1.気合いでは発達障害・ADHDのマイペースはコントロールできない
「注意欠陥多動性障害」発達障害のADHDは、その名の通り、脳の神経の発達の未熟さが原因で、
・興味がないことには注意を向けられず、ぼんやり・うっかりしてしまう
・気になることがあると、気持ちが移りやすく、じっとしていられない
などの特性があります。
言い換えると、
「面白いことが大好き!」
「面白くないことはしたくない!」
というのがADHDの子どもたちの特徴です。
だから、椅子にじっと座って、興味のない授業を聞いたり、椅子に座って黙々とノートをとったりするのは、とってもツライ。
お子さんによっては、興味がないことに取り組もうとすると、強烈な眠気が襲ってくることも…。
でも、特性なので気合いでコントロールするのは難しいのです。
お子さんの様子を見ていて、思い当たることはありませんか?
2. 「させられている」勉強は楽しくない!
義務教育では、これから先の人生を、豊かに生きていくために必要な知識の基礎を作るために、万遍なく、様々な分野を学ばなくてはなりません。
好みではない分野の授業を受けるのは、確かに子どもたちにとっては面白くないかもしれませんね。
私も子どもの頃、「あ〜あ。なんで、好きな教科だけ勉強するのじゃダメなの?」なんて思っていました。
でも、そうはいきません。
勉強がつまらない…。そう思ってしまうのは、なぜでしょう?
それは、こんな理由からかもしれません。
◆勉強をする理由が分からない!
特に発達障害の傾向のある子供達は、「今・ここ」の感覚で生きているので、先の見通しを立てるのが苦手です。
なぜ学びが必要なのかを理解していないため、勉強を「させられている」と感じて、つまらないのかもしれません。
◆勉強はなるべく避けたい心理
ADHDの子どもたちは、特徴であるマイペースさや不注意、行動や意識の多動性から、様々な失敗をしがちです。
叱られた経験もたくさんあるでしょう。
失敗をした・叱られたなどのネガティブな記憶は、今後同じ辛い経験をしないよう「自分の命や心を守るため」脳の特性として記憶に強く残りがちです。
そのため間違って怒られたり、恥ずかしい想いをすることで自信を失うことが怖くて、勉強を避けたくなる心理が働くのです。
3.まずは子どもの特徴をつかむ
私には小学4年生の息子がいます。息子は楽しいこと、特にゲームが大好きで、机で“お勉強”をするのに退屈してしまうタイプです。
息子がゲームが大好きなのは、テンポの良い音楽が流れて、スリリングなシーンがどんどん展開されて行く、そんなところが性に合うからのようです。
コロナ自粛期間中に、退屈しのぎのエンターテイメントにゲームをしていたので、どっぷりハマってしまいました…。
読書も大好きなのですが、やはり、ゲームの方が刺激が多いので、最近は本を手にする機会が減ってしまいました。
そんな息子を観察していると、漢字の書き取り練習が好きではないという特徴が態度で表れていました。
じっと座って、ノートに何度も同じ漢字を練習するのが退屈なので、記憶に残りにくい。その結果テストで間違えて自信をなくすのが怖いから、漢字の勉強を避けたくなる。
というサイクルにはまってしまっていたのです。
*漢字が苦手なお子さんが、楽しく学習するヒントをこちらでお伝えしています。合わせてご覧くださいね。
『漢字の練習をイヤがる発達障害キッズがこんな工夫をしたら漢字の勉強がスラスラ進む』
4.勉強やる気スイッチはこう押すと効果的
子どもの特徴がわかると、こうしてみたらうちの子は乗ってくるかもや、こう声掛けしたらうまくいったなということが、だんだんわかってきます。
息子が勉強に楽しく取り組めるように。それぞれの問題について、私はこんな対応をしています。
◆子どもの心をくすぐる「ヒーロー」作戦
勉強する目的が分からずにいると、特に興味のない教科には「やらされている」感が強くなってしまいますよね。
そこで私は、ゲーム好きの息子に、学ぶ理由をこんな風に伝えています。
・勉強は、「自分の人生」という物語の中で、ヒーローになるためにするものだ
・勉強は、人生の中で困難が起きたときに、そのステージをクリアするための武器として「頭脳」をゲットすることである
・例えば算数は、物事を筋道を立てて考える力を、国語なら、状況を判断したり、相手の心理を読んだりする力もゲットできる
・つまり、どの教科も人生を豊かにし、ヒーローとしてかっこいい人生を送るために必要な武器を与えてくれるのだから、楽しむ方法を一緒に探していこう!
皆さんのお子さんにはどんな言葉が響くでしょうか?
ぜひ色々試してみてください。
◆パワーアップしていく自分に気がつかせる
ADHDの傾向のある子ども達は衝動性から、集中力に課題を抱えています。
生活の中で、たくさん失敗をしたり、テストの点数がイマイチだったりして、自信を失くしてしまう傾向があります。
お子さんの自信や「自分は愛される価値がある大切な存在なんだ。今のままの自分が好き。」という自己肯定感を高めるために、私たち母親ができることは2つあります。
①「間違えたり失敗することは、何も悪いことじゃない。挫けないでチャレンジするあなたをとっても立派だと思う。」と繰り返し伝えること。
②お子さんがよくできているところ、頑張っていることを積極的に見つけ、努力をしっかりと認めること。
できないところを指摘するのではなく、できるところに目を向けることで、自己肯定感がしっかりと育ちます。
すると、昨日より今日、今日よりも明日、とパワーアップしていく自分に気づき
「やればできる!よし、頑張ろう!」
という意欲を持つことができます。
お子さんが、自分自身で夢見る理想のヒーローに成長していくのを一緒に見守り、応援していきましょう!
執筆者:飯島なち
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
お子さんが自信と勉強への意欲を取り戻す、ママの声かけを多数紹介しています!