチボールが苦手という困りごとはありませんか?
これらの困りごとには、あることが関係していると考えられます。
それは、「視る力」です。
この「視る力」というのは、単純に視力の問題ではなく、目を様々な方向へスムーズに動かし、広い範囲を捉える力、形をしっかり認識する力も含まれます。
目は対象物を見る以外にも、物との距離感をつかんだり、日常生活において様々な役割をしています。
板書ができない、ボール遊びがうまくできないという困りごとは、対象物の動きに合わせて視点を合わせられるようになったり、すばやく眼球を動かせるようになってくると、改善してくることがあります。
また、姿勢がくずれやすいという困りごとも、視る力を向上させていくことで、改善すると言われています。視覚からの情報には、姿勢を安定した状態にキープする役割もあるためです。
このように、板書が苦手、姿勢が崩れやすいなどの発達障害の子どもによく聞かれる困りごとは、視る力と関連していることが多いのです。
「視る力」は、自然の中でダイナミックに体を動かして遊びながら、広い範囲に目を動かすことで、身に付くものです。
しかし、屋外での遊びが少なくなり、室内で動画を見たり、ゲームをしている時間が長くなった今、狭い範囲しか眼球を動かさないため、子ども達の「視る力」はますます衰えがちになっているのです。
2.すべての人におすすめしたい!ビジョントレーニング
「視る力」を高めるトレーニングに、ビジョントレーニングというものがあります。
ビジョントレーニングとは、眼球を動かす筋肉を鍛えることで物を正確に捉えたり、目からの情報を脳で処理して体を動かす運動機能を向上させる効果があるトレーニングのことです。
このビジョントレーニングは、発達障害の子どもの療育だけではなく、アスリートのトレーニングにも用いられ、子どもだけでなく大人がやっても効果があるものです。
また目と脳には深い関係があると言われています。
ビジョントレーニングの第一人者、北出勝也先生は著書「眼を動かすだけ1分間超集中法」の中で、目を動かすことで前頭葉の血流がアップするとおっしゃっています。
目を動かす運動をすることで、集中力がアップしたり、イライラや不安が和らいでリラックスできたり、感情をコントロールするのが上手になる効果も期待できるのです!
すなわち、ビジョントレーニングは
集中力が必要な受験生、
スポーツをしているお子さん、
イライラしがちなお母さん、
リモートワークでずっとパソコンの前に座っていて目が疲れがちなお父さん、
どの年代の人にもおすすめできるということ!
コロナ禍の家にいる時間が長い今の時期、お子さんと楽しみながら、家族みんなで目の運動不足を解消していきましょう!
3.目の運動不足を解消する!3分間眼球エクササイズ
今回は、目の運動不足が3分間で解消できる方法をご紹介します。
自分で目を動かすのが難しい小さなお子さんの場合は、先っぽに小さなマスコットなどをつけた棒を使いましょう。
お母さんが、お子さんの顔の周りで棒をゆっくり上下・左右に動かしたら、今度は円を描くようにぐるっと動かします。
この時、お子さんは顔を動かさずに目だけでそのマスコットを追います。(こうすることで、目を色々な方向へ動かすトレーニングになります)
顔がどうしても動いてしまう場合は、机にほおずえをつく形で顔を固定するとやりやすいと思います。
お子さんが、長時間テレビやスマホを見続けている様子が見られたら「一緒に目の運動しよう!」と言って休憩を入れて、この方法を試してみてください。
ビジョントレーニングは、療育機関で受けられる以外にも手軽に家庭で取り入れられる方法があります。
家庭でできる教材が販売されていたり、アプリや無料でできるYouTubeもあるので、楽しくできそうなものを探してみてくださいね。
わが家では、間違い探しの絵本「ミッケ!」で、遊びながら目を動かす時間をとっています。
ビジョントレーニングは、毎日少しずつ続けることが大切です。家族で楽しくできる方法を見つけて毎日の生活に取り入れてみてくださいね!
※眼に病気がある方、気になる症状がある方は、眼科を受診してビジョントレーニングをしても良いか確認してください。
執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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